パラシュート展開に拍手喝采、SpaceXの有人宇宙船帰還テスト成功【週刊宇宙ビジネスニュース 3/4~3/10】
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日本時間3月8日午前22時45分、SpaceXによる民間企業初のISSへの有人宇宙船輸送と帰還テストミッションが、宇宙船「Crew Dragon」の大西洋着陸をもって完了しました。
帰還ミッションの動画をご覧いただくと、パラシュートがきれいに開いたとき、そして、海に無事着水したときの歓声と拍手は鳥肌モノです。
今回のミッションは「Crew Demo-1」と呼ばれ、SpaceXは、早ければ2019年7月には実際に宇宙飛行士を「Crew Dragon」に乗せて2回目のテストミッション「Crew Demo-2」を予定しています。
スペースシャトル退役後、ロシアのソユーズがISSへの宇宙飛行士の唯一の移動手段であったアメリカにとって、とても大きな嬉しいニュースとなりました。
ソユーズは1席約8000万ドル、4人乗り宇宙船の金額発表に期待
本ミッションは、NASAが再び米国本土から宇宙飛行士を打ち上げるために、SpaceXとBoeingの2社と2014年9月に商業クルー輸送機の開発の契約「CCtCAP (Commercial Crew Transportation Capability)」を結んだ上で行われたもの。
一方のBoeingも契約の遂行に向けて、来月にも宇宙船「Starliner」のデモ機を打ち上げる予定。有人飛行は順調にいけば8月以降に行われるようです。
NASAのサイトに掲載されている今後のスケジュールは以下の通りです。
Test Flight Planning Dates:
SpaceX Demo-1 (uncrewed): March 2, 2019
Boeing Orbital Flight Test (uncrewed): NET April 2019
Boeing Pad Abort Test: NET May 2019
SpaceX In-Flight Abort Test: June 2019
SpaceX Demo-2 (crewed): July 2019
Boeing Crew Flight Test (crewed): NET August 2019
https://blogs.nasa.gov/commercialcrew/2019/02/06/nasa-partners-update-commercial-crew-launch-dates/
両社の宇宙船はいずれも4人乗り。ソユーズが3人に対して、1人多く乗船できる設計になっています。これまでソユーズの1席を購入するのに約8000万ドル(日本円で約88億円)を支払っていたNASAですが、1席いくらになるのか、その金額が気になります。
ちなみに、スペースシャトルの1人当たりのISSへの移動費用は4~5人乗りで1回あたり450億円とのことだったので、ソユーズの金額よりも少し高いお値段だったようです。
有人宇宙飛行への民間企業参入が宇宙ビジネスのさらなる発展の起爆剤に
今回のテスト成功はアメリカ独自の新たなISSへの移動手段確保という視点と、有人宇宙飛行への民間企業参入ということも大きな注目ポイントです。
今後、有人宇宙の分野に民間が参入していくことは、前述のような、さらなる大きいお金が動くことにつながります。
ただ憧れやロマンとして語られがちだった「人類が宇宙へ行く」ということが当たり前になる時代には、有人宇宙飛行ビジネスはより大きなものとなっているでしょう。
また、その時代には宇宙へヒト・モノを運ぶために必要なコストも下がり、今以上に多くの人が宇宙へ飛び、今以上に多くの衛星が宇宙へ運ばれることで、今では想像もつかないようなことが今後起こることでしょう。
と、話が有人宇宙飛行から少し脱線してしまったところで、今回のSpaceXのテストミッション成功にあらためて大きな拍手を送り、本記事の締めとしたいと思います。
今週の週刊宇宙ビジネスニュース
民間企業のデータ利用促進に向けた政府の仕掛け【週刊宇宙ビジネスニュース 3/4~3/10】
参考記事
Crew Dragon departs ISS and returns to Earth
Boeing Preps for Upcoming Starliner Test Flight to Space Station