QPS研究所が38.5億円を調達。2022年に6機体制、「90分に1度」の観測が可能に【宇宙ビジネスニュース】
【2021年12月13日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
小型SAR衛星36機によるコンステレーション構築を進めるQPS研究所がシリーズBラウンドのファーストクローズで38.5億円を調達したと発表しました。これまでに調達した資金調達は累計総額で約72億円となりました。
QPS研究所は、1月に打ち上げた2号機「イザナミ」で70cm分解能での撮影に成功していました。代表取締役社長CEO 大西俊輔氏は、このようにコメントしています。
「シリーズAの資金調達から約4年で、私たちの小型SAR衛星開発の技術を宇宙実証することができ、衛星データビジネスに向けて本格的に動き始めることができました。」
今回調達した資金は、3〜6号機の開発および打ち上げに充てられます。打ち上げは2022年の予定で、成功すれば北緯、南緯45〜50度近辺においては90分に1度の頻度で撮影できるようになります。
また、QPS研究所は、リード投資家のスカパーJ S A Tと業務提携契約を結んだことを発表しました。
スカパーJ S A Tの人材をQPS研究所に派遣し、事業や技術、経営ノウハウを提供すること、営業力とネットワークを通じて、QPS研究所が提供する高分解能・高画質なSAR画像の強力な販売体制を構築することが業務提携の内容として発表されています。
スカパーJ S A Tは、国内で初めて衛星を打ち上げた民間の通信事業者です。現在はアジア最大の17機の衛星を運用しています。
QPS研究所の大西氏は、実証フェーズを終え、事業構築のフェーズに入ることを表明しました。
「今回のシリーズBでは、宇宙における豊富な経験を有するスカパーJ S A T様がリードインベスターとなり、資金だけでなく事業面でも業務提携を締結し、いよいよ事業構築のフェーズに入ります。災害対策をはじめ、効率的な経済活動のためにも地表の準リアルタイム観測データの必要性は年々増しています。これを機にSAR衛星のコンステレーション構築に向けて、より一層スピード感を持って進め、事業展開してまいります。」
国内で最も衛星運用の技術を持つ企業のひとつであるスカパーJ S A Tとの協業は、QPS研究所の事業を大きく推進するのではないかと考えられます。