アストロスケールの英拠点とエアバスが協業。デブリ除去、軌道上サービスなど【宇宙ビジネスニュース】
【2024年8月26日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
8月13日、アストロスケールのイギリス拠点はAirbus Defence and Space(以下エアバス)と、軌道上サービスとデブリ除去における協業の可能性に関する覚書を締結したことを発表しました。
今回の覚書における協力分野はデブリ除去、軌道上サービス、軌道上のランデブ・近傍運用(RPO)、軌道上での組み立てと製造、衛星の燃料補給と寿命延長です。
デブリ除去に関しては、アストロスケールの今後のミッションでエアバスのロボットアーム「ビスパ」を取り入れる可能性を継続して模索していくということです。
両社は「エアバスが持つ衛星開発における豊富な経験とアストロスケールの先進的で宇宙実証済みのRPOと軌道上サービスの技術を掛け合わせることで、安全で効率的な宇宙利用の新たなスタンダードを確立します」と説明しています。
なお、アストロスケールは商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」のミッションにおいて、軌道上に残っているH-IIAロケット15号機の上段に接近し、周回観測に成功したことを7月に発表しました。アストロスケールによると本物のデブリの周囲を飛行する運用に成功したのは世界初だということです。
ADRAS-Jは、JAXAが民間事業者等と連携してスペースデブリ対策市場の創出を進める商業デブリ除去実証プログラム「CRD2(Commercial Removal of Debris Demonstration)」のフェーズⅠで開発された衛星です。
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今回のフェーズⅠでは、軌道上に残っているH-IIAロケット15号機の上段への接近・近傍運用の実証と長期にわたり放置されたデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行っています。
アストロスケールは、H-IIAロケット15号機の上段のさらなる画像データを取得するとともに、デブリの捕獲や軌道離脱を目指すCRD2のフェーズⅡに採択されたことを8月20日に発表しました。契約額は約130億円です。
本格的なデブリ除去や軌道上サービスの提供に向けて、技術実証が進んでいる様子がうかがえます。