宇宙データを使ったオープンイノベーション!NICT SpaceHack2019に潜入!
2019年2月23-24日にNICT主催のハッカソン『SpaceHack 2019』が開催されました。2日間のハッカソンを密着取材しました!
2019年2月23~24日の2日間、国立の研究機関である情報通信研究機構(NICT)にて、宇宙データを使ったハッカソンが開催されました。
研究機関ならではの豪華な審査員やデータのラインナップが揃ったNICT SpaceHack 2019に、宙畑編集部が潜入してきた模様をお伝えします!
(1) インプットタイム
イベントは、SpaceHack 2019の企画者:湯村 翼さん(写真)によるレクチャーで始まりました。
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SpaceHack 2019の開催コンセプトは「Make Space Friendly」です。宇宙を身近に感じるようなアプリケーションを作ること、またイベントを通じて参加者にも宇宙を身近に感じてもらうことが、テーマとして示されました。
参加者の皆さんに聞いてみたところ普段は宇宙に馴染みのない方も多いようで、今回のこのテーマはぴったりですね!
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続いて使用するデータについてのレクチャーがありました。
SpaceHack2019では、NICTのスペシャリストの皆さんがメンターとして参加しています。それぞれが担当しているデータについて、NICTの事業紹介も交えつつ紹介していただきました。
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気象衛星「ひまわり」の観測データなど馴染みのあるものから、SMILES(大気分子スペクトルデータ)など参加者が今回初めて目にするような観測データなど、幅広い観測データが用意されています。オーロラや雲のデータは「雲賞」「オーロラ賞」を目指すチームにとっては特に重要なデータですね。
各データの詳細については、SpaceHack 2019のWebサイトに詳細な説明があるので、そちらをご覧ください。
https://sc-web.nict.go.jp/spacehack2019/resource.html
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会場に設置されていた『ダジック・アース』についても説明がありました。地球のデータを球状のスクリーンに投影できる非常に有効なツールです。参加者からは「ぜひ使ってみたい」という意見がありました。
(2) アイデアソン・チーム決め
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レクチャーが終了し、イベントは次の段階へ。アイデアソンを実施し、そのアイデアを元にメンバーを募ってチームを決めていきます。
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どのテーブルでも活発に意見が交わされていました。手を動かすのは大事ですね!
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生まれたアイデアを元に、チームを作っていきます。今回は合計8チームが誕生しました。
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(3) 個性豊かなチームが誕生
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Aチーム:NNNS!
『オーロラダイビング』と題してオーロラをモチーフにしたインスタレーションを制作しています。アイデアを深めつつ、早い段階から開発が進んでいる印象を受けました。観測データをどう活用していくのか気になります。
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Bチーム:Phase of the earth
『地球の満ち欠けを宇宙から見てみよう』がテーマです。ダジック・アースへの投影を今回最初に成功させたのはこのチームでした。当初アイデアは早々に実現し、完成度を高めるべくアイデアを練っていました。
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Cチームは:☆ほしログ
きれいな星空が見られる場所を探したり、感想を投稿することができるアプリ「☆ほしログ」を開発しています。企画者の荘司さんによると「僕がほしいアプリを作っています」とのこと。
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Dチーム:風に乗れ
ゲームを作りたい人たちが集まって、太陽風に乗って目的を目指すゲームを作るべく奮闘していました。宇宙天気予報の大切さを多くの人に知ってもらえるようにという、想いを語っていただきました。
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Eチーム:〇〇のきもち
1人チームですが、アイデアは挑戦的です!衛星で観測した大気スペクトル分子のデータが、かわいい動物たちのイラストで可視化されています。
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Fチーム:〇〇のきもち
もう1つの1人チームです。地球や月などの視点を借りて、宇宙にあるものの気持ちになることができるアプリを開発しています。
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Gチーム:Friendly Space
『オーロラの発生原理を楽しく理解しよう』がテーマです。3DCGの技術を使ってデータをわかりやすく可視化していきます。
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Hチーム:クラッピーチャレンジ
人工衛星「ひまわり」の観測データから雲を抽出し、立体的に表現しています。雲の中に飛び込んでいくとこからがスタート。その先にVRコンテンツが用意されているようです。球面状のスクリーンも持ち込んで、存在感を発揮しています。
(4) 豪華な審査員による審査・講評!
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2日間にわたる開発の最後は発表・審査会です。
研究機関ならではの研究者を中心とした豪華な審査員が審査に臨みました。
まずは各チームの発表の様子をご覧ください。
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Aチーム:NNNS!
ウェディングドレスのベール(!)をオーロラに見立てて、インスタレーションを作りました。ベールを触ると、オーロラの観測データを元にした音が流れるようになっています。
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Bチーム:Phase of the earth
地球にいる私たちは生活の中で月の満ち欠けを感じることができます。このチームは地球の満ち欠けを感じることができるアプリケーションを製作しました。ダジックアースを有効活用したコンテンツに仕上がっています。
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Cチーム: ☆ほしログ
飲食店のレビューアプリのように、きれいな星空が見られる場所を探したり、感想を投稿することができる「☆ほしログ」を開発しました。ありそうで無かったところが良いですね。
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Dチーム:風に乗れ
今回のハッカソンが、宇宙のことを知るきっかけになったというチームです。宇宙の天気、太陽風のことを遊びながら学ぶことができるゲームを作成しました。単純ながらも奥の深いゲームになったようです。
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Eチーム:アニマルSMILES
衛星で観測した大気スペクトル分子のデータを、かわいい動物たちのイラストで可視化しています。
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Fチーム: 〇〇のきもち
「いつもは近くばかりを見てしまっているが、地球や太陽、さらにはもっと遠くからの視点を借りて見ることで、客観的な視点が得られるのではないか」という提案でした。3DCGで再現された地球の姿はあまりにも小さく無力にも感じられますが、その姿こそが私たちに力を与えてくれるのかもしれません。
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Gチーム:Friendly Space
太陽風を可視化しオーロラの発生原理が楽しく理解できるようなコンテンツを作成しています。また、磁力線/プラズマ粒子のデータを独自開発のアルゴリズムによって音声に変換し、聴覚にも訴える作品になりました。
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Hチーム:クラッピーチャレンジ
雲の中に飛び込んだ先のアニメーションを、審査員の黒田有彩さんが体験しました。球面状のスクリーンに雲が形成されるメカニズムがわかりやすく示されています。
審査の結果は以下の通りです!
結果
- 雲賞:クラッピーチャレンジ
- オーロラ賞:NNNS!
- 黒田さん賞:風に乗れ
- NICT賞:Friendly Space
- People's Choice賞:Phase of the earth
- SpaceHack大賞:NNNS!
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雲研究者の荒木 健太郎さんがプレゼンターを務める「雲賞」は、「クラッピーチャレンジ」が受賞しました。「以前からほしいと思っていたものをそのまま実現してくれた」と喜ばれていました。
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オーロラ研究者の片岡 龍峰さんがプレゼンターを務める「オーロラ賞」は、「NNNS!」が受賞しました。
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黒田 有彩さんがプレゼンターを務める「黒田さん審査員賞」は、「Friendly Space」が受賞しました。
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NICT理事の細川 瑞彦さんがプレゼンターを務める「NICT賞」は、「風に乗れ」が受賞しました。
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参加者全員の投票で決まる「People’s Choice賞」は、「Phase of the earth」が受賞しました。プレゼンターは総務省の村上 聡さんです。
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最後にNICT理事長の徳田 英幸さんから「SpaceHack大賞」が発表されました。「NNNS!」はオーロラ賞とのダブル受賞です。
(5) 密着取材を終えて
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2日間に渡ってSpaceHackを取材してきましたが、最終的には「どうして自分は取材側なのだろう」と思うほどに参加者のみなさんが楽しそうでした。NICTメンターのみなさんも近い感想を持たれていたようです。第2回、第3回とこれからも開催されることを期待しています!