宙畑 Sorabatake

解析ノートブック

1ヶ月間、毎日都心を撮影した「つばめ」の衛星画像をTellusで公開!

JAXAの人工衛星、超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)の衛星データがTellusに搭載されました!宙畑流「つばめ」画像の楽しみ方をご紹介します。

2022年8月31日以降、Tellus OSでのデータの閲覧方法など使い方が一部変更になっております。新しいTellus OSの基本操作は以下のリンクをご参照ください。
https://www.tellusxdp.com/ja/howtouse/tellus_os/start_tellus_os.html

JAXAの人工衛星、超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)の衛星データがTellusに搭載されました。「つばめ」は、解像度が1m以下という高解像度で観測することができます。

ASNARO-1などの人工衛星も高解像度で観測することができますが、「つばめ」はほかの人工衛星となにが違うのか、観測画像はどのように見えるのか紹介します。

(1)4月の1か月間、毎日撮影していた「つばめ」

「つばめ」は、2019年4月2日から5月10日まで1日1回、東京の特定のエリアを撮影していました。この期間中、神宮球場も撮影範囲内にあったため、JAXAと東京ヤクルトスワローズのコラボも実現しました。

「つばめ」が毎日観測していたエリア Credit : JAXA

人工衛星は、回帰日数によって観測できる頻度が異なります。例えば、ASNARO-1 であれば、同じ条件で同じ場所を観測するには数日かかってしまいます。

「つばめ」は試験衛星として、高度200~300kmと、通常の人工衛星の高度が500~1000kmであることを考えると、かなり低い高度の軌道を維持しながら観測をしていることが分かります。ただでさえ軌道維持が難しい超低高度上で、同じ場所を毎日観測できるように軌道を調整するのはかなりチャレンジングなミッションです。

この期間中(2019年4月2日から5月10日まで)に観測していたデータが、今回Tellusで見ることができるようになっています。

(2) 1日1回観測できたらどんなことが分かるのか

「つばめ」はこの1か月間、毎日16~17時のほぼ同じ時間で観測していました。

1か月という短い期間とは言え、同じ場所を同じ時間で観測するとどのようなことが分かってくるでしょうか。

解像度が1m以下ということは、車や建物を識別することができます。ほぼ同じ時間の、日ごとの変化を観測できるため、工事中の施設の変化や、日ごとの道路の渋滞状況などを調べることができそうです。

新宿御苑の桜の様子を日ごとに撮影 Credit : JAXA

もし今後、「つばめ」のような衛星が当たり前になり毎日同じ場所を観測することができるようになれば、市区町村より細かい区域での状況変化を把握したり、道路や商業施設の混雑状況から売上予測や事故や事件が起きた時の状況把握ができるようになるかもしれません。

(3) Tellusで実際にみてみよう!

では、Tellusに搭載された「つばめ」のデータを見てみましょう!

Tellusで衛星画像を見るためには会員登録が必要です。お持ちでない方は以下から登録をお願いします。

https://www.tellusxdp.com/

ログイン後、TOP画面に出てくる[Tellus OS(操作ツール)]をクリック

すると、Tellus OSの白地図画面が登場します。

画面右脇の[データ選択]から、「つばめ(SLATS)小石川周辺」または「つばめ(SLATS)赤坂迎賓館中心」を選択

プルダウンリストで「つばめ」の画像が選べるようになっています。

ファイル名を選択すると、白地図上に画像が表示されます。小石川周辺と赤坂迎賓館周辺はおおよそ以下のような位置関係です。

ここからは、宙畑流!「つばめ」の楽しみ方についてご紹介します。

  • 「つばめ」の楽しみ方その1: 神宮球場のメッセージをみる!
  • 「つばめ」の楽しみ方その2:  駐車場の車の変化をみる
  • 「つばめ」の楽しみ方その3: 道路の混み具合をみる
  • 「つばめ」の楽しみ方その4: 建設現場の進捗を探る
  • 「つばめ」の楽しみ方その5:自撮り写真を撮る!

●「つばめ」の楽しみ方その1: 神宮球場のメッセージをみる!

前述のヤクルトスワローズとのコラボでは、神宮球場にメッセージが表示されています。

例えば、
・日付:4月25日
・画像:赤坂迎賓館周辺
・場所:神宮球場
を見てみると、

「つば」の文字がみえる神宮球場 Credit : JAXA

4月25日赤坂迎賓館周辺画像でみた神宮球場。外野席に「つば」の文字が見えます!

スワローズは6日間に渡って文字を掲示しており、繋げると一つのメッセージになっています。

ぜひ、他の日付の神宮球場もチェックして、メッセージを読み解いてみてください!

●「つばめ」の楽しみ方その2: 駐車場の車の変化をみる

「つばめ」は解像度1m。つまり、自動車も見えるレベルです。

例えば、神宮球場脇にある「聖徳記念絵画館駐車場」を見てみると

日々駐車場にある車の台数が変化していることが分かります。

よく見ていくと、
・平日はほぼ満車ですが、土日は空いている
・火曜日にバスが止まっている(中央の建物の下のあたり)
などということを読み解くことができます。

このように、自分が普段よく使う駐車場とその周辺を調べることで、穴場の駐車場を見つけるのも良いですね。

さらに、新しく駐車場を作ろうとしている人にとっては、既存の駐車場の満車情報は役に立つかもしれません。

● 「つばめ」の楽しみ方その3: 道路の混み具合をみる

車が見えるということでもう一つ気になるのが「道路の混雑状況」です。

混みあっている印象の強い新宿通りを見てみることにしました。

こうして毎日の画像を確認し、曜日ごとの傾向をみると、平日は交通量が多く、休日は比較的車が少ないことが分かります。

車を使ってお仕事をされている方はぜひルート検討の参考にしてみてください!

● 「つばめ」の楽しみ方その4: 建設現場の進捗を探る

日々様子が変わるものとしては他にも、建設現場が考えられます。

今回は2019年度から2020年度に向けて建設が進められている虎ノ門ヒルズの様子を見てみることにしましょう。

虎ノ門ヒルズ周辺の建設計画
https://tech.nikkeibp.co.jp/kn/atcl/nfmnews/15/041401006/?SS=imgview&FD=47651877

すでに建設されている虎ノ門ヒルズ森タワー周辺を「つばめ」で見てみると、

クレーンがせっせと作業している様子が分かりますね。どうやら期間中にほとんど動いていないクレーンもあるようです。

具体的にどのような作業をしているのかまでは分かりませんが、下の方の建物では白っぽく見えるものを建物の色んな場所に順番に載せているように見えます。

高層ビルの工事では普段は下から見上げることが多く、上の方でどのような作業をしているのか見ることはあまりありません。

皆さんの職場の近くで工事をしている箇所があれば、そういった場所を宇宙から見てみてはいかがでしょうか!

● つばめの楽しみ方その5:自撮り写真を撮る!

撮影時間と場所が分かっているなら、自撮りができるのでは!

ということで、都内でレジャーシートを広げて写ってみることにしました。

レジャーシートを広げてつばめの通過を待つ。

しかし、最後の詰めが甘く、残念ながら「つばめ」の画角のわずかに外側で待機していたことが判明。残念ながらうまく映り込むことができませんでした。

「つばめ」は、今後さらに上空250㎞以下へ高度を下げつつ、10月まで軌道維持しながらの観測を続ける予定です。

また映り込むチャンスがあれば、リベンジしてみたいと思います。

皆さんもぜひ、Tellusサイトで「つばめ」の画像を見ながら、東京観察をしてみてください!
▼Tellus登録はこちらから!
https://www.tellusxdp.com

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