【事業者募集中!】採択枠は最大8件、上限額は1,000万円。神奈川県が「衛星データ利活用プロジェクト」募集開始、福岡県や鹿児島県でも
神奈川県の衛星データ利活用支援プロジェクトが支援上限額を1,000万に拡充し、公募開始となりました。他県でも募集されている今年度の衛星データ実証プログラムについても紹介します。
2026年5月8日、神奈川県は、衛星データを用いた新たなビジネスモデルの創出を目指す県内企業等のプロジェクトを募集し、事業化を支援する「衛星データ利活用プロジェクト」の2026年度(令和8年度)募集を開始しました。
神奈川県は人工衛星の研究開発・製造・量産などの拠点が県内に集積しているという強みを持つことから、宇宙関連産業の振興に取り組んでいます。そして、その対象は製造業のような上流のみならず、衛星データ利活用という宇宙技術の利用による社会課題解決にも注力していることは注目すべきポイントです。
本事業は2025年度(令和7年度)から開始されており、今年度で2年目を迎えます。昨年度は採択件数3件程度、1プロジェクト当たりの支援上限額600万円という規模でしたが、2年目の本年度は採択件数を最大8件程度、支援上限額を1,000万円と、いずれも大幅に拡大しました。さらに今回は「衛星データの解析などにAIを活用するもの1件以上、県政課題の解決に資するもの2件以上」を採択する方針も明示されています。
【関連記事】
1プロジェクト当たり最大600万円の支援!神奈川県の衛星データ利活用プロジェクト推進事業始まる
RESTEC、全日空商事、MUFGに聞く、衛星データ利活用のポテンシャル:神奈川県・衛星データ利活用プロジェクト推進事業【PR】
本記事では、本年度募集の概要と、昨年度に採択された3件の実証プロジェクトの内容の紹介と、神奈川県が掲げる宇宙関連産業エコシステム構築の輪郭を紹介します。
(1)採択枠・支援上限額が大幅拡充。AI活用枠・県政課題枠も明示
2026年度の募集について、応募資格はプロジェクトを統括する者が、県内企業等であることとされているほか、プロジェクト要件は以下の3点をすべて満たすものとされています。
1.衛星データを用いることによって、社会課題の解決または市場ニーズへの対応を図るものであること
2.原則として1年以内に事業化の方向性を見出すことができ、一定の成果(実証実験、試行導入、顧客ヒアリング結果など)を得られる計画を有すること
3.本事業以外に、県から同一内容で他の委託・補助を受けていないこと
支援期間は覚書締結日から令和9年(2027年)2月28日まで、募集期間は2026年6月5日17時まで(参加意思表明書は5月29日17時までに先行提出が必要)。
費用の一部補助に加え、専門家による課題解決の助言、知的財産権等の確保、実用化に向けた戦略相談、伴走支援が提供される点は昨年度から引き継がれています。
特に注目したいのは、最大8件の採択枠のうち「衛星データの解析などにAIを活用するもの1件以上」、「県政課題の解決に資するもの2件以上」を確保すると明示されている点です。
前者は衛星×AI領域でのプロダクト開発を強く後押しする内容で、後者はインフラ管理や農業、防災といった行政ニーズの直接の解決を狙うものと考えられます。
神奈川県の特徴については昨年度に公開した「1プロジェクト当たり最大600万円の支援!神奈川県の衛星データ利活用プロジェクト推進事業始まる」をご覧ください。
応募意向や神奈川県の宇宙関連の取り組みに興味がある方はぜひこちらからご覧ください。
(2)神奈川県以外でも動いている衛星データ利用実証やシステム開発支援プログラム
また、衛星データ利活用の事例を推進するプログラムが2026年度に公表されているのは神奈川県だけではありません。福岡県、鹿児島県でも衛星データ利活用におけるシステム開発を支援するプログラムが動いており、取り組む応募機関を募集中です(山口県は2026年5月8日で募集期間終了済み)。
興味深いのは、福岡県は「SAR衛星データを利用した防災やインフラ管理等のためのシステム開発支援事業の募集」と、利用する衛星データの種類と衛星データ利活用の用途が明確になっていること。
「SAR衛星データを利用し砂防堰堤における土砂の堆積状況を把握することにより、砂防堰堤管理の効率化が見込まれるシステムの開発を支援します」とあり、具体的なニーズが見えている事例として、早期の事業化が望まれます。ちなみに、補助上限額が700万円(最低賃金引上げ額に応じて補助率および補助限度額が変動)、補助率は2分の1となっています。必要資料の提出は5月29日(金)17時まで必着となっています。詳細はこちらからご確認いただけます。
また、鹿児島県は、衛星データを活用し、鹿児島県の地域課題解決に資するビジネスモデル実用化を目指す実証事業を募集しています。補助上限額は600万円で、補助率は10分の10となっています。応募期間は6月19日(金)17時までとなっています。詳細はこちらからご確認いただけます。
さらに、北海道でも今年度の宇宙関連産業振興事業(衛星データ利活用実証事業)委託業務の公募型プロポーザルが実施されていました。北海道は面積が広く、従来より衛星データ利用が進んでいる地域です。今年はどのような衛星データ利活用実証が行われるのか注目です。
【関連記事】
食料自給率200%の北海道が推進する衛星データ利活用の今と展望
以上、神奈川県の衛星データ利活用実証の公募の話題と合わせて、各都道府県の衛星データ利活用実証プログラムを紹介しました。
衛星データの利活用は、農産物の品質向上や生産管理、老朽インフラの先回り保全といった、私たちの暮らしに直結する課題と地続きです。地方自治体発のプログラムから民間主導の宇宙利用とそのビジネスが強固になり、衛星データが「実証で終わるもの」から「日常を支えるもの」へと進化していくことが期待されます。

