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IoT向け通信ネットワークに挑むオーストラリアの衛星ベンチャーが資金調達に成功!【週刊宇宙ビジネスニュース 4/6〜4/12】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

IoT向け通信ネットワークに挑むオーストラリアの衛星ベンチャーMyriotaが資金調達に成功

4月6日に、衛星コンステレーションを用いてIoT向け通信ネットワークの構築を目指すMyriotaがシリーズBの資金調達に成功したことを発表しました。

今回の資金調達ラウンドは、オーストラリアのVCのHostplusとMain Sequence Venturesがリードインベスターとして主導し、調達額は総額1930万ドルでした。Myriotaは2018年にシリーズAの資金調達ラウンドを実施しているため、獲得投資総額は約3210万ドルとなりました。

今回の資金調達ラウンドの興味深い点として、オーストラリア第19代首相のMalcolm Bligh Turnbull氏が個人投資家として名を連ねている点です。Malcolm氏は、2018年のオーストラリアの宇宙機関発足に尽力したことでも知られており、今回の投資により改めて宇宙産業への関心の深さがうかがえます。

同社のプロトタイプを抱えるCEOのAlex Grant氏 Credit : Myriota

2013年に創業したMyriotaは、南オーストラリア大学発ベンチャーであり、超小型衛星を用いた、IoT機器の通信に特化した衛星通信ネットワークの構築を目指しています。

地下水位の測定から気象観測所の監視、個人資産の追跡から遠隔地のインフラ管理など、昨今、IoT機器は様々な産業で活用されています。しかし、IoT機器を今よりも普及させるためには、遠隔地からのデータの共有や受信にかかる時間とコストを削減させる必要があります。

そこでMyriotaが提供するのが、通信衛星と低消費電力のIoTモジュールの接続です。これにより、地球上のどこからでもデータを取得が可能となり、農業・防衛・鉱業・輸送・物流などの現場でIoT機器がより活用されることを期待しているとのことです。

同社CEOのAlex Grant氏によると、同社のネットワークを用いると、地上の通信インフラを一切用いずに、地球上のあらゆる場所でIoT機器が取得したデータをクラウドに転送すことが可能になるとのことです。

Myriotaのサービス概要図 Credit : Myriota

Myriotaはバッテリー寿命やセキュリティ、拡張性、費用といった点で既存のソリューションより優れる特許を今までに60以上の特許を取得しています。

更に今年の3月にはカナダのexactEarthを買収を発表しています。この買収でMyriotaは新たな社員とともに、軌道上の衛星4機、カナダ・米国・ノルウェー・シンガポール・パナマおよび南極にある計6つの地上局を入手しています。

以下が、オーストラリアの主要な宇宙ベンチャーをまとめた表となります。
近年注目されるオーストラリアの宇宙ベンチャーの一つであるMyriitaに引き続き注目です。

オーストラリアの主要な宇宙ベンチャー Credit : sorabatake

Rocket Labが小型ロケット第一段の回収試験を実施

Rocket Labが4月8日に、同社が運用中の多段式小型ロケットElectronの第一段の空中回収を模擬した試験を行い、成功したことを発表しました。

この試験は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による緊急事態宣言が発令される前の3月初旬に行ったとのことです。
試験の様子はこちらの動画で視聴可能です。

試験の具体的な内容は、以下の通りです。

  • ・1機目のヘリコプターが小型ロケット第一段のレプリカを上空まで運搬し放出。
  • ・落下中に自律してパラシュートを展開。
  • ・高度約1,500m付近での地点で、2機目のヘリコプターがフックでパラシュートを引っかけて回収。
  • ・回収後ヘリコプターによって小型ロケット第一段のレプリカを着陸。
小型ロケット第一段のレプリカを回収する様子 Credit : Rocket Lab

今回の試験の成功は、小型ロケット第一段の再利用に向けて努力しているRocket Labにとって、重要なマイルストーンのようです。同社は2019年12月と2020年1月に小型ロケット第一段の大気圏再突入試験を行い成功しました。これにより、小型ロケット第一段が大気圏に再突入する時に動的に安定した状態を維持する反応制御システムを実証できたことになります。

Rocket Lab CEOのPeter Beck氏は、小型ロケット第一段の再利用は、ミッションのたびに第一段を新たに製造する必要がなくなり打ち上げ頻度を向上させるのが目的と語っています。第一段再利用の次の試験は、打ち上げ後に第一段を洋上の船舶で回収し、実際に改修するといった内容になるそうです。この試験は現在、2020年後半に計画されています。

小型衛星の商業打ち上げを粛々とこなしながら、第一段の回収にも取り組むRocket Labに引き続き注目です。

第一段ロケットのレプリカが地上に着陸する様子 Credit : Rocket Lab

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