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ロケットエンジン開発スタートアップのUrsa Majorがメタンを燃料とする新型エンジンを発表【宇宙ビジネスニュース】

【2022年6月13日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

ロケットエンジン開発スタートアップのUrsa Majorがメタンを燃料とする新型エンジンを発表

ロケットエンジン開発に取り組むスタートアップであるUrsa Majorが、推力91t級で液体酸素とメタンを活用する新型ロケットエンジンArroway発表しました。

Ursa Majorがこれまでに開発してきたエンジンであるHadleyRipleyは、液体酸素とケロシンを活用したエンジンでした。メタンをロケットエンジンの燃料に採用するメリットとして、ケロシンよりも燃焼効率が高く低コストであること、環境に優しい燃料である点があります。

Arrowayは、市場で使われている既存のロケットエンジンと同等の推力を持ち、低コストに供給できるため、複数組み合わせれば、米国のロケット企業が使用できなくなったロシア製のロケットエンジンRD-180及びRD-181の代替品としても利用可能とのことです。

SpaceXの元幹部で現在はUrsa Majorの顧問を務めるJeff Thornburg氏は、以下のコメントを発表しています。

Launch organizations should consider whether they have the in-house experience, expertise, time, money, test facilities, and organizational fortitude to build their own engines.Arroway is the rocket engine that the industry needs, and Ursa Major is the right company to build it.
(訳:ロケット打ち上げ企業には、エンジンを自社製造するための専門知識・時間・資金・組織力が求められます。Arrowayは業界が必要としているロケットエンジンであり、Ursa Major社はそれを作るのにふさわしい会社なのです。)

Ursa Majorは、StoratolaunchGeneration OrbitPhantomといったロケットスタートアップ数社にロケットエンジンを納品しています。しかし、Ursa Majorが開発したロケットエンジンが宇宙空間に到達した実績はまだありません。

ロケットスタートアップ企業にとって大きなハードルである、ロケットエンジンの自社開発。資金力が限られている企業にとって、ロケットエンジンを外注する選択肢は現実味がありませんでした。低コストにロケットエンジンを供給可能なUrsa Majorが、ロケットスタートアップ企業の成長に貢献できるのか注目です。

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