宙畑 Sorabatake

特集

新宇宙時代、怒涛の3日間~衛星データの民主化・はやぶさ2着陸・宇宙旅行前進~

2/21~2/23は宇宙開発の話題が3日連続で続く、怒涛の3日間でした。いったい何があったのか。また、2019年への期待を宙畑編集部でまとめてみました。

2/21から2/23は、宇宙ビジネス・宇宙開発の話題が毎日続く、怒涛の3日間でした。

実際に、ビジネスパーソンのための経済メディア「NewsPicks」でも、以下3つの話題が150Picks以上(NewsPicksにおける記事の話題度を示す指標)のニュースとなっていました。

2/21:2019年2月リリース! 衛星データプラットフォーム「Tellus」でできること(168Picks)
2/22:はやぶさ2 着陸に成功 詳しいデータ分析へ JAXA(793Picks)
2/23:ヴァージン、初の乗客あり宇宙飛行に成功 高度89.9キロに到達(539Picks)
※2/24、22時時点

本記事ではそれぞれの話題について紹介し、最後に今後の宇宙ビジネスへの期待についてまとめています。

(1)2/21:衛星データの民主化、衛星データプラットフォーム「Tellus」オープン!

2/21に行われた「Tellus SPACE xData Fes.」での一コマ Credit : sorabatake

2019年2月21日、日本初のオープン&フリーな衛星データプラットフォーム「Tellus」がオープンしました。

「Tellus」は、経済産業省からさくらインターネット株式会社が委託を受けた「平成30年度政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備事業」です。
※宙畑は2018年12月18日よりTellusのオウンドメディアとなりました

これまでは、衛星データを解析するとなると、専用のパソコンや解析ソフト、決して安くはないデータ購入費用が必要で、利用者は主に研究者や特定の企業と限られていました。

今回は、Tellusにより、誰でも無料で衛星データを解析できる環境をセットで手に入れられる、ということで、衛星データ利用の敷居が一気に下がることもあり、公開に大きな注目が集まりました。

現在衛星データは防衛分野を除くと、災害状況の把握や、農業・漁業といった一次産業を中心に利用されています。

今後は物流、観光といった、これまで衛星データを利用してこなかった業界への利用拡大も期待されています。

Tellusを通して、衛星データというものが一体どのようなもので、それを使って何ができるのか、何がわかるのか、ということを、より多くの人が知るようになるでしょう。

衛星データ利用者が増えて需要が増せば、ロケットや衛星自体の打上げも増え、宇宙産業の市場拡大へとつながっていきます。

Tellusは無料で利用できることもあり、衛星データを利用した新しいサービス創出をチャレンジするプレイヤーが増え、新たなサービス創出につながることへの期待が高まります。

Tellusの公式HPはこちら

(2)2/22:民間小惑星探査も間近、はやぶさ2、リュウグウにタッチダウン成功

タッチダウン直後の画像、ONC-W1による撮影。はやぶさ2の影がリュウグウの地表面に写っていることが分かります Credit : JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研

2019年2月22日午前、はやぶさ2が小惑星「リュウグウ」にタッチダウンを成功しました。

また、地表面に向けて弾丸を発射し、巻き上げた地表面の物質サンプル採取についても弾丸の発射は成功したとのこと。

2010年に帰還した「はやぶさ」に引き続き、世界で2例目の小惑星表面物質採取成功に期待の声が上がっています。

さらに、この日はSpaceXが民間月面探査機であるイスラエル民間宇宙団体、SpaceILの「Beresheet」を乗せたロケットを打ち上げたことでも盛り上がりました。

今回の月面着陸が成功すると、民間による月面探査機の月面着陸は世界初となります。

2019年1月3日には中国が月の裏側に世界初の探査機着陸を成功させたことも記憶に新しい出来事。

今年は宇宙探査においても世界的な快挙が続いています。

(3)2/23:宇宙旅行に前進、宇宙航空機「SpaceShip Two」テストフライト成功!

2019年2月23日、初の民間宇宙旅行を目指すVirgin Galactic社の「SpaceShipTwo」が、初めて3名でのフライトテストを行い、前回のデモ飛行に引き続き、見事に再び高度89.9キロに到達し、帰還を果たしました。

「Virgin Galactic社、高度80km以上到達で宇宙旅行の試験飛行に成功」でも紹介していますが、国際航空連盟(FAI)の定義では、高度100km以上を宇宙空間としているところ、FAIでは、宇宙の定義を高度100kmから引き下げる議論が行われているそうです。
※米空軍とNASAではすでに、高度80kmを宇宙空間とする定義を採用しているとのこと

今回のテストフライトは、民間宇宙旅行に大きな一歩を踏み出したと言える貴重な日となりました。

ZOZOの前澤社長の月旅行が2018年に発表され、Blue Originのフライトテストも順調に推移。宇宙旅行の話題も夢物語ではなく、徐々に当たり前に近づいてきているようです。

(4)宇宙ビジネス第3の波が大きくなる予兆を感じた2019年初頭

今、宇宙ビジネスには第3の波が来ていると言われています。第一の波は米ソ開発競争。第二の波は政府主導による国際協調の流れと有人宇宙開発。そして、第三の波が民間企業の参入による、宇宙ビジネスのさらなる拡大です。

この3日間は、まさにその盛り上がりを象徴するかのような3日間でした。

そして、2019年は宇宙開発に対する問いに対して、多くの人が答えを持てる年になる。そんな予感がしています。

・なぜロケットを打ち上げるのか。
⇒衛星や探査機を宇宙に運び、地球を観測してビジネスに利用したり、小惑星を探査するため

・なぜ宇宙旅行にお金を投資するのか
⇒実現できるから、宇宙に行きたい、宇宙から地球を見たいから

これまでは何のためにロケットを打ち上げ、衛星を利用するのか、限られた人のみが理解していたものが、誰もが想像できるようになるまでに、宇宙が人類にとって身近になり始めているのでしょう。

「宇宙って夢があるよね」という時代から、「宇宙って便利だね」という時代への転換期とも言えるかもしれません。

もちろん、宇宙開発がビジネスとなるまでには、持続可能な状態にまで持っていかねばなりません。華々しい今回の複数の成果の先にもう一山ありそうですが、利用や参入の拡大がその山越えを後押しすることにつながることを期待します。

新宇宙時代を生きる私たちの前に、今後どのような驚きと感動が待っているのか、とても楽しみですね。