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Capella Space 衛星間通信を用いて画像のリアルタイム取得に成功【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/11/23〜11/29】

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Capella Space 衛星間通信を用いて画像のリアルタイム取得に成功

11月23日、小型SAR衛星のコンステレーション構築を進めているCapella Space(カペラ・スペース)は、Inmarsat(インマルサット)とAddvalue(アドバリュー)が提供する衛星間通信によるデータ中継システム(IDRS)を用いて、撮影依頼からデータの取得までをリアルタイムで実現することに成功したことを発表しました。

IDRSは、24時間365日利用可能なデータ接続サービスを提供していて、200Kbpsでのデータ転送が可能です。今回は、静止軌道(GEO)上を周回しているIDRSが搭載された衛星を中継して、低軌道(LEO)上にあるCapella Spaceの小型SAR衛星と地上局の通信を行う仕組みとなっています。

Capella Spaceは、2020年7月にも、データのダウンリンクから顧客へデータを提供する工程でAWS Ground Stationを利用し、わずか数分で画像を公開が可能となったことを発表していました。

リアルタイムでの画像取得が実用化されれば、災害による救命活動を始め、さらに活用の場が広がるのではないかと考えられます。

光衛星間通信システム「LUCAS」の打ち上げが成功

11月29日、H2Aロケット43号機が種子島宇宙センターより打ち上げられ、搭載されていた光衛星間通信システム「LUCAS」の軌道投入に成功しました。

LUCASのイメージイラスト Credit : JAXA

LUCASはLEO上の地球観測衛星とGEO上のデータ中継衛星間をレーザー光を用いて通信するシステムです。光衛星間通信には、LEO上の衛星とGEO上の衛星の双方に送受信機を搭載しておく必要があります。2021年度以降に打ち上げられる予定の先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」と先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」に送受信機が搭載され、運用実証や実利用が行われる予定です。

コニカミノルタがSpecimを買収し、HSI事業に参入へ

11月27日、コニカミノルタはSpecim(スペキム)を買収し、ハイパースペクトルイメージング(HSI)事業へ参入することを発表しました。

宙畑メモ
HISとは、光を波長ごとに分光して撮影する技術で、撮影対象物の含有成分を特定したり、その量を測定したりすることができます。

Specimは1995年に創業されたフィンランドを拠点とする企業で、分別装置を中心にリサイクルや商品、製薬メーカーとの顧客基盤を保有しているほか、リモートセンシング分野でもリーディングカンパニーとして知られています。コニカミノルタは、自社の光学・画像処理技術を活かしながら、特にリサイクルや食品の分別装置メーカーと連携しながら事業を拡大し、製薬などの成長市場を狙いたいと説明しています。

現段階では、宇宙分野は重視されていないようですが、2019年12月にはハイパースペクトルセンサ「HISUI」がSpaceXのFalcon9で打ち上げられ、ISSに設置されたことも記憶に新しく、今後の動向に期待が高まります。

3DプリンターロケットのRelativity Spaceが5億ドルを調達

11月23日、3Dプリンターロケットの開発を進めているRelativity Space(レラティビティ・スペース)が、シリーズDラウンドで5億ドルを調達したことが発表されました。

同社は、2019年にシリーズCラウンドで1.4億ドルを調達。さらに2020年6月に、通信衛星のコンステレーション構築を計画しているIridium Space(イリジウム・スペース)と2023年から2030年を対象とする打ち上げ契約を締結したことを発表していて、サービス化に向けて注目を集めていました。

今回5億ドルを調達したことにより、累計の調達額はSpaceXとOneWebに匹敵し、評価額は宇宙ベンチャーの中ではSpaceXに次ぐ23億ドルとなりました。

Relativity SpaceのTim Ellis(ティム・エリス)氏は、最終的には火星での居住地の構築を支援することだと話しています。

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参考

World-first as new real-time link between satellites promises quicker delivery of data and imagery across the globe

Inter-Satellite Data Relay System (IDRS™)

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