宙畑 Sorabatake

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【IAC 2024レポート】120か国から10,000人超の宇宙業界関係者が集う世界最大級の国際的なカンファレンスはじまる

2024年10月14日~18日の5日間、ミラノで開催されているIAC 2024の初日の様子を記事で簡単にまとめました

2024年10月14日、1950年から続く、世界中から宇宙業界の関係者が集う国際的な宇宙カンファレンス、IAC(International Astronautical Congress)がミラノで始まりました。

会場はミラノ コンベンションセンター

参加者は全体を通して約10,000人を超え、世界120カ国から様々な宇宙機関と宇宙業界に携わる方、宇宙業界にこれから携わりたいと考えている方が会場に集う規模になっているとのこと。

多くのスポンサー、協力機関のロゴが並んでいることからも、その規模がうかがえます
初日の最後に行われたWelcome receptionの会場は、奥が見えないほどの広さで数多くのテーブルが配置され、多くの参加者が活発に交流していました。

規模感をお伝えするため、いきなりWelcome receptionの写真を掲載してしまいましたが、本記事はIAC 2024の初日の雰囲気を感じていただけるような、写真が多めの記事となっております。セッションの内容についてはまた別途まとめての紹介予定です。

まず、特筆すべきは、会場の広さと出展する宇宙機関や企業の数です。セキュリティチェックを終え、会場に入るとすぐに大きな出展ブースが見えますが、入ってすぐに見えたエリアは実際の出展エリアの約3分の1程度であり、IACに初めて参加した筆者はその規模に驚かされました。

出展内容については、企業が個別に出している展示も多くありますが、JAXAやNASA、ESAといった、各国、各地域の宇宙機関が大きなブースを構え、各国で活躍する宇宙企業と合同で展示しているのもまた世界的なカンファレンスならではの雰囲気だなと実感しました。「この企業はこの国発だったのか」「この国はこういった企業が多い特色があるのだな」「こんなに面白い企業があったのか」など、新しい発見も多く、初日から非常に学びの多い時間でした。

また、各国のブースは、それぞれの国の特色を表現したブースとなっており、各国独自のこだわりが感じられました。各国のブースの様子はXでも紹介していますので、ぜひご覧ください。

JAXAでは、ブース内で講演を行うことで参加者の注目を集めていました

最初のPlenary Programme(参加者ほぼ全員が出席する規模の主要なプログラム)は、「One-to-one with HEADS OF SPACE AGENCIES, Auditorium」と題され、欧州、アメリカ、日本、インド、カナダ、中国のリーダーがそれぞれの国で進める宇宙開発と実績、今後の展望を紹介しました。

2000席以上ある会議室が満席で、立ち見も出ているほど。各国が何を考えて、どのような課題に対して宇宙を利用・探索をしているのかについて、多くの興味が寄せられていました。また、セッションについても、各宇宙機関のリーダーが集まってパネルディスカッションをするという形式ではなく、タイトルに「One-to-one」とある通り、各国の宇宙機関のリーダーに一人のインタビュアー(実際にはインタビュアーが二人で、交互にインタビュアーを変更する形式で3回)がインタビューをするという形式で進められました。

JAXAの山川理事長のone-to-oneでは、SLIMの月面着陸やH3ロケットの成功、アストロスケールがデブリを補足した写真を撮影したことの紹介があり、だいち4号(ALOS-4)についてもインタビュアーから質問される場面がありました。

この形式で話が展開すされることによって、どこか一つの国の話に偏りすぎることがなく、また、ただ各国の取り組みを講義形式で聞くだけではないため、とても良い方式だなと思いました。

日本以外の、欧州、アメリカ、インド、中国、カナダといった他国の宇宙機関のリーダーから直接話を聞ける機会はなかなかないので、とても貴重な体験でした。写真はインド宇宙研究機関(ISRO)の長官S. SOMANATH氏。

その後も様々なプログラムが並行して行われており、参加者はそれぞれの興味があるセッションに足を運んでいました。

また、報道機関向けに公開されたプログラムもあり、筆者は、宙畑でも衛星データ活用事例を考えたり、誰かに紹介をするうえで参考にすることも多いレポート「EUSPA EO and GNSS Market Report」を発刊するEUSPA(EU Agency for the Space Programme)による「EUSPA SPACE USER CONSULTATION PLATFORM PLENARY, HOW USERS ARE AT THE CENTRE OF THE
EU SPACE PROGRAMME TO BUILD ITS FUTURE」と題されたプログラムに参加しました。ここでは、欧州が何を考えてコペルニクスやガリレオと言った独自の衛星プログラムを構築し、どのような事例が生まれたか、また、創出されるかが紹介されました。衛星データについて語られた内容はIACを通して得た知見をまとめて記事を執筆したいと考えています。

合わせて、日本の宇宙企業がどのような展示を世界に向けて準備し、発信していたかについても、別途記事を執筆予定です(初日ですべての企業と会話することができませんでした)。こちらもぜひ楽しみにしていただければと思います!

その他、興味深い展示がいたるところにあり、初日ではすべてを回りきるということはとてもできませんでした。

宇宙飛行士のポスターかな?と思って近づいてみると……
宇宙業界で活躍する女性の展示でした。2024年7月に日本で開催されたSPACETIDEでも「DEI(多様性・公平性・包括性)はどのようにして宇宙ビジネスの世界を紡いでいくのか?」と題されたテーマでセッションが組まれており、現在宇宙業界においてDEIの重要性が高まっていることをあらためて感じさせられる展示でした。
APOLLO11の司令船に備え付けられている設備の説明というとてもマニアックな展示があり、思わず写真を撮らずにはいられませんでした。
実際の司令船の中身と見比べることもできました。これだけのスイッチを扱えるようになるまでに相当の訓練がなされていたことが容易に想像できますね。

引き続き、2日目以降のIAC 2024も楽しみながら学びたいと思います!

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