Rocket Labが通信衛星のバスの設計と製造を165億円で受託【宇宙ビジネスニュース】
【2022年2月28日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
小型ロケットベンチャーでありながら独自の衛星バスシステムPhotonの開発も行うRocket Labが、通信衛星Globalstarの次世代機17機の設計と製造をカナダの衛星メーカーMDAから約165億円で受注したと発表しました。
Globalstarは衛星IoTソリューションを含む移動体衛星通信サービスを提供する会社で、今回発注された17機の衛星は、2025年末までに地球低軌道に投入される500kgクラスの衛星です。
カナダの衛星メーカーMDAは1969年に創業したカナダにおける主要な衛星メーカー。2012年にはアメリカの政府系の市場への参入を目的にアメリカの主要衛星メーカーであるSpace Systems/Loral 社を買収するなどの動きを見せていましたが、2020年にMDAの事業は売却され再びカナダに戻ってきていました。
今回の契約では、MDAは主契約者として、Globalstarの衛星全体の製造とミッション部分(衛星通信サービス用の機器)の開発および、人工衛星を最終的な状態まで組み上げ、試験を行う部分を担当します。
一方のRocket Labは今回、衛星の基本的な部分である「バス」部分を担当します。
RocketLabは小型ロケットベンチャーでありながら、近年では垂直統合を進めており、ロケットの打ち上げだけでなく、衛星の製造やサブシステム、フライトシステムや運用までを担おうという戦略を押し進めています。
今回の契約では、最近買収したSolAero Technologies社からは太陽電池パネルや構造を、ASI社からはソフトウェアを、 Sinclair Interplanetaryからはリアクションホイール(姿勢制御装置)が提供されます。また、全ての衛星の通信にはRocket Labが開発を進める通信機”Frontier Satellite Radio”のC-Bandに対応した“Frontier-C”が使われます。
地球観測衛星以上に、たしかな実績が求められる商用通信衛星バスの設計と製造において、古参衛星メーカーであるMDAが、新興企業Rocket Labを選んだことは驚きです。
Rocket Labによると、Rocket Labと同社が2020年以降に買収した4企業が打ち上げた衛星は1,000機以上にのぼり、新興でありながら数多くの実績を積み、技術的にもスケジュール的にもMDAの要求を満たす提案ができたとのこと。商用衛星製造市場の勢力図も大きく変わることになりそうです。
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参考
Rocket Lab Selected by MDA to Design and Build Spacecraft for Globalstar