宙畑 Sorabatake

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ソニー発! ゲーム感覚で人工衛星が見ている世界を共有できる「EYEコネクト」がオープン! 2024年3月には30組に撮影体験の提供

ソニーグループ株式会社の「STAR SPHERE(スタースフィア)」プロジェクトが公開した、運用する超小型人工衛星『EYE』の今と、EYEが見る宇宙の景色を体験できるWebアプリ「EYEコネクト」の魅力を紹介します。

2024年1月17日、ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)は、同社の「STAR SPHERE(スタースフィア)」プロジェクトが運用する超小型人工衛星『EYE(アイ)』の軌道をシミュレートし、『EYE』が見る宇宙の景色を体験できるWebアプリ「EYEコネクト」を公開しました。

超小型人工衛星『EYE(アイ)』のモックアップ(正面)

また、2024年3月には30組に、実際に『EYE』へ撮影指示を送り、宇宙からの撮影ができる期間限定のサービス「宇宙撮影体験」の提供を行うことも発表。2024年中に追加の体験者募集も順次行う予定となっています。

2023年1月にEYEを打ち上げ、そのちょうど1年後となる今回のリリースまで、STARSPHEREプロジェクトチームは困難を乗り越えてきたと言います。

度重なる苦難を乗り越えたEYEの今

EYEを打ち上げた2024年1月は、ファーストライト(衛星による初めての撮影データの確認)に成功し、4K動画の撮影にも成功し、順調でした。

しかし、その数か月後、人工衛星の姿勢を制御するために必要なリアクションホイールの3つのうちひとつが故障してしまいます。そのため、当初想定していた宇宙撮影サービスの提供を中止することを決断。再起に向けて東大や協力会社、ソニーグループ内の専門チームなど様々な協力を受け、どのようにすれば撮影が継続できるのか、また、今のEYEでどのような写真の撮影が可能なのか、模索し続けたと言います。

その結果、EYEが常に太陽に背を向けた状態で、姿勢を安定させるため軸周りに0.8度/秒程度回転しながら、軌道上を周回することで、2024年に今回のサービスを提供できるまでにいたり、今回のサービス発表となりました。

超小型人工衛星『EYE(アイ)』のモックアップ(裏面)

以下の動画はEYEコネクトで確認ができるEYEの動きのシミュレーションです。ずっと地球にカメラを向けているわけではなく、太陽パネルが全面に貼ってある背面を太陽に向けながら軌道上を周回していることが分かります。

EYEコネクトでできること

今回発表されたWebアプリ「EYEコネクト」は、EYEが宇宙空間のどこにいるのか、また、EYEのカメラがどこを向いており、特定のタイミングでどのような撮影ができるのかが分かります。つまり、EYEが宇宙空間で見ている世界を地上にいる私たちが疑似体験でき、そのサービス名の通りEYEと繋がっている感覚を得ることができるでしょう。

例えば、JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」が月面着陸に成功したその日の午前9時44分10秒のタイミングでは、SLIMを打ち上げたH-IIAロケット47号機が飛び立った場所である鹿児島県の種子島を撮影できる位置にEYEはいたようです。

EYEコネクトでは、SLIMが着陸した日にどこにいたのだろうか?だけではなく、未来の特定のタイミングでEYEはどこにいるのかも検索できます。

そして後ほど紹介する宇宙撮影体験の肝となる機能である「撮影したい場所が決まっている際にその場所がいつ撮影できるのか」の検索ももちろん可能です。

左上にある検索窓に撮影したい場所を入力し、下部にあるカレンダーの枠に任意の期間を入力することで、その期間に撮影したい場所の上空をEYEが通る候補日時が左側に一覧で表示されます。

また、気に入った写真があれば画面中央のカメラボタンを押すことで、そのキャプチャ写真をストックし、ダウンロードすることも可能です。

ここまでは、EYEコネクトの利用登録をすれば誰でも楽しめるサービス。ソニーが開発したWEBアプリケーションともあって、ゲーム感覚で気軽に人工衛星と繋がる体験を楽しむことができます。

2024年2月13日(火)に応募開始、第1回は限定30組の撮影体験募集

冒頭でも記載した通り、EYEに撮影してほしいタイミングと場所を指示し、その写真をもらえる「宇宙撮影体験」を提供することをソニーは発表しています。

第1回目の「宇宙撮影体験」は、2024年3月中に30組へのご提供を予定しており、2024年2月13日(火)より募集を開始。詳細は決まり次第、更新のうえ、公式サイト、X、メールマガジンでお知らせがあるそうです。

宇宙撮影体験ができると決まった方には、オリジナリティのある1枚を表現したい方向けの「スペースフォトグラファー養成講座」と、宇宙旅行に行ったような記念の1枚を残したい方向けの「地球の見どころガイドツアー」が用意されており、体験者に合ったテーマで、STAR SPHEREのナビゲーターが撮影をサポートするという特典も。

宇宙撮影体験に興味がある方は、ぜひ応募してみてください。

・宇宙撮影体験の公式サイトはこちら

実際に宙畑編集部が撮影した画像とEYEコネクト上での撮影シミュレーション画像

今回、宙畑編集部は「宇宙撮影体験」の先行体験機会をいただき、宙畑で取材した熊本にある阿蘇草原の状況が分からないかと熊本県と種子島宇宙センターが写るだろう日時を指定して撮影リクエストしました。リクエストした日時は2023年12月20日、午前9時46分4秒でした。

EYEの撮影モードでキャプチャした依頼した日時のシミュレーション画像

EYEは常に太陽に背を向けた状態で、姿勢を安定させるため軸周りに0.8度/秒程度回転しています。そのため、必ずしも意図通りの写真が撮影できるわけではありません。

リリースには「(上述の)撮影アングルのズレや気象条件により、意図とは異なる写真が撮影されることもありますが、そんな偶然の景色も、『EYE』がその日その時に見ている宇宙、地球の表情として、かけがえのないもの。撮影当日に『EYE』が何を見ていたのか、写真を待つワクワクも、ぜひお楽しみください。」とあります。

その言葉の通り、その日の天気はどうだったかな、うまく阿蘇山の状況が撮れているのかなとドキドキしながら写真の提供を待つことができました。

実際に撮影された写真は以下になります。

残念ながら当日は九州上空に雲がかかり、はっきりと阿蘇山の姿がはっきりとは分からない状態ではありましたが、それでも地球の丸みと綺麗な青が美しい写真をいただくことができました。他にも、雲といっても様々な雲の形があることが分かりますし、奥の方には中国大陸があり、様々な色味があることを確認することができます。人工衛星に指示して撮影してもらったオリジナルの写真だと思うと、1枚の写真に対して様々な興味が湧きやすくなりますね。

宇宙撮影体験は、2024年2月に募集を開始する機会に限らず、追加の体験者募集も2024年中に順次行う予定とのこと。初号機『EYE』は、2024年度中にその寿命を迎える予定となっているので、興味がある方はこの貴重な機会を逃さないよう、STARSPHEREプロジェクトの今後の動向を要チェックです!

・STAR SPHERE公式サイト
https://starsphere.sony.com/

・STAR SPHERE公式X
https://twitter.com/STARSPHERE_Sony

・STAR SPHERE公式YouTube
https://www.youtube.com/@sonystarsphere643