宙畑 Sorabatake

衛星データ

北海道で流氷を見たい! 流氷の位置を衛星データで確認する方法

流氷を生で見たことがありますか? 北海道から流氷が見える時期はいつなのか、衛星データで流氷を確認する方法をご紹介します。

1月13日に網走で「流氷初日」が発表されました。流氷初日というのは、その年に初めて流氷が肉眼で観測された日を指します。今年の流氷初日は例年に比べて8日早いようです。

1月13日に網走地方気象台の屋上から確認された流氷 Credit : 網走地方気象台

毎年1月から3月にかけて北海道のオホーツク海沿岸に海氷が流れ着きます。

流氷初日のほかにも、はじめて流氷が北海道に接岸した日を「流氷接岸初日」、離岸した日を「最終離岸日」、流氷が肉眼で見えなくなって日を「流氷終日」と呼ぶそうです。

今回は海氷が多くなる時期に着目し、流氷がどこまで来ているのかを衛星データを使って調べた結果をお伝えします。

(1)光学?SAR?海氷を観測するセンサーのメリットデメリット 

まず、衛星データを使って海氷を調べるとなったときに、「光学センサ」「SAR」「マイクロ波放射計」の3つの方法が考えられます。

3種類のセンサーによる観測イメージ図 Credit : sorabatake

本記事では、それぞれの方法で流氷を確認しますが、各々のメリットデメリットを先に紹介します。

光学センサー
メリット
・肉眼と同じように(可視光で)観測できる
・波長の組み合わせで雲と海氷を識別することが可能

デメリット
・可視光では雲と海氷の区別が難しい
・雲の下にある海氷を見ることができない
・夜は観測できない
・観測頻度が少ない

SAR
メリット
・天気や夜に関係なく観測できる
・海氷の面積を把握しやすい

デメリット
・陸地との区別がしにくい場合もある
・光学のように色で判別することが難しい
・観測頻度が少ない

マイクロ波放射計
メリット
・全球の海氷をほぼ毎日観測できる
・広範囲の海氷の広がりを把握できる

デメリット
・解像度が低い
・画像に処理を行う方法が複雑

(2)衛星データで流氷がどこまで来ているか見てみよう

では、実際に最近の衛星データを確認して、流氷がどこまで来ているかみてみましょう。

まず、EO Browserを使って光学センサーで流氷の様子が見えるか確かめてみます。

sentinel2Aが1月13日に撮影

上記画像は(肉眼で見えるものと同じ)可視光で捉えたオホーツク海の様子です。雲も流氷も白いのでどれが流氷なのかよく分かりません。

次は、波長の特性を活かして雪氷と雲を区別できるようにしてみましょう。

sentinel-2の観測する波長帯でバンド12(2.2μm)、バンド8A(0.86μm)、バンド4(0.66μm)をそれぞれ赤、緑、青に変換したSWIR(Short Wave Infra-Red:短波長赤外)画像

EO Browserにはバンドの組み合わせ例の一つにデフォルトで「SWIR」が備わっています。

この組み合わせでは、赤と緑に配色している短波長赤外の波長は氷や雪が雲よりも反射が弱くなるため、青に配色したバンド4の色だけが強く色に出ます。

また、同じように植物がある場所は緑に配色したバンド8aの波長が強く出るので、緑に配色した植物が多い場所が緑色になります。

短波長赤外の氷をあまり反射しない特徴を画像処理に活かして、青いところが流氷と区別できるようになりました。

※波長の組み合わせについては「光の波長って何? なぜ人工衛星は人間の目に見えないものが見えるのか」の「4-8 波長の組み合わせから地球を見る」の章もご参照ください

次に、1月18日にSAR衛星(sentinel1)が観測したオホーツク海周辺を見てみましょう

SAR(sentinel1)の画像

可視光のように雲は写らないので、オホーツク海にある雲のような白い部分が流氷だと思われます。

最後に、マイクロ波放射計(JAXA人工衛星「しずく」に搭載のセンサーAMSR2)による海氷密度を可視化した画像です。

北極圏の海氷分布図からオホーツク海のエリアだけに注目しています。

2019年1月18日のオホーツク海の流氷の密接度
白が濃いほど流氷の密接度が高い ※ADSサイトの画像から切り抜き
https://ads.nipr.ac.jp/vishop.ver1/ja/vishop-monitor.html?N
Credit : JAXA

ロシアの沿岸から樺太を経由して北海道にまで伸びている様子が見て取れます。

(3)衛星で流氷をモニタリングし、未来を予測する

衛星データでどこまで海氷がきているか紹介してきました。3つのセンサーのどれでも海氷の様子を見ることはできますが、それぞれメリットデメリットがありました。

一つの手法だけでなく、複数の手法を使うことでそれぞれに足りない情報を補完することができます。

また、人工衛星で観測することには、データを蓄積し、同じ条件で定期的に観測することができることに大きなメリットがあります。

ADSのサイトでは北極海の海氷面積のグラフをダウンロードすることができます
https://ads.nipr.ac.jp/vishop/#/extent/&time=2019-01-18%2000:00:00

マイクロ波放射計を使った観測は数十年分の観測データがすでに蓄積されています。

今年は例年に比べて流氷初日は早いようですが、地球温暖化の影響によって、今後の海氷の動きにどう影響するかも注目しなくてはいけない地球規模の課題です。

このような年ごと、季節ごとなど過去の情報から推測される今後の流氷予測は気象庁などが提供しています。

(4)まとめ

今回、流氷がどこまで来ているかを衛星データで確認することはできました。しかし、いつが流氷の見頃なのかは、過去の衛星データや地上での観測結果をもとに推測するしかありません。

海上保安庁では、流氷の時期になると毎日、流氷の分布をHPに公開しています。

このサイトを見るとその日の天候によって観測できてないエリアがあることがわかります。

衛星データで見ることができなかった日は、地上での観測結果のみで海氷分布を作成し公開しているようです。

今後観測できる衛星が増えて、観測できる頻度が上がれば、いつ頃接岸、離岸しそうかを機械学習によって効率よく予測することもできるようになるかもしれません。

流氷が見える期間が正確にわかるようになれば、その分、流氷観光ツアーの計画を効率的に立てるなどの観光ビジネスや船舶の安全な運航判断などにも活かされていくでしょう。

流氷に限らず、なにかを定期的に観測することでビジネスや環境問題の課題解決につながるアイディアが生まれるかもしれませんね。