フランスのディープテック企業Cailabsが光地上局の建設へ。2024年に試験運用開始予定【宇宙ビジネスニュース】
【2022年10月12日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
スウェーデン宇宙公社(SSC)は、欧州宇宙機関(ESA)の光通信技術の研究開発を支援するプログラム「ScyLight」の一環で、110万ユーロ(約1億7000万円)の契約を獲得したことを発表しました。
同時にSSCは光通信ネットワークの構築に向けた最初のステップとして、最初の光地上局の建設をフランスのCailabsに発注したと発表しています。建設地はオーストラリア西部で、2024年に試験運用が始まる予定です。
宙畑メモ 光地上局
衛星データの需要拡大に伴い、高速かつ大容量の通信が可能な光通信に対応した光地上局の建設が始まっています。
Cailabsは2013年に設立されたディープテック企業で、通信や産業レーザー向けのフォトニクス(光工学)製品の設計、製造、販売を手掛けています。同社は日本のKDDI総合研究所からの受注実績があり、光ファイバー1芯で伝送することができる伝送容量の世界記録の更新にも貢献しました。
同社は地上局を保有し、運用するヨーロッパ初の民間企業です。2022年9月8日には、フランス・レンヌの自社工場で試験的な地上局を設計・製造したことを発表しています。
この地上局はフランスの小型衛星ベンチャーUnseenlabsの超小型衛星との通信を実現することを目的に、フランス軍事省らが支援するKeraunosプロジェクトの一環で建設されたものです。実証は2023年上期に実施される見込みです。
ディープテック企業であるCailabsが宇宙産業への参入を決めた理由について、CailabsのCEO ジョン-フランソワ・モリズール氏は
「私たち(Cailabs)の製品に関連する機会を見出し、探索し挑戦すればするほど、大気圏を介したレーザー通信の重要な問題に対する真の解決策があることに気づきました」
と説明しています。一般的に宇宙光通信は、大気の揺らぎの影響を受けて通信品質が劣化してしまいますが、Cailabsの地上局は独自の技術を用いて高い品質の通信を実現させられるのが強みです。
Cailabsの地上局は、高い技術力を持つ企業が宇宙産業に参入し、宇宙企業と連携していくことで、これまでは解決が難しかった技術的な課題の解決にも取り組むことができる事例の一つとなりそうです。
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参考
SSC awarded 1.1M€ contract by ESA for optical ground network
SSC engages Cailabs to build its first optical ground station