人工流れ星、宇宙旅行に宇宙広告……宇宙エンタメビジネスの現在地と20の参入企業
近年、参入する企業が増えてきている宇宙×エンタメ。企業やその内容をカオスマップと合わせて、まとめてお伝えします。
(1)はじめに
タイトルにある宇宙エンタメとは、「宇宙xエンターテイメント」の略称で、宇宙空間や宇宙開発に絡めた、人々を楽しませる娯楽やサービスのことを意味します。
現在、宇宙ビジネスのジャンルは多岐にわたっており、宇宙エンタメは盛り上がり続けるジャンルの一つです。そして、宇宙エンタメ市場には日本の宇宙企業が多く参入しています。
そこで、既存の宇宙エンタメ市場に焦点を当て、宙畑編集部独自の視点で宇宙エンタメ業界のカオスマップを作成、参入企業をご紹介します。
(2)国内外の宇宙エンタメ事業カオスマップ
まず、広がる宇宙エンタメ業界の範囲を宙畑独自の観点で定めます。宇宙に関係するエンターテインメントは数多くありますが、今回は、エンタメの発信側もしくは享受側の人・モノが一度でも「宇宙」に存在していることを宇宙エンタメの範囲としました。
つまり、「宇宙」をテーマにした映画やゲームなどはどちらも一度も宇宙に行っていないため、今回の宇宙エンタメという定義には含みません。ただし、映画を宇宙空間で実際に撮影した場合は宇宙エンタメに含むこととします。
今回ご紹介する宇宙ビジネス企業は全20社。上記定義に基づいて、3エリア・4カテゴリに分類しました。
①発信側:宇宙(リアルタイムで発信)× 享受側:宇宙
このエリアは、享受側が実際に宇宙に行くエンターテインメント、すなわち「宇宙旅行」ということになります。エンタメの受け手がに行くことになるため、技術的レベルはもっとも高く、エンタメとしての単価も高くなるのが特徴です。
②発信側:宇宙(リアルタイムで発信)× 享受側:地球
この領域では、エンタメの発信は宇宙からリアルタイムに行われますが、エンタメの受け手は地球にいる状態です。宇宙からの発信がリアルタイムであるため、発信元の数や機会は限られ、その希少性に価値がつくことになります。
宇宙からのリアルタイムな発信元は現時点では、人工衛星とロケットが考えられます。
カテゴリとして、現在進められている事業から、人工衛星を利用して様々なエンタメ体験を提供する「衛星利用エンタメ」と、ロケットの打上げ時に広告を掲載する「宇宙広告」の2つに分類しました。
③発信側:地球(宇宙から持ち帰る)× 享受側:地球
最後の領域が、宇宙空間で撮影した映像・写真や宇宙空間に滞在したモノを地球に持ち帰り、地球で楽しむというものです。
他の2エリアに比べ、人がモノがリアルタイムに宇宙にある必要がないため、その分、受け手側が体験できる機会は多く、価格設定も低くなると考えられます。私たちにとって、最初に身近になる「宇宙エンタメ」はこのエリアといえるでしょう。
このエリアでは宇宙空間で撮影した映像・写真を映像・写真コンテンツとして、映画やゲームに活かす「宇宙コンテンツ」カテゴリと、宇宙にモノを送ったという事実を広告化する「宇宙広告」の事業が存在しています。
そして、上記エリアとカテゴリごとに企業分類したカオスマップが以下になります。
ご覧いただくと一目瞭然、すべてのカテゴリに日本企業の名前があります。また、プレイステーション®やカメラを開発する大企業であるソニー社も参入しているというのが、宇宙エンタメ市場の熱量をさらに上げています。
では、具体的にどのような宇宙エンタメビジネスを各社が構想しているのか。ひとつひとつ紹介します。
(3)宇宙エンタメ参入企業紹介
今回、宇宙エンタメに参入する企業を紹介するにあたり、先に紹介したカテゴリごとに、各社の「事業概要」「ビジネスモデル(誰にどのような価値を提供しているのか)」「サービス価格」「事業ステージ」の4点をそれぞれ紹介します。
宇宙旅行
・Virgin Galactic(ヴァージンギャラクティック)
URL
https://www.virgingalactic.com/
事業概要
Virgin Galacticは、実業家リチャード・ブランソン氏が創業した宇宙旅行企業です。同社の宇宙旅行は、独自に開発した宇宙船「VSS Unity」をジェット機「VMS Eve」で高度約15kmまで輸送したあと切り離し、高度80kmまで上昇するという仕組みで行われます。無重力を楽しめるのは4分間です。
また、Virgin Galacticは、米国ニューメキシコ州と共同で「スペースポートアメリカ」を建設しました。打ち上げの様子を一目見ようとファンが集まる、新しい観光地になるのではないかと期待されています。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
宇宙旅行希望者に座席券を販売する
サービス価格帯
45万ドル(25万ドルだったのを、2021年8月5日から値上げ)
いつ実現するのか・今のフェーズ
2021年7月に創業者リチャード・ブランソン氏を乗せた有人宇宙飛行試験を行い、成功させました。商業宇宙旅行は2022年から提供が開始されるようです。
・Blue Origin(ブルーオリジン)
事業概要
ブルーオリジンは、独自開発した再利用型ロケットの「ニューシェパード」を使い、旅行者を宇宙空間へ運びます。ニューシェパードはロケットとクルーカプセルで構成され、6人乗りのクルーカプセルを宇宙空間で放出。ロケットは地上へ帰還し、自動制御で着陸します。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
宇宙旅行サービスの提供
無重力実験サービスも提供(推測)
サービス価格帯
チケットの売価は10万ドルほど
いつ実現するのか・今のフェーズ
創業者のジェフベゾス氏含めた民間人が四名搭乗し、宇宙空間に到達した。
2021年中に複数回打ち上げられ、本格的なサービス提供開始は2022年を予定している。
・PDエアロスペース株式会社
事業概要
宇宙機事業・開発受託・付帯授業(事前訓練プログラム)の3つの事業を行っています。中でも、主事業領域として有人のサブオービタルの宇宙旅行を位置づけ、到達高度110km、無重量時間5分のサービスを予定しています。運用はANA社、サービス販売はHIS社と協力して実施することを計画しています。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
コンシューマー向けに宇宙旅行を提供する
サービス価格帯
1400~2000万円/人
いつ実現するのか・今のフェーズ
2022年までに無人による高度100kmの到達、2025年までに有人による高度100kmの到達、2027年に商用運航開始を予定しています。
参考文献
会社説明・概要(2021年7月、PDエロスペース株式会社)
https://pdas.co.jp/documents/PDAS_Company_Outline.pdf
・株式会社SPACE WALKER(スペースウォーカー)
URL
https://www.space-walker.co.jp/
事業概要
有翼再使用ロケット(スペースプレーン)の設計開発. コンポーネントの開発・製造・販売を行う企業です。宇宙旅行用のサブオービタルスペースプレーンとして、パイロット2名、乗客6名が搭乗し、高度120kmを往復する有翼機を開発しています。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
スペースプレーンの販売(推測)
サービス価格帯
不明
いつ実現するのか・今のフェーズ
2024年に科学実験用を、2026年に小型衛星打ち上げ用を、2029年に宇宙旅行用のサブオービタルプレーンを打ち上げ予定です。
・Space Perspective(スペースパースペクティブ)
URL
https://www.spaceperspective.com/
事業概要
成層圏気球と有人カプセルを用いて上空30kmまでの旅行ビジネスを提供
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
90kmを超える宇宙機に搭乗するほどのチケット代を払うことができない顧客に対して、30km程度までの宇宙旅行気分を味わえるサービスを提供する
サービス価格帯
12.5万ドル
いつ実現するのか・今のフェーズ
2021年6月18日には無人のテストフライトに成功し、座席券の予約受付開始に踏み切りました。ツアーの提供開始は、2024年後半に予定されています。
【宇宙旅行を徹底解説】 「宇宙旅行ビジネス」の現状と目的地別の費用、代表企業まとめ
衛星利用エンタメ
・株式会社ALE(エール)
事業概要(参考:https://star-ale.com/technology/#sec_satellites)
人工流れ星事業
人工衛星から流れ星の核を放出し、大気圏突入後に指定された場所で発光
させる。
デブリ除去事業
導電性テザーをJAXAと共同で開発し、運用が終了した衛星を軌道離脱。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
イベント運営会社や自治体に対して、人工流れ星という非日常体験を提供する。
衛星事業者に対して、運用終了した衛星の回収するための機構を提供。
サービス価格帯
非公開
いつ実現するのか・今のフェーズ
2023年に三号機となる人工流れ星衛星を打ち上げ、同年からサービス開始予定。
デブリ除去事業は2021年に技術実証予定。(参考)
・ソニー
URL
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/space-entertainment/
事業概要
超小型衛星に自社のカメラ機器を搭載し、地上から操作して宇宙空間から地球や星を撮影するのを通して、宇宙感動体験を世界に広めようとしています。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
不明
サービス価格帯
不明
いつ実現するのか・今のフェーズ
2022年後半に衛星を打ち上げる計画を発表しています。
・Space Entertainment(スペースエンターテイメント)
URL
https://space-entertainment.co.jp/
事業概要
人工衛星技術を活用した宇宙エンターテイメント事業
衛星フォーメーションフライト群により構成されるドットアートで、世界規模の感動体験を提供。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
グローバルのエンターテイメント企業に対するメディア技術提供や、IPとのコラボレーションを通し、エンドユーザーに豊かな感動体験を届ける。
サービス価格帯
非公開
いつ実現するのか・今のフェーズ
現在は技術開発フェーズ。2023年に実証機2機打上げ予定。同年からエンターテイメント提供、翌年からエンターテイメント以外の衛星サービスも提供開始。
・株式会社ASTROFLASH(アストロフラッシュ)
URL
https://www.astroflash.co.jp/
事業概要
地上から肉眼で視認でき、誰もが衛星の色や明るさを自在にコントロールできる、エンターテイメント分野での活用を目的とする衛星開発を進めています。
将来的には多数機を並べることによって、宇宙イルミネーションのようなエンタメ分野での活用も検討しています(出典)。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
「視覚で楽しむ衛星」のグローバルな活用を利用したPRなどを行うスポンサー企業を募集しています。衛星の命名権や運用方法をはじめとし、衛星を用いた様々なプロモーションについても調整することが可能(同社プレスリリースより)。
サービス価格帯
不明
いつ実現するのか・今のフェーズ
2021年度中に初号機を打ち上げることを予定しています。
・株式会社岩谷技研
事業概要
ふうせん宇宙撮影事業で、宇宙と地球の撮影を行う。
ビジネスモデル
・法人向けに、宇宙っぽく見える景色(上空30km)の映像提供
・有人宇宙気球旅行
サービス価格帯
不明。今後有人の宇宙旅行を実施する際は一人100万円の価格帯とのこと
いつ実現するのか・今のフェーズ
こちらの記事では、「2021年10~11月には一人乗りの有人飛行試験を予定しています。」と書いているが、どれくらい遅れるか。
宇宙コンテンツ
・スペース・バルーン株式会社
URL
https://www.spaceballoon.co.jp/
事業概要
⾼⾼度気球にカメラと任意の撮影対象物を搭載し、成層圏⾶⾏(高度30,000メートル前後)を行ってお気に入りの画像を撮影できるフォトサービスです。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
お気に⼊りの写真やグッズ、記念メッセージなどを打上げ、宇宙空間で写真やビデオを撮影したい人に、その機会を提供するサービス。
サービス価格帯
1回の打上げで10枚分の写真を50万円。
いつ実現するのか・今のフェーズ
現在100組限定で撮影希望者を某集中。2021年春秋で打上げ予定。
・ElevationSpace(エレベーションスペース)
URL
https://elevation-space.com
■事業概要
自社で開発する人工衛星内に複数の装置を載せ、宇宙実験や製造等を行うことができる小型宇宙利用・回収プラットフォーム(ELS-R)を提供予定。
展望としては、ELS-Rで培った技術を基に宇宙ホテルや月面基地等の宇宙建築事業、人や物資等を運ぶ宇宙輸送事業に展開し、軌道上や月・火星に人が持続的に住める未来を創るとHPで公表しています。
■ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
ELS-Rでは、以下3つの利用目的を想定し、それぞれの利用者にその機会を提供するサービス。
1.宇宙実験(創薬など)
2.宇宙での材料製造/新規材料の開発
3.エンターテイメント/教育への利用
■サービス価格帯
ISSの利用価格と同程度か低価格を目指す。
■いつ実現するのか・今のフェーズ
小型宇宙利用・回収プラットフォーム ELS-R構築に必要となる大気圏再突入技術の獲得を目指した「ELS-R100」を2023年に打ち上げ予定。
・Astro Pi(アストロパイ)
事業概要
Raspberry Pi Foundationと共同で実施しているESAの教育プロジェクト。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
14歳以下の若者に宇宙でコンピュータプログラムを動かすチャンスを与えることを目的としており、営利目的ではない
サービス価格帯
無料
いつ実現するのか・今のフェーズ
実施中
・株式会社Yspace(ワイスペース)
事業概要
VRを用いた宇宙コンテンツの作成及びコンサルティング
VRを用いた子供向け学習コンテンツの開発
月面から月低軌道に投入する小型固体ロケットの開発
取得した月面のデータを用いたVR事業
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
クライアント企業にVRコンテンツを納品(受託事業)
小型衛星の月低軌道への軌道投入及び、月からのサンプルリターンの提供
サービス価格帯
非公開。
いつ実現するのか・今のフェーズ(参考)
VR事業は既に複数イベントへの出展経験あり(SXSWなど)。
2020年代前半に月面着陸船に相乗りし小型ロケットの試験打ち上げ実施予定。2020年代後半には月からのサンプルリターンを実施する計画。
・株式会社amulapo(アミュラポ)
事業概要
xRを利用した宇宙飛行士体験コンテンツの開発を行っています。観光庁の実証事業「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」として進めている、鳥取県の砂丘を月面に見立てた体験プログラムの制作などで知られています。また、教育事業にも力を入れていて、宇宙がテーマのオンライン学習サービスを提供しています。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
xRコンテンツを必要とする企業や自治体
サービス価格帯
・バーチャル宇宙飛行士選抜試験(小学校高学年):3,500円/回
・空想月探査物語(18歳以上、11月から開始予定):9,800円/回
・コンテンツ制作受託:36万円~
いつ実現するのか・今のフェーズ
すでに複数のサービスが展開されている他、2025年までに以下2つの構想が進んでいるようです。
・つくばを中心とした科学テーマパーク構想: 2025年までに基盤を構築、年間50万人、100億円の観光消費額を目指す。
・鳥取砂丘での月面開発拠点化構想: 2025年までに研究所等を整備し、宇宙エンタメ、宇宙機の開発、生産、実証フィールドとなる予定。
・映画の撮影
事業概要
2021年10月、『ミッション・インポッシブル』シリーズで知られるトム・クルーズ氏がISSでの映画撮影に挑む予定です。映画撮影というサービスを提供している企業はありませんが、ISSの滞在を提供する企業の他、ヴァージンギャラクティック社やブルーオリジン社の宇宙旅行が始まった今、リアルな宇宙空間での撮影に挑む映画が増えるかもしれません。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
明確に映画撮影というビジネスモデルがあるわけではありません。宇宙旅行提供を行う企業との交渉の上でフライトを実施し、撮影を行うという形となるでしょう。
サービス価格帯
ISS滞在の場合は、ISSまでのフライトでSpaceXの場合は5500万ドル(60.8億円)、滞在費は1泊あたり35,000ドル(約400万円)となっているため、仮に4泊5日の撮影の場合は、5514万ドル(60.95億円)となります。
また、ヴァージンギャラクティック社のフライトを貸切る場合は、6席x25万ドルで150万ドル(約1.66億円)となります。
いずれにしても、スタジオをおさえると考えた場合の撮影コストが桁違いですね。
いつ実現するのか・今のフェーズ
すでに映画撮影は上述の通り、撮影ができる環境はすでに整っており、2021年10月にトム・クルーズ氏がISSでの撮影を実施予定です。いったいどんな映像が撮れるのか、とても楽しみですね。
・Take-Two Interactive(テイクトゥーインタラクティブ)
事業概要
ゲームソフトウェア開発。多くのレーベルを傘下にもっている。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
家庭用ゲーム機、またPC向けゲームソフトの開発。
家庭用ゲーム機ソフトの場合は、ライセンス料と委託生産料をハードウェア開発企業に支払い製造を依頼。
PC向けソフトの場合は、販売プラットフォームに使用料を支払う構造。
サービス価格帯
傘下にもつインディースタジオPrivate Divisionの代表作品が、宇宙船を開発し宇宙開発を体感するゲームのKerbal Space Program。
最新版の価格は、3980円。
・The Irregular Corporation
URL
https://theirregularcorporation.com/
事業概要
インディーゲームを中心としたPC用ゲームソフト開発事業
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
販売プラットフォームに使用料を支払う。
サービス価格帯
宇宙開発の責任者となってプレイするゲームであるMars Horizonは、2050円。
※ESAが開発に全面協力。
宇宙広告
・スペース・バジル社(ガンダム衛星)
事業概要
超小型衛星の技術を駆使して、宇宙空間で企業の商品やブランドイメージを向上することを目的とした「宇宙広告事業」と、宇宙空間を活用した映像や音楽やゲームであったり……と、各種エンターテインメントの企業様と協力しながら、今までにないユーザー体験を創り出していく「宇宙エンターテイメント事業」の2つの柱を掲げています。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
宇宙広告事業は、自社サービスの認知を高めたい、企業ブランドイメージを上げたい広告主からお金をもらい、広告主の商品認知やブランドイメージを上げるようカスタマイズした人工衛星を打ち上げます。
また、2020年にはASTROFRASH社との提携も発表し、宇宙広告代理店としてのポジション獲得も視野に入れていることが伺えます。
宇宙エンターテイメント事業については、現在不明です。
サービス価格帯
不明。興味のある方はスペースバジル社にお問い合わせください。
いつ実現するのか・今のフェーズ
すでに広告用にカスタマイズした人工衛星の開発を行う技術は有しており、あとはクライアントの獲得と発表を待つのみというフェーズです。
広告・エンタメ×宇宙! TV、WEBに次ぐ“宇宙マーケティング”の可能性
・ロケットx広告(インターステラテクノロジズ・デジタルブラスト)
事業概要
現在日本ではインターステラテクノロジズ社が提供している、ロケットの搭載物、ロケット本体やロケット射場など、ロケット打上げに関係する様々なポイントで広告を掲出できる事業。
インターステラテクノロジズ社の打上げに合わせて、テレビ番組やWebメディアで広告露出が期待されます。
また、本広告事業は、デジタルブラスト社が2019年10月にロケット広告販売営業代理店契約を締結していると発表しています。
ビジネスモデル(だれにどんな価値を提供しているのか)
自社サービスの認知を高めたいと考える広告主に、ロケットの本体のパッケージデザインや射場看板などを掲出できる権利を販売。
サービス価格帯(参考)
以下、2019年11月時点の情報。現在の価格については、インターステラテクノロジズ社に直接お問い合わせください。
ロケットの搭載物(10kg):500万円
機体広告:1000~2000万円
看板広告:3~500万円
など
いつ実現するのか・今のフェーズ
販売中
(4)今後の宇宙エンタメ市場、注目したい3つのポイント
これまでに宇宙エンタメ市場に参入している企業を紹介しました。
2021年は、宇宙ビジネス黎明期から宇宙旅行に取り組んでいたヴァージンギャラクティック社、ブルーオリジン社を筆頭に本格的なサービス開始目前となり、市場拡大ののろしが上がった年となりました。
また、国内宇宙ベンチャーにとっても、インターステラテクノロジズ社のMOMOロケット打上げ連続成功や、SPACE WALKER社、ALE社の資金調達など、向こう5年、10年がさらに楽しみになる種がいくつも仕込まれたような年でした。
本章では、今後の宇宙エンタメ市場における注目ポイントを3つ紹介します。
・宇宙ビジネスの新しい形で宇宙がより身近に
まず、これまでの宇宙ビジネス・宇宙開発は、GPSを使った地図サービスや気象衛星から得られる情報をもとにした天気予報など、企業が媒介となって宇宙利用の恩恵を得られることはあっても、一般の人が直接お金を支払ってサービスを受けるというものではありませんでした。
しかし、宇宙エンタメビジネスは、これまで宇宙とは無縁だったような一般の方が、直接お金を払って、宇宙を感じられるサービスを受けるもの。宇宙空間に実際に行く宇宙旅行や、宇宙空間に目を向ける機会が増えるだろう人工流れ星、そして、お気に入りのものを宇宙空間に運び、記念撮影をするサービスなど、宇宙を身近に感じる機会が増えることでしょう。
そして、宇宙を身近に感じる機会が増えるということは、宇宙開発に興味を持つ人が増えることにも繋がるでしょう。今後の宇宙ビジネス・宇宙開発を盛り上げる起爆剤となる可能性を秘めています。
・宇宙エンタメ市場を育てる政策
宇宙旅行市場では、海外企業に先を越されている感は否めませんが、立地を活かした宇宙港の整備が進むことで、宇宙旅行のホットスポットとして世界中から注目される場所となる可能性は十分にあるでしょう。
また、宇宙旅行以外の宇宙エンタメ市場のカテゴリにおいては、日本の宇宙ベンチャーは世界的に見てもバラエティ豊かで、着実にサービス開始に向けて前に進んでいます。
実際に、宇宙エンタメ市場については、2050年で国内の市場規模が2兆円になるとの予測レポートもありました。
今後、国内の宇宙ビジネスにおける注力領域として、宇宙エンタメ市場の名前があがることも遠くないでしょう。その際に、どのような政府支援が出てくるのかにも注目したいところです。
・非宇宙企業の宇宙エンタメ市場参入
3つ目のポイントは、宇宙ベンチャーだけでなく、ソニー社のような、これまで宇宙ビジネスとは無縁だった非宇宙企業が宇宙エンタメ市場に参入する可能性です。
例えば、宇宙旅行に行くからこそ楽しめるおもちゃを開発する企業や、地方自治体のお祭りのようなイベントでの人工流れ星鑑賞や、記念撮影などといった人工衛星利用企画をする広告代理店の登場。また、月面に物を送り、地球に送り返すことが当たり前の時代になった時には、実際の月面ローバー使ったVRレーシングゲーム開発や、月の砂で作ったプラモデルの販売が可能になるかもしれません。
宇宙エンタメ市場は国内の様々な企業が参入の種を持っています。
例えばこういうことはできる?という宇宙エンタメビジネスの種をお持ちの企業があれば、ぜひ「info@sorabatake.jp」までご連絡をいただけますと幸いです。
(5)まとめ
宇宙エンタメ市場に焦点をあてて、企業の一覧と今後への期待を紹介しました。
世界的に見ても、宇宙エンタメ市場において、日本は、企業の多様性、開発フェーズ、地理的な要因、また、エンターテイメント分野で世界的に著名な非宇宙企業の存在からリードランナーとなるポジションを獲得できる可能性があります。
5年後、10年後、宇宙エンタメ市場の拡大をきっかけに、より宇宙開発が身近になり、宇宙ビジネスがさらに拡大する良いサイクルが生まれていることが楽しみですね。