2020年始まる!衛星画像で振り返る20年、これから注目するべき地域はどこ?
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年、当分先だと思っていた人も多かったのでしょうか。2000年から早20年、年末年始にこれまでを振り返った人もいるかもしれませんね。宙畑編集部では、衛星画像で2020年までの20年を振り返ります。
2000年問題などがついこないだのように感じられますが(世代?)、あっという間に20年が経過し、早くも2020年。皆様にとって、どのような20年だったでしょうか?
衛星は過去に遡れるのが利点の一つ。ということで、2000年からの日本・世界の変化を衛星データを見ながら振り返ってみました。
最後に2020年以降、宙畑編集部として今後も衛星データとともに追いかけたいスポット、街、国をご紹介します。
日本の20年の変化~世界の入口~
まずは日本の変化を衛星データでおさらいしてみましょう。
この20年で感じる変化の一つに、海外から多くの方が日本へ来ていただけるようになったことがあります。街を歩いていても、耳慣れない言語を聞く機会が多くなりました。
衛星データで、日本の玄関口である羽田空港と関西国際空港を見てみると、以下のようになります。
羽田空港は1955年にすでにオープンしていますが、離発着便の増加に伴い、2004年に第二旅客ターミナルをオープン、2010年には新国際線旅客ターミナルをオープンし、拡張を続けています。
また、右上に見える東京ディズニーリゾートでは、2001年にディズニーシーがオープン。こちらも海外から観光客の方が多く訪れていますね。
関西の玄関口である、関西国際空港は1994年に開港しました。開港後も順次拡張を続けている様子が見て取れますね。
▼羽田空港の歴史
2004 羽田空港 第2旅客ターミナル供用開始
2010 新国際線旅客ターミナル供用開始
▼東京湾埋め立ての歴史
平成元年(1989)~現在
羽田沖埋立地の西側が埋め立てられ、国際空港として利用される。さらに中央防波堤外側廃棄物処理場の東側が埋め立てられた。新海面処分場が最後のごみ処理場となっている。
世界の20年の変化~発展する都市~
世界に目を転じると、アジアや中東の都市がこの20年で大きく成長を遂げています。
まずご紹介したいのがドバイです。90年代後半から高層ビルの建設などが進められていましたが、2002年にシェイク・モハメッド殿下がインターネット・シティとメディア・シティを立ち上げ、外国人の私有権を認めて「ニュードバイ」と呼ばれる転換を行ってから、開発は加速します。
衛星画像からも見えるように、2003年には 世界で最も高いタワーや200の人工島などの大規模なプロジェクトが着工し、続々開発が進められていきました。
もう一つ、アジアで発展した都市として近年話題の都市と言えば、中国・深圳。
1991年に深セン宝安国際空港の航行開始、2001年に中国がWTOに加盟したのち、2004年にアリペイの開始、2010年にシャオミが創業するなど、今や世界中の人達が注目する都市の一つとなりました。
▼ドバイの歴史
2003年: 世界で最も高いタワーや200の人工島などの大規模なプロジェクトが着工する。
2010年: ブルジュ・ハリファが世界で最も高い建造物となる。
▼深圳の歴史
1991 深セン宝安国際空港の航行開始
2001 中国の世界貿易機関(WTO)加盟。
2004 アリペイ開始
2010 シャオミ(小米科技)創業
世界の20年の変化~失われる自然~
さて、変化というものはポジティブなものもあれば、ネガティブなものももちろんあります。日本や世界がこの20年で発展していく一方で、失われていくものを本章ではご紹介します。
こちらは、ブラジルの熱帯雨林の変化を時系列でみた画像です。
1984年の画像では、手つかずの森だったところが徐々に伐採され、地肌が見えている部分が増えています。
森林の再生速度や木材の輸出に合わせて計画的に伐採するのであれば、問題はありませんが、一方で違法伐採により、熱帯雨林が大幅に減っているという問題もあります。
二酸化炭素を吸収し酸素を生成するのに熱帯雨林は非常に重要な役割を果たしているため、この動画のような減少速度の場合、地球温暖化を促進してしまう恐れもあり、他人事とは言えません。
北極圏に目を向けてみると、温暖化の影響なのか氷河も徐々にその面積を減らしています。
日本では、GCOM-W(しずく)という衛星が北極海氷面積の継続観測に貢献しています。
こちらのデータでも80年代、90年代と比較して海氷面積が少なくなっていることが分かりません。
基本的にはネガティブな因子ととられがちな北極海の海氷の面積の減少でですが、これにより海運業では新たな可能性も出始めています。
温暖化で注目!北極海航路の現状とメリデメ、衛星で将来性を検証
日本・世界のここから~2020から始まる挑戦~
最後に、ここからの10年で注目する場所を見ていきたいと思います。
こちらは先日オープンイベントも行われた国立競技場が建設される様子です。
競技場には国産の木材が多く使われているということで、会の運営に関する持続可能性についても様々な配慮がされているようです。
Tokyo 2020 東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会持続可能性に配慮した運営計画 第二版
前回の東京大会では話題にも上がらなかった話で、まさにこの50年で人類が地球に及ぼしてきた影響の大きさを感じます。
単なる自粛ではなく、経済を発展させ、みんなが楽しみながら持続可能性な世界を作っていくことが大切だと考えられます。
JAXAの人工衛星「だいち」によって災害前後の変化が観測されていました。その後、「だいち」は機能停止し役目を終えますが、2014年に打ち上げられた「だいち2号」に災害による地表の変化を詳細に観測する役割は受け継がれています。
衛星データでは、すでに起きてしまった被害を無かったことにすることも、誰かの命を救うことも直接的には実施することはできません。
それでも、過去の画像から私たちが学ぶことはたくさんあります。
今年ももしかしたら被害が出てしまうような災害が起きてしまうかもしれません。
少しでも被害が防げるように過去のデータから対策を打つなど、防災・減災に向けて私たちにできることの一つとして衛星データの利用が貢献できるのではないでしょうか?
世界に目を転じてみると、アフリカでは経済発展が進み、今まで電気のなかったエリアに電気が行き渡っていく様子が見て取れます。
経済発展は負の側面がフィーチャーされがちですが、現地の人の生活は確実によくなっている点を忘れてはいけないでしょう。また、こうみると、まだなお電気が届いていないであろうエリアも見えてきます。今後10年でどこまで発展できるのか、見ていきたいと思います。
以上、2000年から2020年までの振り返りと、これから注目したい地域をご紹介しました。世界規模の大きな動きや課題に焦点の当たることが増える昨今、きっと衛星データを活用する場は増えていくことでしょう。宙畑としても衛星データを用いて、新しい発見を読者の皆様に今後も提供していきたいと考えております。
2020年もどうぞよろしくお願いいたします。