マヌーバって何? アストロスケール、ESAと1.2億円規模の衝突回避マヌーバ機能の強化研究に向けた契約を締結【宇宙ビジネスニュース】
【2022年3月14日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
3月10日、スペースデブリ除去サービスの提供を目指すアストロスケールが、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)と低軌道における衝突回避マヌーバ機能の強化研究に向けた契約を締結したと発表しました。
宙畑メモ マヌーバ
推進システム等を使用して、宇宙機の軌道を変更すること
この契約は、軌道上の衝突の可能性をより正確に判断し、最適化した回避マヌーバ計画を衛星にアップロードできる自動化システムの技術開発を目的とする、ESAの「衝突リスク推定・自動緩和活動(CREAM)」の一環です。
今回、アストロスケールは衝突回避研究の主導企業として選定されました。ESAの宇宙安全プログラムで多くの実績があるスペインのGMVと通信衛星事業を手掛けるOneWebと連携して、技術開発を行います。プレスリリースによると、本研究開発は80万ユーロ(約1.2億円)規模です。
アストロスケールは、2024年以降に運用が終了した衛星を除去する「ELSA-M」の軌道上実証を実施する予定です。その際に、CREAMで開発するソリューションの性能検証も実施する予定だといいます。
エンジニアリングディレクターであるスティーブン・ウォクス氏は、
「当社(アストロスケール)のELSA-M捕獲機は、各種通信オプションの搭載、高敏捷性をもつ推進系、優れた搭載機器処理能力、洗練された地上システムなど、さまざまな機能を備えています。これらは、この数年間の革新的な新しい衝突回避技術の実証に役立つでしょう」
とコメントしています。
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参考
アストロスケール、ESAと規模80万ユーロの衝突回避マヌーバ能力強化研究契約を締結 低軌道の衛星急増に備え、GMV・OneWebとも連携し研究