宙畑 Sorabatake

Tellusのアップデート

2019年2月リリース! 衛星データプラットフォーム「Tellus」でできること

2019年2月21日、衛星データプラットフォーム「Tellus(テルース)」がオープンしました! あらためて、衛星データの特徴とTellusでできることについてまとめています。

記事作成時から、Tellusからデータを検索・取得するAPIが変更になっております。該当箇所のコードについては、以下のリンクをご参照ください。
https://www.tellusxdp.com/ja/howtouse/access/traveler_api_20220310
_firstpart.html

2022年8月31日以降、Tellus OSでのデータの閲覧方法など使い方が一部変更になっております。新しいTellus OSの基本操作は以下のリンクをご参照ください。
https://www.tellusxdp.com/ja/howtouse/tellus_os/start_tellus_os.html

2019年2月21日、日本初の衛星データプラットフォーム「Tellus(テルース)」がオープンしました。

Tellusの公式HPはこちら

Tellus公式ページ Credit : さくらインターネット

TwitterやInstagramといったSNSでの個人投稿から、古今東西様々なマーケットの動向まで、ありとあらゆる情報が収集・解析されているビッグデータ社会。

今後、生活のデジタル化がますます進むことで、今以上に大量の情報が取得・蓄積されることは間違いないでしょう。

本記事では、ビッグデータ社会における衛星データの可能性とTellusのポイントを紹介します。

(1)マクロなデータの代表格、衛星データが世界を変える

ビックデータ社会において、衛星データは可能性に満ちています。

一般的にビックデータと言えば、ミクロなデータが良く取り上げられます。例えば、人の動き(人流データ)や個々の機器の発電量、SNSの投稿などです。

対して、衛星データは地上の情報を広域、かつ、周期的に取得できる、マクロなデータと言うことができます。

マクロな視点の衛星データは、ミクロな視点のデータとして語られることの多いビッグデータ社会で、どのような利点があるのか。

例えば、衛星から米国中のウォルマートの駐車場に止まっている車の台数の増減を捉え(マクロなデータ)、これをウォルマートが毎期発表する売り上げ(ミクロなデータ)と組み合わせます。

二つのデータの相関性を導くことができれば、次期の売り上げは衛星データを確認すれば予測できることになります。このデータをもとに、投資家が株価の予測に利用するという取り組みはすでに行われています。

このような事例をはじめ、マーケティングや既存業務の効率化に可能性があるとして、様々な業界が地上データと衛星データの組み合わせに注目しているのです。

現時点ではまだ宇宙空間にある衛星の機数が少なく、観測頻度が十分とは言えない状況ですが、昨今の衛星データへの期待の高まりによって米国を中心に、マクロなデータを収集する衛星への投資が集まり、今後10年で衛星の機数は爆発的に増えると言われています。

衛星の機数が増えれば、日常の変化を定期的に捉えることができるようになり、衛星データへの期待はさらに高まっていくでしょう。

(2)従来の衛星データ解析の課題

従来の衛星データ解析の課題 Credit : sorabatake

従来、衛星データは各衛星ごとにそれぞれのデータベースから衛星画像をダウンロードし、各々が準備した専用の計算環境(PC等)と専用ソフトウェアを使用して解析を行うのが一般的でした。

衛星データはデータ容量が大きいため、ローカル環境にダウンロードしてくるのに時間がかかります。さらに、各々が個別環境で解析するため、リソースや知見が散逸し、利用が拡がらなかったのです。

衛星データプラットフォーム「Tellus」は、クラウド上でデータ配布から解析まで一貫して行える環境を整備し、衛星データ利活用への参入障壁をできるだけ下げるべく誕生しました。

参考記事

日本初衛星データプラットフォーム「Tellus」が生まれたその裏側

(3)日本初の衛星データプラットフォーム「Tellus」ではなにができるのか

では、実際にTellusでできることを紹介します。

Tellusでは、ビジネス検討するシーンに応じて、3つのツールを提供しています。

①衛星データを眺めてみる「Tellus data Operation System(Tellus OS)」

衛星データと地上データの比較 Credit : sorabatake

Tellus OSでは、自分の手元にあるデータをアップロードし、Tellusに搭載されている衛星データや地上データの中から好きなデータを選択することで、データを重ねて見ることができます。

重ねたデータを眺め、時系列や地域など様々な観点で比較することで、イベント前後の差分や地域ごとの特性を読み取ることができます。また、画面上に表示しているデータを後述する開発環境に送ることもできます。

将来的には、簡単なコーディングもこの画面上でできるようになり、それによって欲しい画像をCUIで呼び出したり、選択した画像の特徴点抽出なども行うことができるようになる予定です。(※1.0版では未実装)

②用意された統合開発環境(Jupyter Notebook)でサクッと衛星データ解析

Jupyter Notebookイメージ Credit : sorabatake

衛星データ解析と言っても、何から始めたら良いのか分からない方におすすめなのがこちら。

Tellus側であらかじめクラウド上に用意した統合開発環境(Jupyter Notebook)で、手軽に衛星データ解析を始めることができます。

データが保存されているサーバに近いクラウド上に環境が構築されているため、従来時間のかかっていた衛星データを開発環境に呼び出す作業もスムーズです。

今回のバージョンで提供する開発環境の言語は、画像解析や機械学習でよく利用されているPythonです。

例えば、東京湾沿岸の光学画像データから機械学習を使って船舶を検出するなどの解析が可能になります。解析結果はCSV形式でダウンロードし、共有することもできます。

(4)Tellusに搭載予定のデータ~世界初公開データも~

Tellusには様々なデータが搭載されます。データの詳細はTellusデータカタログに記載しています。

参考リンク

データカタログ|Tellus

本記事ではその一部をピックアップして紹介します。

●オープン&フリープラットフォームへの搭載が世界初の衛星データ

今回最も注目のデータは、「PALSAR-2」と「ASNARO-1」です。どちらもこれまで無料では公開されてこなかった衛星画像。まずは先行して一部地域から、順次範囲を広げてリリースされます。

まずは、Tellus OSを開いて眺めてみるだけでも面白いです(宙畑編集部だけ……?)。

「PALSAR-2」はJAXAが開発しただいち2号(ALOS-2)に搭載されているSARセンサ。SARセンサは夜や雲がかかったエリアでも撮影ができるセンサです。

通常の光学カメラで撮った画像とは様子が違うためちょっと戸惑うかもしれませんが、光学画像や地図と比較しながら、何がどう見えるのか紐づけていくと新しい発見があるかもしれません。

例えば、宙畑では以前SARデータを使って駐車場の満車率を計測するチャレンジを、Tellusのデータ解析コンテストではこの「PALSAR-2」の画像を使って、土砂災害が起きた場所を識別する機械学習のアルゴリズムを開発しています。

もう一つの注目は「ASNARO-1」です。

解像度0.5mの高解像度の光学画像です。これほど高解像度の衛星画像が無料のプラットフォーム上に掲載されるのは世界初です。

●地上データは「人の流れ」「気象データ」を搭載

Tellusに搭載されるのは衛星データだけではありません。

今回搭載されるのは、携帯電話の端末から人の流れを解析した「人流データ」と地上から天気に関する情報を収集する「気象データ」です。

どちらも衛星データと比べて、細かい時間間隔かつ私たちの生活に近いミクロなデータになっています。

ミクロなデータとマクロな衛星画像を掛け合わせて何が生まれるのか、ぜひ考えてみてください!

●今後搭載されるデータ

データは今後も随時アップデートしていきます。

衛星データはJAXAの地球観測衛星のデータや気象衛星ひまわりのデータが、地上データでは、人流のほか、自治体が保有するデータやカーナビ、外国人観光客のデータなども搭載予定です。

データは利用者の声を聴きながら、何を搭載していくのか決めて集めていく予定のため、どしどしご意見いただければと思います。

Tellusに搭載されるデータの詳細についてはこちらをご覧ください。

(5)海外の先行事例紹介

Tellusの特徴は、上述の様々なソフトウェア・環境・データを無料、かつ商業利用可能(別途サービスアグリーメントが必要)な条件で利用できるということです。

海外でも、AWSやCopernicus DIASなど、衛星データを搭載したデータプラットフォームが存在しています。

それぞれ米国や欧州を中心に世界に展開されており、日本域・アジア域にフォーカスしたプラットフォームという意味でもTellusは世界初と言えます。

(6)Tellusの今後

Tellusでは、衛星データ利用の敷居を格段に下げるべく、データ提供に留まらず、コンピューティングリソースやノウハウを共有するライブラリ、学ぶ場であるトレーニングなどの施策を展開します。

2019年度は、Jupyter Labやその他開発環境への対応、APIや公式SDKの整備を進めていきます。同じプラットフォーム上で利用することができるデータ・アプリケーション・アルゴリズムをユーザー同士でシェアし合えるマーケットも整備していく予定です。

言語についてもPythonだけでなく、Golangなどの解析言語にも対応し、より幅広いエンジニア・データサイエンティストに使ってもらえるよう進化します。

2019年2月のTellus OS 1.0版リリースを皮切りに、Tellusはマイナー・メジャーアップデートを繰り返し、ユーザーの声を受けながらどんどん進化する衛星データプラットフォームです。

使いやすい、面白い、役に立つを、みんなで育てる。

Tellusは、できるだけ多くのエンジニア・データサイエンティスト・ビジネスパーソンに無料で低リスクで利用してもらうことで、データを利用したイノベーションや新規ビジネスの創出を促していきます。

宇宙データと地上データの組み合わせから、新たなビジネスを生み出すのは、私たちかもしれません。宙畑編集部も挑戦してみたいと思います!

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