「得られるノウハウは、自動車のイノベーションにもつながる」日産がJAXAと共同研究中の月面ローバー試作機を公開【宇宙ビジネスニュース】
【2021年12月6日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
12月2日、日産自動車(以下、日産)は宇宙探査イノベーションハブの枠組みでJAXAと共同で研究を進めている月面ローバーの試作機を自社イベントで公開しました。
日産は、月面の砂地などの過酷な環境下であってもローバが走行できる駆動力制御に関する研究を2021年1月からJAXAと共同で進めています。
宙畑メモ
「宇宙探査イノベーションハブ」は、JAXAの共同研究プログラム制度です。様々な分野の人材・知識を集めた組織を構築し、革新的な技術の開発と、得られた成果を宇宙利用に限らず、地上でも社会実装することを目指しています。
参考:探査ハブについて
この研究には、日産が電気自動車の開発で培ってきたモーター制御技術と電動駆動4輪制御技術(e-4ORCE)が応用されています。
e-4ORCEの制御開発を担当している、先行車両開発部部長の中島 敏行氏は、プレスリリースでこのようにコメントしています。
「自動車の用途や走行シーンは様々であり、私たちが目指す究極の走行性能の研究開発を進めるにあたり、JAXAとの本共同研究で得られるノウハウは、地上における自動車のイノベーションにもつながると考えています。」
2019年にトヨタ自動車が有人月面ローバーの開発に着手したことを皮切りに、国内では自動車メーカーが宇宙事業に参入するケースが目立っています。2021年9月にはホンダが小型ロケットの開発に取り組んでいることを発表しました。
海外では、General MotorsとLockheed Martinが共同で月面ローバーを開発する計画を発表しています。
自動車メーカーそれぞれの意図や開発の進み具合に今後も注目が集まりそうです。