Virgin Orbitが空中発射ロケットでSpireらが開発したデブリ観測衛星を打ち上げ【宇宙ビジネスニュース】
【2021年12月13日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
12月9日、空中発射ロケットの開発に取り組むVirgin Orbitは、2021年12月中旬から2022年1月中旬に予定されている打ち上げミッション「Above the Clouds」で、Spire Global(NYSE: SPIR)の衛星「ADLER-1」を搭載すると発表しました。
Virgin Orbitは2021年1月に実施した飛行試験で、民間企業としては6番目となる宇宙空間到達を果たしました。さらには、NASAの超小型衛星の軌道投入を成功させています。
Above the Cloudsは11月に発表されました。その際、米国防総省とポーランドの地球観測事業者SatRevolutionの衛星が搭載されることが発表されていたところに、Spire Globalが3番目の顧客として追加されたことになります。
ADLER-1はSpire Globalとオーストリア宇宙フォーラム(OeWF)、Findus Venture GmbHが共同で開発した、軌道上のスペースデブリを調査する衛星です。小型衛星の開発には数年かかるのが一般的ですが、ADLER-1は構想からわずか1年で打ち上げに漕ぎ着けたことが話題になっています。
また、Virgin Orbitは2021年度第4四半期までに上場する計画を発表していました。8月に契約統合契約を結んだ特別買収目的会社NextGen Acquisition Corp.II(NASDAQ: NGCA)との企業結合計画についても9日に発表しました。
宙畑メモ
SPAC(特別買収目的会社)とは、その企業自体は特定の事業を持たずに、一定期間内に未公開会社・事業を買収することのみを目的として株式市場に上場する企業のことです。従来の新規株式公開(IPO)よりも簡素なプロセスで上場を果たせるため、近年この方式の上場を採用するベンチャー企業が増加しています。
いわゆるSPAC上場に向けた用意が着々と進められている様子が読み取れます。
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参考
Spire Global,Inc. selects Virgin Orbit for late-load addition to next flight in record time