スカパーJSATが独constellrの熱赤外衛星データを販売開始、「微細な熱の目」でインフラ監視から環境対策まで後押し【宇宙ビジネスニュース】
スカパーJSATが独constellrの熱赤外データを国内販売開始。高精度な熱赤外衛星が取得するデータは、インフラ監視から環境対策まで様々なシーンでの利用が期待されます。
2026年2月2日、スカパーJSATはドイツの宇宙スタートアップであるconstellrが提供する熱赤外衛星画像データを、日本国内で販売開始したと発表しました。
宙畑メモ:熱赤外衛星画像とは
地表や物体が放出する赤外線(熱)をセンサで捉え、可視化した画像のこと。太陽光を反射して見える「可視光画像」とは異なり、物体そのものが持つ温度を測定するため、夜間でも観測が可能。エンジンが稼働している船舶の検知や、都市のヒートアイランド現象、森林火災、畑の環境温度の把握などに用いられる。
スカパーJSATは、アジア最大の通信衛星群を保有し、衛星通信とマルチチャンネル放送「スカパー!」を展開する企業です。近年では、自社で地球観測衛星コンステレーションの構築を目指すなど、独自のデータ収集および解析事業も進めています。
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constellrは現在2機の衛星(Skybee1&2)を運用しており、観測最小温度差0.07度という、微細な温度変化を捉える能力を持っています。同社は、2030年に約30機の衛星コンステレーションを構築する予定で、地球全体の温度データを高頻度に取得することをゴールにしています。
以前までは、国内の民間事業者が商用の熱赤外衛星画像を直接取り扱う例は少なく、主に可視光やSAR(合成開口レーダ)データが主流でした。
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しかし、これらの手法では捉えきれない「温度の変化」を可視化することは、防災や産業利用において極めて重要です。
この提携により、以下の用途が期待されます。
・森林火災の早期発見:夜間や煙に覆われた状態でも、異常な熱源を即座に検知
・ヒートアイランド現象の解析:都市部や農地の詳細な温度分布を把握、迅速に対策
・インフラ監視:工場やプラントの稼働状況あるいは構造劣化状況の把握
・安全保障:港湾設備や船舶の稼働状況の把握
constellrのCEO、マックス・グルデ博士は次のように述べています。
「熱赤外衛星画像データ分析は、地球観測における『見えるもの』の先にある、『実際に起きていること』を可視化する、これまで欠けていた重要な要素だと考えています。スカパーJSATとの提携により、宇宙から得られる独立性・信頼性・継続性の高い活動状況に関する知見を、日本で入手・活用できるようになります。」
スカパーJSATは、地上インフラ監視サービス「LIANA」を手がけています。もし今回の熱赤外画像を組み合わせることができれば、地盤沈下や構造物の変位だけでなく、稼働状況(温度変化)を交えた多角的な評価が可能となるかもしれません。
このように、衛星データとひとことで言っても、様々な種類があり、今後も技術の向上や打ち上がる衛星機数の増加によって、組み合わせて利用できるデータは増えていくことが想定されます。今後、どのようなデータを購入できるようになり、そして、利用されるのか、注目です。
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参考記事
・スカパーJSAT、宇宙から“地球の熱”を見える化 熱赤外衛星画像データの日本国内販売を開始 ~ 国内民間事業者初、独constellr GmbH社の画像データを販売 ~
・constellr launches commercial partnership with Japan’s premier space solutions provider SKY Perfect JSAT
・熱赤外衛星画像サービス(地表温度分布データ提供サービス)

