【飛行機の上でオンライン会議が当たり前の世界に?】AmazonのKuiperが初の航空会社との契約を発表【宇宙ビジネスニュース】
2025年9月4日、Amazonは、低軌道通信衛星コンステレーション「Project Kuiper」を利用する初の航空会社の顧客として、アメリカの航空会社JetBlueと契約したことを発表。その概要やKuiperの今を簡単にまとめました。
2025年9月4日、Amazonは、低軌道通信衛星コンステレーション「Project Kuiper(以下、Kuiper)」を利用する初の航空会社の顧客として、アメリカの航空会社JetBlueと契約したことを発表しました。発表によると、2027年以降、一部の航空機からKuiperを用いた高速Wi-Fiの導入を始めるとのこと。
従来の機内Wi-Fiで利用する通信衛星は地上36,000kmに配備されたもので、テキストメールやWebサイトの閲覧はできても、動画の視聴やオンラインゲーム、オンライン通話を行うことはできませんでした。
しかし、3200機(Kuiperの場合)を超える小型の通信衛星を地上590~630kmに配備することで、最大1Gbpsのダウンロード速度、低遅延の高速Wi-Fiの提供が可能となり、動画の視聴やオンライン通話も可能になります。

競合にはSpace Xが提供するStarlinkがすでにサービスを本格的に開始しており、契約者数が500万超、航空機での高速Wi-Fi提供も始まっています。
実は、ハワイアン航空の日本路線ではすでにStarlinkの高速機内 Wi-Fiが無償提供されています。
このように、低軌道通信衛星コンステレーションは、Starlinkのサービス拡大が著しい市場環境ではありますが、Amazonも、2025年7月にはケネディ宇宙センターに9,000平方メートルの衛星打ち上げのための専用施設を開設。

同施設の開設により、一度に複数のロケットへの衛星搭載の準備が可能(上記の画像)となり、月間100基以上の衛星打ち上げを行うことができるようになっているとのこと。Kuiperで目指す3200機超の衛星コンステレーションの構築に向けて、衛星機数の打ち上げ頻度加速に向けた取り組みが着々と進められています。
今回発表された契約について、JetBlueの代表であるMarty St. George氏は「Project Kuiperとの契約は、機内接続における圧倒的なリーダーである私たちにとって、大きな飛躍となるでしょう。お気に入りの番組を一気見したり、大切な人と連絡を取ったり、仕事のプロジェクトを終わらせたりと、お客様が空の上で過ごす時間を、ご希望どおりに、そして生産的に過ごせるようにする方法を常に模索しています。」とコメントしています。
SpaceXによるStarlink、AmazonによるKuiper、その他OneWebといった低軌道通信衛星コンステレーションを構築するプレイヤーにとって、航空機の機内Wi-Fiは主要な市場の一つです(すでにStarlinkは20万以上のフライトでサービスが提供されているそう)。
新幹線内のWi-Fiはトンネルに入ると通信が途絶えてしまいますが、機内Wi-Fiであれば通信が途絶する回数も少ないでしょう。機内Wi-Fiが当たり前になれば、移動中の快適なオンライン会議を行うために、日本国内の移動でもあえて飛行機の移動を選ぶというビジネスマンが増えるかもしれませんね。
参考
JetBlue chooses Amazon’s Project Kuiper for faster, free in-flight Wi-Fi