新たな推進システムを開発するMomentusが台湾の顧客と打ち上げ契約を締結!【週刊宇宙ビジネスニュース 3/30〜4/5】
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軌道投入サービスを展開するMomentusが打ち上げ契約締結
シリコンバレーのベンチャー企業Momentusが4月1日に、Odysseus Spaceと打ち上げサービス契約を締結したことを発表しました。
Momentusは台湾の国立成功大学(NCKU)が開発する人工衛星のミッションで軌道投入サービスを提供しています。
今回のミッションはIRIS-A(Intelligent Remote-Sensing and Internet Satellite-A )と呼ばれるもので、超小型衛星に搭載されたIoTセンサーでドップラーシフトの推定を行いダウンリンク信号の品質を向上させることが目的です。これにより、宇宙空間からの物体監視を目的とした超小型衛星のIoTコンステレーションの効率の向上が期待されています。
IRIS-Aは、台湾の国立成功大学(NCKU)が予定する3回のミッションのうちの1回目に位置づけられており、同大学が開発する超小型衛星となっています。IRIS-Aに続くIRIS-BとIRIS-Cは、それぞれ2022年と2023年に宇宙空間に到達する予定です。
Momentusが開発するVigorideは、水とマイクロ波を使用して推進力を生むユニークな宇宙機となっています。詳細はこちらの記事をご覧ください。そんなMomentusが目指すのは、ある軌道からある軌道まで超小型衛星を運ぶことです。どうしてこのようなことが必要なのでしょうか。
超小型衛星を打ち上げるには、小型ロケットで打ち上げるか、大型ロケットにほかの衛星と一緒に相乗りして打ち上げる方法の2種類があります。
小型ロケットでの打ち上げでは最適な軌道に投入することがしやすいですが、ロケットの打ち上げコストを負担しないといけません。相乗り打ち上げの際は、打ち上げコストを抑えることはできますが超小型衛星の一つ一つに最適な軌道に投入はされないという課題があります。場合によっては相乗り打ち上げによる軌道投入後に、超小型衛星が自力で最適な軌道まで遷移することもあります。
そこでMomentusが提供するのが、一般的な軌道に投入された超小型衛星を最適な軌道まで運ぶ推進機構です。超小型衛星にとってはまさに”痒い所に手が届く”といったサービスと言えるでしょう。
打ち上げる超小型衛星とVigorideは、打ち上げ前に結合されます。下図のように、117×107×30 cm の実機の上に展開機構があり、その上に超小型衛星が搭載されます。搭載される超小型衛星の数は3候補選択でき、1~4機の超小型衛星を搭載できるようです。Momentusが発行しているユーザーガイドによると、最大600kgの超小型衛星を、誤差±100mの精度で軌道投入できるとのことです。(ミッションによって積載最大荷重は異なります。)
昨年シリーズAの資金調達にも成功し、顧客獲得も順調なMomentusに引き続き注目です。
軌道燃料補給を目指すOrbit Fabが助成金を獲得
軌道上での人工衛星の燃料を塡充する“宇宙のガソリンスタンド計画”の実現に取り組んでいるOrbit Fabが、米国立科学財団(NSF)から助成金を獲得したことを3月31日に発表しました。
今回の助成金はNSFが運営するプログラム”America’s Seed Fund”が出すもので、獲得額は25万ドルです。この資金は、2つの宇宙船を接続し一方から他方へ燃料を補給できるドッキングシステムのテストに充てられる予定です。
Orbit Fabのような、軌道上サービスに取り組む宇宙ベンチャーは近年増加中です。詳細はこちらの記事をご覧下さい。
実現間近!? 激化する軌道上サービスの開発競争、その分類と参入企業まとめ
宇宙ベンチャーへの助成金としては25万ドルは少し低額ですが、今回のAmerica’s Seed Fundには、25万ドルを活用した実績によって100万~150万ドルが追加投資されるオプションが含まれています。
Orbit Fab CEOのDaniel Faber氏は、「追加オプションの獲得でさらに多くのテストを実施することが可能になる」と、追加オプションの獲得にも意欲を見せています。今後Orbit Fabは、シミュレーションやモデリングを行いながら、潜在的な顧客と密なやりとりも行っていくとのことです。
近年非常に注目されている軌道上サービス。今年の2月には、Northrop Grummanの完全子会社のSpaceLogistics LLCが軌道上でのドッキングに成功しました。(詳細はこちらの記事をご覧ください。)
軌道上のガソリンスタンドというSFの世界の話が現実になる未来はすぐそこまで来ているかもしれません。引き続きOrbit Fabに注目です。
SpaceXがStarshipの耐圧試験に連続で失敗
SpaceXが開発中の新型宇宙船Starshipの3機目のプロトタイプであるStarship SN3が極低温試験を実施し、またもや失敗に終わりました。
昨年11月からSpaceXは同様の試験を行っており、今回も、液体窒素(LN2)を用いてStarshipの強度を評価する低温耐圧試験でした。SpaceXの発表によると、今回の失敗は過去の失敗と原因は異なるようです。過去の実験は溶接精度に問題があったとされていますが、今回の実験は試験設備に不備があった可能性があるとのことです。
今後、詳しい実験結果が解析されると詳細な原因の解明に繋がると思われます。
また、SpaceXについてはもう一つ嬉しいニュースがありました。
日本人宇宙飛行士の野口聡一氏が、SpaceXが開発する新型宇宙船”Crew Dragon” に搭乗することが決定しました。
搭乗する宇宙飛行士は2018年にすでにMike Hopkins氏とVictor Glover氏の搭乗が決まっていましたが、今回、野口氏と一緒に女性宇宙飛行士のShannon Walker 氏の搭乗が追加発表されています。
打ち上げの日程は決まっていませんが、Crew Dragonに搭乗してISS(国際宇宙ステーション)に長期滞在する予定です。
スペースシャトルのディスカバリー号、ソユーズに引き続き、3種類目の宇宙船に搭乗することが決定した野口氏。官民のプロジェクトが相乗効果を今後生んでいくことに注目です。
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軌道上サービスは宇宙市場の起爆剤か~企業、市場規模、需要と課題~
参考記事・HP
Momentus to Launch IRIS-A Mission for NCKU Space Laboratory
Momentus signs up Taiwanese customer for Vigoride flight
Orbit Fab gets award to test satellite refueling technology
Third Starship prototype destroyed in tanking test
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