宙畑 Sorabatake

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カナダ政府がTelesatに1300億円の出資。通信衛星事業に大金を注ぐ理由とTelesatの計画【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/8/9〜8/15】

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8月12日、カナダ政府は同国の大手通信衛星事業者Telesatに14億4000万カナダドル(約1,300億円)を出資すると発表しました。

この契約により、カナダ政府はTelesatに、7億9,000万カナダドルの融資と6億5,000万カナダドルの優先株式投資によって資金を提供しているため、政府は配当を受け取れます。

これに関連して、Telesatは最大700人の雇用維持やカナダでSTEMプログラムに取り組む中等教育課程の女性を中心に奨学金を提供します。

8月6日には、オンタリオ州が8,700万カナダドル(約96億円)を出資すると発表していて、カナダ政府が衛星通信に注力していることが窺えます。

世界2位の国土面積を誇るカナダでは、農村部や北部地域ではインターネットが普及しておらず、情報格差が深刻な課題となっていました。そこで、政府は2030年までに国内の全世帯に高速インターネットへのアクセスを可能にすることを目標として掲げ、デジタルデバイドの解消に乗り出しました。

その解決策の一つとして、長距離のケーブルなど地上のインフラ構築がいらない通信衛星コンステレーションを活用しようというのです。

Telesatは、約300機の低軌道衛星を使った、ブロードバンドインターネットとLTE、5G接続を可能とするサービス「Telesat Lightspeed」を2024年からカナダで提供する計画です。カナダ政府とオンタリオ州からの出資は、このTelesat Lightspeedの開発にあてられます。

一連の活動について、イノベーション・科学産業大臣のフィリップ・シャンパーニュ氏は、このようにコメントしています。

「Telesatとの提携により、カナダ政府は、より多くの高技能職の創出とイノベーションを生み出し、カナダの最も田舎で遠隔地にあるコミュニティに経済的・社会的機会の開放を支援します」

デジタルデバイドの解消は、SDGsの達成にもつながります。目標とされている2030年を目前とした今、政府が衛星事業者を支援するケースが増えていくかもしれません。このチャンスを事業拡大に活かせるかどうかが、衛星通信事業者の今後を左右する鍵となりそうです。

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参考

Government of Canada announces $1.44-billion investment in Telesat supporting the future of connectivity for rural and remote communities

Telesat to receive $1.44 billion through Government of Canada investment, a major milestone towards completing the financing of Telesat Lightspeed

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