宙畑 Sorabatake

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大手通信衛星企業のEutelsatがOneWebへ5.5億ドルの大型出資。 【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/4/26〜5/2】

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EutelsatがOneWebへ5.5億ドルの大型出資を発表

大手通信衛星事業社であるEutelsat Communications通信衛星コンステレーション事業に取り組むOneWebに5億5,000万ドル(約601億円)の投資を発表しました。

1977年に設立されパリに本社をおくEutelsatは、静止軌道衛星を数十機所有している大手通信オペレータ企業です。今回の投資で、EutelsatはOneWebの株式の24%を取得すると同時に、取締役会への出席を含む、既存の主要投資家である英国政府やBharti Globalと同様のガバナンス権を獲得します。今回の投資は、規制当局の承認を得た上で2021年後半までに完了する予定です。

Eutelsatの主ビジネスは静止軌道通信衛星を活用したサービスですが、IoT機器への接続をターゲットにした”Eutelsat LEO(ELO)”と呼ばれる低軌道衛星コンステレーションにも参入しており、2021年中に実証機を含む5機の超小型衛星を打ち上げ予定です。

EutelsatのCEOであるRodolphe Belmer氏は、今回の出資について以下のコメントを出しています。

We are confident in OneWeb’s right to win thanks to its earliness to market, priority spectrum rights and evolving, scalable technology. We look forward to working alongside the UK Government, Bharti and the other shareholders to open new opportunities and market access to ensure OneWeb maximizes its potential.
(訳:我々は、市場投入の早さや周波数帯の確保、確かな技術などから、低軌道通信衛星市場におけるOneWebの勝利を確信しています。世界の通信衛星市場における40年以上の経験と実績を持つ当社は、英国政府・Bharti Global・その他株主と協力し、新たな市場開拓を推進させ、OneWebの可能性を最大限に発揮させることに尽力していきます。)

今回の投資で、OneWebの累計資金調達額は約19億ドル※(約2080億円)に達しました。
※2020年3月の連邦倒産法第11条(Chapter11)申請後の累計資金調達額です。

OneWebは、約30億ドルの資金を獲得して74機の小型通信衛星を打ち上げるも、2020年3月に連邦倒産法第11条(Chapter11)を申請。しかし2020年7月に、インドの大手通信企業Bharti Globalと英国政府が大型出資を発表し2020年11月にはChapter11による保護状態を正式に脱したことを表明しています。

OneWebは2021年3月、4月と連続して衛星打ち上げに成功しており、現在軌道上に182機の小型通信衛星を投入しています。同社は2021年6月までに更に2回の衛星打ち上げを予定しており、2021年中に英国・北極海近辺・カナダを含む北緯50度以上の地域へのカバーを目指します。更に2022年中に650機の衛星を軌道投入させ、グロ―バルな衛星通信サービスを開始させる計画です。

低軌道衛星市場が広がりを見せる中で、静止軌道衛星市場を代表する企業であるEutelsatによるOneWebへの大型出資は、Eutelsatのビジネスのポートフォリオを広げようとする強い意思が垣間見えます。今後のEutelsatのビジネス戦略にも注目です。

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