Virgin Orbitが事業停止、設備は3社が落札。売却先のRocket Labは設備を新型ロケットの生産に活かす方針【宇宙ビジネスニュース】
【2023年5月29日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
5月23日、小型ロケットを専用の航空機から空中発射して打ち上げる輸送サービスを行っていたVirgin Orbitが、資産を4社に売却し、事業を停止することを発表しました。
Virgin Orbitは1月に実施した打ち上げに失敗した後、経営難に陥り、破産法第11条に基づく更生手続きの適用を申請していました。
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5月24日には、アメリカ・デラウェア州連邦破産裁判所がVirgin Orbitの資産の売却先を発表しました。
Virgin Orbitの本社と製造設備などはRocket Labのアメリカ拠点が1,610万ドル(約22.6億円)で落札しました。Rocket Labは近郊にある同社の設備と落札した設備を組み合わせることで、開発中の大型ロケット「Neutron」の生産に活かす考えです。一方で、Virgin Orbitの打ち上げシステムをRocket Labの既存の打ち上げサービスに統合する予定はないことを説明しています。
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モハベにある試験設備などは液体ロケットエンジンを開発するLauncherが270万ドル(約3.8億円)で、航空機とその関連資産は超極音速機を開発するStratolaunchが1,700万ドル(約24億円)で落札しました。そのほかの設備の売却先としては、Inliper Acquisition LLCが暫定的な落札者として社名が挙がっています。
また、連邦破産裁判所の資料には、Virgin Orbitのコナント工場とマクゴーウェン工場にある、製造段階にあったロケットなどを含む在庫は「債務者にとって最善」として売却しないと判断されたことが記載されています。
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参考
STATEMENT REGARDING VIRGIN ORBIT
IN THE UNITED STATES BANKRUPTCY COURT FOR THE DISTRICT OF DELAWARE