インド発ベンチャーPixxelが8億円を調達。ハイパースペクトルカメラ搭載衛星のコンステ構築を計画【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/3/15/〜3/21】
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PixxelがPlanet Labsの元社長ジョンソン氏らから資金調達
インドのバンガロールを拠点とする地球観測事業者のPixxelは、シードラウンドで730万ドル(約7億9,500万円)を調達し、シードラウンドを完了させたと発表しました。出資したのは、同社が参加していたアクセラレータプログラムを運営するTechstarsやPlanet Labsの元社長Ryan Johnson(リアン・ジョンソン)らです。
Pixxelは、Awais Ahmed(アワイス・アーメド)氏とKshitij Khandelwal(シュディチ・カンデルワル)氏が大学在学中の2018年に創業したスタートアップ企業です。2020年8月にも、500万ドル(約5億3,000万円)を調達していました。
同社が開発しているのは、分解能5mの小型ハイパースペクトルカメラを搭載した衛星です。将来的には全世界を24時間ごとに撮影可能なコンステレーション構築を目指しています。
宙畑メモ
ハイパースペクトルカメラとは、光を波長ごとに分光して撮影する技術で、撮影対象物の含有成分を特定したり、その量を測定したりすることができます。
2021年2月末には、同社の初号機にあたるハイパースペクトルカメラを搭載した衛星「Anand」を打ち上げる予定でしたが、ソフトウェアの不具合により延期している状況です。
ハイパースペクトル画像衛星をめぐっては、アルゼンチンに本社を構えるSatellogicが80機のコンステレーション構築を計画していて、すでにSpaceXと打ち上げ契約を締結しています。両社が今後、衛星のスペックや画像を利用したサービスをどのように展開していくか、動向に注目していきたいと思います。
JAXAと古河電工が小型衛星向け電源を共同開発
3月19日、JAXAと古河電気工業(以下、古河電工)が共同で、小型衛星向け次世代推進機用の電源開発を通じた共創活動を開始したと発表しました。古河電気は、光ファイバや電線ケーブルなどの製品を製造する老舗メーカーです。
古河電工が民生品開発で培ってきた熱設計技術や電源の小型・軽量化技術と、JAXAの研究成果を組み合わせることで、小型衛星の次世代ホールスラスタの軽量化・低コスト化を図りたい考えです。
軌道変更や軌道維持に用いられる衛星の推進機。化学推進と電気推進の2種類があり、ホールスラスタは電気推進に含まれます。ホールスラスタは、推力が高く、化学推進に比べて省燃費というメリットがありますが、大掛かりな電源が必要であるため、小型衛星への搭載は難しいとされてきました。
今回の取り組みを通して小型化に成功し、小型の地球観測衛星に搭載できるようになれば、低高度に衛星を投入することによる分解能向上と、衛星の寿命延長が両立できるのではないかと考えられます。
古河電工は2025年度に軌道上実証、2026年度以降に次世代ホールスラスタ電源の事業化を目指す計画をプレスリリースで発表しています。
小型衛星の打ち上げ機数は、2030年までに現在の10倍に伸びると予想されています。今後数年間で、市場拡大を見越して、小型衛星向けのコンポーネント開発に取り組む企業が増えるのではないでしょうか。
インマルサット・MHIらが英国宇宙庁のロケット管制システムを構築へ
3月19日、通信衛星サービスの提供で知られるインマルサットは、衛星コンステレーションを活用して、英国宇宙庁の「InRange」と呼ばれるロケットを追尾するシステムの開発を受注したと発表しました。
契約金は25万8,000ポンド(約3,900万円)。加えて、産業界から補助金が支払われており、プロジェクトの総額は、42万2,000ポンド(約6,400万円)に上ります。
インマルサットと三菱重工が提携して行われているほか、欧州の追跡ソリューションプロバイダのSafran Data Systemsと米国のアンテナメーカーであるHaigh–Farrがパートナーとして参画しています。
インマルサットによると、開発中のInRangeは、ロケットを追尾するのに使う地上のネットワークやインフラを衛星コンステレーションによる通信で代替し、費用を節約できるとのことです。
英国政府は宇宙産業の推進に積極的で、スペースポートの開港や法整備を進めています。インマルサットらが開発するInRangeによって、打ち上げ事業者や衛星事業者にかかるコスト削減が実現されれば、英国からの打ち上げのニーズ拡大を後押しすることに繋がるかもしれません。
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参考
Pixxel To Build World’s Highest Resolution Hyperspectral Satellite Array
古河電工とJAXA、人工衛星用電源開発を通じた共創活動を開始 ~ 次世代電気推進機の軽量化・低コスト化で、宇宙用電源事業の創出を目指す ~
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