増加する米防衛産業のスタートアップ連携【週刊宇宙ビジネスニュース 4/8~4/14】
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National Geospatial-Intelligence Agency(NGA)は、Planetからの衛星画像購入を590万ドルで継続しました。
NGAは衛星画像やその他の地理空間系のデータを分析し、国防総省や諜報機関にデータ提供しています。現在は、データの自動処理技術向上を目指しており、機械学習で道路・建物・船・飛行機などのオブジェクトを衛星画像から自動識別し、飛行場の監視や違法伐採の検出などを行なっています。
Planetは2018年前回に引き続き今回で3度目の契約更新となります。下記は、NGAとPlanetのこれまでの契約をまとめたものです。
上記を見ると、NGAはPlanetになんと5000万ドル近くを支払っていることになります。日本円でざっくり50億円。
一方で先日、連邦政府系の防衛産業を担うSAICが、Engilityというスタートアップを25億ドルで買収しました。ソフトウェアエンジニアリングのスタートアップで、SAICが現在推進している衛星や地上インフラのセキュリティ強化や運用安定性の向上に寄与すると期待されています。
そのほかにも同社はオースティンやコロラドスプリングで新しい技術・尖った技術を持ったスタートアップとの協力を強めるつもりで、実際に12社程度と連携を進めているようです。さらに連携を強化するため、ロサンゼルス・ボストン・シリコンバレー地域への進出も検討しているそうです。
防衛産業と言えば、国が主導で行う手堅いもの、と言ったイメージが先行するのではないでしょうか。数年前まではアメリカでも、防衛産業を担うのはボーイング社など、老舗の巨大企業ばかりでした。そんな防衛産業が、スタートアップにこれだけの投資をかけているというのは、注目すべきポイントでしょう。
SpaceXのファルコンロケットも、今でこそアメリカの軍事系の衛星やNASAの衛星を搭載して打ち上げる定番のロケットとなってきています。
アメリカの宇宙産業には「民間でできることは民間に任せる」という下地があるようです。この風土と昨今のスタートアップの技術力の向上が、昨今のアメリカの宇宙スタートアップの盛り上がりに寄与していることは間違いないでしょう。
日本の宇宙スタートアップや宇宙産業についてもこの切り口で見てみることで、日本の宇宙ビジネス環境が目指すべき方向性が見えて来るかもしれません。