宙畑 Sorabatake

軌道上サービス

BULLのデブリ化防止装置「HORN」が初の軌道上実証に成功。膜面展開の軌道上撮影画像も公開!【宇宙ビジネスニュース】

2026年7月3日、宇宙デブリ対策事業を手がける株式会社BULLは、宇宙デブリ化防止装置「HORN」の初の軌道上実証に成功したと発表しました。実証の内容と、実証成功の意義について、また、代表の宇藤さんのインタビューを紹介しています。

2026年7月3日、宇宙デブリ対策事業を手がける株式会社BULLは、宇宙デブリ化防止装置「HORN」の初の軌道上実証に成功したと発表しました。実証に成功した宇宙機は、6月12日にH3ロケット6号機で打ち上げた同社の実証機2機(HORN-L、HORN-R)です。軌道データに基づく軌道降下の確認に加え、膜が展開した状態の光学撮影にも成功しています。

Credit : BULL(撮影・3Dモデル提供:HEO社)

BULLは、栃木県宇都宮市を拠点とする2022年設立のスタートアップです。「地球内外の惑星間の行き来を『当たり前』に」をビジョンに掲げ、宇宙デブリの発生を防止する装置や、軌道利活用のための微小重力実験衛星・装置の開発を進めています。

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HORNは、役割を終えた人工衛星やロケットの上段部を速やかに軌道から離脱させるためのPMD(Post-Mission Disposal:ミッション終了後の廃棄)装置です。扇状に展開する膜面構造で大気抵抗を増大させ、対象物の軌道離脱を促進します。

今回のリリースについて、BULLのFounder & CEOである宇藤恭士さんに直接インタビューができましたので、こちらの動画もぜひご覧ください。

それでは今回のリリースについて記事でもご紹介します。

今回の実証では、2段階のサクセスクライテリア(達成基準)が設定されていました。ミニマムサクセスは、軌道データ(TLE)から、他の同サイズ衛星と比べてHORN搭載機の軌道降下速度が速いことの確認です。同じH3ロケット6号機で打ち上げられた超小型天文衛星VERTECSとの比較により、HORN-LとHORN-Rの降下速度が有意に速いことが確認されました。

Credit : BULL(TLEデータ提供:LeoLabs社)

宙畑メモ:TLEとは
Two-Line Element setの略で、人工衛星等の宇宙空間における軌道情報を表現するデータフォーマット。今回の実証ではLeoLabs社がTLEデータを提供し、各衛星の高度推移の比較に用いられました。

フルサクセスは軌道上での展開状態(形状・面積)の確認・推定です。軌道上撮像サービスを提供するHEOの衛星が両機の光学画像の取得に成功し、設計通りの膜面積(HORN-L:約20㎡、HORN-R:約10㎡)が展開されていることが画像から確認されています。

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ちなみに、画像を見ると綺麗な正三角形ではなく、真ん中に切れ込みが入ったような形をしています。この理由について同社のFounder & CEOである宇藤恭士さんに聞いたところ「本来、HORNは50㎡相当の展開能力を有しますが、今回は実証機の軌道滞在期間を考慮し、膜面積と軌道降下速度の関係を併せて検証する目的で、HORN-Lを約20㎡、HORN-Rを約10㎡に設定しました」とのこと。

また、宇藤さんは「フルサクセス達成により、BULLが開発するPMD装置の基幹技術が宇宙空間において極めて有効であることが証明された。今後は実証で得られた軌道上データをもとに姿勢軌道シミュレーションモデルの精緻化を進め、製品の社会実装と商業展開を加速させる」と述べています。

宇宙ビジネスにおいて「理論上動くはず」ではなく、「宇宙で動いた」という実績は非常に重要です。以前、PaleBlueの創業者である浅川純さんに「お客様に製品を説明する際には、 短時間であっても『宇宙で動いた』という事実があるだけで信頼が大きく変わります」と教えていただきました。その重要なマイルストーンをBULLは達成した実証となりました。

また、今回のニュースで宙畑編集部が面白いと感じたポイントは、実証の成果が軌道データと撮影画像の両面から、第三者の商業サービスによって確認された点です。

地上からのレーダー観測はLeoLabs、軌道上からの光学撮像はHEOが担っており、外部の観測インフラで客観的に宇宙実証の成果を裏付ける構図になっています。

宇宙空間に配備される衛星機数が今後もますます増加すると考えられる宇宙ビジネスの成長期において、宇宙ビジネスの持続可能性を高めるためのサービスを提供するBULLの商業展開に注目です。

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