NASAが民間・商用月輸送サービスの契約を開始【週刊宇宙ビジネスニュース 12/24~12/30】
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1. NASAが民間・商用月輸送サービスの契約を開始
2017年12月に発表されたプログラムCLPS(Commercial Lunar Payload Services)は、物資を月へ輸送するサービスを民間企業から公募するというものです。2019年から契約を開始し、10年間、最大26億USドルまで契約することとしています。初回の輸送は2021年12月31日までを予定しており、複数社と契約するとしていました。
審査の基準は以下の5項目でした。
(1) 10kgの物資を輸送できる能力を有すること
(2) 輸送完了までのレギュレーションを理解していること
(3) 打ち上げ計画が現実的であること
(4) 機器の設計が信頼に値すること
(5) NASAの機器とのインテグレーション
2018年11月29日、NASAはこの基準を満たしたとされた9つの民間企業と契約を締結しました。契約を締結したのは、Astrobotic, Deep Space Systems, Draper, Firefly Aerospace, Intuitive Machines, Lockheed Martin, Masten Space Systems, Moon Express, Orbit Beyondの9社です。
有力候補とされていたCrow Industriesは、提出した計画の中で、輸送できるとした物資の量に対してエンジンの能力が不足しているのではないか、計画遂行に値するバジェットが不足しているのではないか、という観点から審査基準を満たすことができず、採用となりませんでした。
同社が計画するランダーの動画などは公開されているものの、エンジンの詳細な性能など技術的な詳細は明らかにされていない部分が多いのが現状です。
同社のHeald氏は、「今回はCLPSに選定されていませんが、NASAが指摘した項目の改善は近いうちに解決できると確信しています。システムを改善し、次回の選定機会で採用され、CLPSに参加できることを楽しみにしています。」と語りました。
このCLIPSには、Draperというチームで月面での資源探査を目指す日本のispace社も参加しており、2021年までの動向に注目が集まります。
参考
Runner-up in NASA commercial lunar lander competition plans to try again|SPACENEWS