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日本初の月面着陸を果たすのは「オモテナシ」か。アルテミスⅠに搭載する探査機の詳細をJAXAが発表【宇宙ビジネスニュース】

【2021年11月29日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

NASAは、アルテミス計画の一環で、SLSロケットで月周回軌道にオリオン宇宙船を送り込む無人飛行試験「アルテミスⅠ」の打ち上げを2022年2月12日以降に予定しています。

11月25日、JAXAはアルテミスⅠに搭載する超小型探査機「OMOTENASHI(オモテナシ)」と「EQUULEUS(エクレウス)」の詳細を発表しました。

10機の超小型衛星・探査機が相乗りするアルテミスⅠ

2015年8月、NASAはアルテミスⅠの打ち上げにあたり、相乗りさせる超小型衛星を国際パートナーに募集しました。条件は、6Uサイズであり、有人探査を推進する技術、科学ミッションを含むこと、ロケット側に悪影響を及ぼさないことです。

SLSロケット Credit : NASA

JAXAは複数のミッションを提案したところ、OMOTENASHIとEQUULEUSが選定。当初は2018年に打ち上げる予定であったことから、急ピッチで開発が進められましたが、SLSロケットの開発の遅れなどにより、打ち上げが延期されていました。

アルテミスⅠには、アメリカ7機、日本2機、イタリア1機の合計10機の超小型衛星・探査機が搭載されます。

NASAは2021年10月に、SLSロケットの組み立てが完了したこととアルテミスⅠの打ち上げを2022年2月12日以降に実施する予定を発表しました。

1月初頭に実施される、SLSロケットに燃料を充填する試験(Wet Dress Rehearsal)の結果によって、打ち上げ日が決まると見られています。

超小型探査機「OMOTENASHI」と「EQUULEUS」

ここからは、アルテミスⅠに搭載される2つの衛星について紹介します。

OMOTENASHIのミッションシークエンス Credit : JAXA

超小型探査機「OMOTENASHI」のミッションは、超小型探査機での月面着陸技術の開発・実証およびSLSロケットから切り離されてから月に向かう間の放射線環境の測定です。

月には大気がないため、着陸前に落下のスピードを減速するには大きな推進力が必要です。この技術を実証し、低コストの超小型探査機が月面に着陸できるようになれば、大学や中小企業、あるいは個人でも探査が可能となり、月面探査の敷居を下げられるのではないかと期待されています。

また、予定通りに打ち上げが行われた場合は、OMOTENASHIは初めて月面に着陸する日本の探査機になります。

EQUULEUSのイメージ画像 Credit : JAXA

超小型探査機「EQUULEUS」のメインのミッションは、地球-月系のラグランジュ点L2点への飛行を通じて、太陽-地球-月圏での軌道操作技術を実証することです。

軌道操作技術の獲得は、超小型衛星ミッションの自由度を向上させ、得られる科学成果を拡大することにつながると考えられています。

2022年はアルテミスⅠのほか、NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)などで、多くの衛星や探査機、着陸船が月面に到達すると見られています。その流れの皮切りとなるアルテミスⅠには、多くの注目が集まるでしょう。

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