宙畑 Sorabatake

ビジネス事例

宇宙ビジネス起業連載vol.3「宙畑編集部、ビジネスアイデアを持ち寄る」

衛星データの活用アイデア出しから早1年……。5人全員でビジネスアイデアを持ち寄ってみました。果たして実現するアイデアは生まれるのか!?

「情報発信しているだけでなく、実際に宇宙ビジネス起業したい」という思いのもと、衛星データ活用ビジネスのアイデアを持ち寄ることになった宙畑編集部。

今回は持ち寄られたアイデアと、アイデアから生まれた議論、最後にプロトタイプを制作することになったアイデアをご紹介します。

本記事は、会社設立など全く経験のない中、有志で集まった宙畑メンバーが、実際に宇宙ビジネスとして起業できるのかどうかを追った連載企画第3弾です。

背景は「宇宙ビジネス起業連載vol.1、プロローグ『2017年編集会議にて』」「宇宙ビジネス起業連載vol.2『衛星データ利用アイデア100本ノック』」をご覧ください。

kido人物紹介:城戸

宙畑のChief Sense Officer 、城戸。
主人公タイプでぐいぐい周囲を巻き込む、パリピ

nakamura人物紹介:中村

宙畑の妄想アイディアマン、中村。
一人、自由に始めた企画は数知れず。

muta人物紹介:牟田

宙畑の毒舌姐御、牟田。
会話はテンポが命、空気読まずにズバズバと辛辣にモノを言う。

tanaka人物紹介:田中

宙畑の超高性能検索エンジン、田中。
抜群の調査能力は、もっぱら美味しい飲食店の抽出にのみ利用される。

sugaya人物紹介:菅谷

宙畑の癒し系お兄さん、菅谷。
穏やかそうに見えて、アツイ心の持ち主。星空と猫の話は始めると長い。

(1)今回のルールと今後の概要説明

衛星データで何が見えるのか、できるのかのアイデアは出せるものの、このアイデアがビジネスになるのか分からない……という状況から1年後。ようやくビジネスアイデアを持ち寄ることができた宙畑編集部。果たして、儲かりそうなアイデアは出てくるのか!?

今日の議題は、衛星データのビジネスアイデアの持ち寄り。所定のフォーマットを事前に渡し、アイデアを記載して持ち寄ってもらいました。

「Running Lean ―実践リーンスタートアップ」よりリーンキャンバスの項目を参考に作成 Credit : Running Lean ―実践リーンスタートアップ

牟田:慣れない作業だったので結構大変だったね。正直儲かるかどうかまでは分からんな。

中村:まずはアイデアを出してみることが重要だと思いますので、どんどん発表していきましょう。

今回、アイデアを発表した後は、読者の皆さんに投票いただき、反応が良いものがあればプロトタイプを作る検討に入りたいと思っています。ということで、まずは発表していきましょう。

【読者のみなさんへのお願い】
今回、各アイデアの最後に評価アンケートを設けております。答えて良いよ!という方はぜひアンケートにお答えいただけますと幸いです。

(2)5人の持ち寄りアイデア紹介

中村:五十音順に発表していきましょうか。まずは城戸さんから、よろしくお願いします!

アイデア①宙の移住案内人

城戸:私は都心で働くことに疲れた人に「自然と共生する新たな家選び」を仲介するサービスを考えました。私が最初の顧客になるようなサービスです笑

菅谷:たしかに、新型コロナの影響でオンラインで仕事ができると気づいた人・企業も多そうだし、都心に住まなければならないということが絶対ではなくなってきてるもんね。

城戸:実際に都心から郊外へ移住している人も増えているようだし、衛星データは周辺環境を相対的に調査することが得意だからきっと良い物件をレコメンドできるはず。

田中:周辺の自然環境だけでなく、大気汚染状況や花粉の状況も条件に加えられるというのが良いね。

牟田:仲介手数料の料率が既存不動産会社と組む場合どのくらいになりそうかと実際に郊外への移住を考える人がどの程度いるかが肝になりそう。あとは、取得したデータを別の事業に展開することもできそうだね。

城戸:たしかに。新しい不動産をどこに建てるかのレコメンドにも使えると良いなー。

『宙の移住案内人』の評価アンケートはこちら

アイデア②衛星メモリートーク

中村:次は菅谷さんお願いします!

菅谷:僕はコロナの影響で話をする人がどんどん限られている中で、恋愛目的ではない新しい出会いをしたいなと思っていて、データを用いたマッチングアプリを考えてみたよ。

中村:思い出を登録して、話が盛り上がりそうな人とマッチングさせるというのは面白そうですね。例えば、登山が趣味な人は思い出としては違う山を訪れていて、衛星データを見ながら自分が山を登った思い出を語り合っていただくとか。

田中:趣味によっては口コミ情報が欲しい旅館、地域もあるかもしれないから、口コミを集める手段としても面白いかもね。

城戸:新型コロナの影響で新しい人と合いにくくなってるのはたしかだし、人と人とのつながりを生み出すサービスは需要あるのかな。

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アイデア③フィッシングSDGs

中村:次は田中さんお願いします!

田中:僕は今回、SDGsを軸にビジネスを2つ考えてみました。まず一つ目は、河川の汚染度を川釣りを楽しむユーザーの釣りログをベースにして推測し、そのデータを換金化するサービス「フィッシングSDGs」です。

牟田:人の趣味のログが企業にとって別の価値になるというのは面白いね。釣りログの裏返しが汚染マップになるのか。

田中:地方自治体が管轄する地域の環境把握に使ったり、汚染が危惧される工場を新設した企業が住民への環境保全の立証のデータとして使ったり、多方面で利用できるデータになるんじゃないかなともって考えてみた。

牟田:あとは、河川だと匂いが気になるなと思っていて、近所の用水路とかのデータも分かるといいね。

田中:そうだね。今回で言えば釣り人がそのような変数も記録してくれるようになるとよりデータ量を増やすことができそう。

中村:もうひとつのアイデアもそのままお願いします!

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アイデア④車いないカー

田中:もうひとつのサービスは、外出自粛期間が長引いていることもあり、近隣で安全に散歩できるところがどこか知りたいな、というところから考えました。特に、子連れの人を見ていると、本当は近隣の公園に連れて行きたいけれど、公園は混んでいるから連れていけない、と困っていそうなのも感じてる。ということで考えたのが、「車いないカー」というサービス。

中村:このアイデアもまたサービスを通して生まれたデータを政府に売ったり、今回の主目的以外にも転用ができそうですね。

牟田:干渉SARのデータを最近見てて、数cmの差を見たりしてるんだけれど、車の数によってノイズが生まれてたりするのだけれど、そのノイズの量が交通量に変換できないかなと思ったりしてるんだよね。

田中:おおー、それも面白そうね。

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アイデア⑤釣れる君

中村:次は自分ですね。今回、アイデアを2つ考えてみました。

中村:まず一つ目は海釣りに衛星データを使ってみて大成功だった実体験をもとに考えてみたアプリ「釣れる君」です。

城戸:アルゴリズム作るのはどのくらい大変?

中村:以前の記事で実践したアルゴリズム自体はシンプルなので、全国のデータを引っ張って解析するコンピューティングリソースの方が大変になりそう。

牟田:データはいつのデータを使用する想定?

中村:データ自体はユーザーが指定する地域の最新のデータを引っ張ってくるようにするアルゴリズムを組めればなと。

田中:Fishbrainはどのくらいの金額でサービス展開してるの?

中村:Fishbrainの場合は月額5.99ドルですね。あと、知り合いの方に聞いたところ、釣りログを残すことで他のユーザーにお気に入りの漁場を教えることになるので、あまりログが集まらないとのことで、今回はインセンティブの設計をしてみました。

城戸:もし釣り好きの人が漁場の予測をすることに楽しみを見出しているのであれば、ログを残して精度が上がることに興味はもしかしたらないかも?

田中:子供と釣りに行きたい親とかは月額500円とかであれば全然出すと思うよ。

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アイデア⑥あべこべマッチングトーク

中村:次のアイデアは、新型コロナの影響でなかなか外に出て新しい人との出会いに物足りなさを感じている中で、新しい体験をするためにはどうすればよいのかという課題から考えてみた雑談マッチングアプリ「あべこべマッチングトーク」です。

城戸:なんか、テレビ番組のディレクターの人がネタを探すときに使うとかあると良さそう?

田中:どちらかというとテレビ局の企画屋さんにとってはこの会話が面白いのかもね。家ついて行っていいんですか?とかぽつんと一軒家とか。

牟田:これって世界観としては同時通訳を入れて、国内に限らず世界でのあべこべができると良さそうだよね。

田中:たしかにそれができると後進国・先進国のマッチングが起きて、世界中の課題が明らかになったり、ニーズの発見がどんどん出てきそうな予感がするね。

牟田:世界がひとつになっていくような気もするね。どこで儲かるかは知らんけど笑

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アイデア⑦宙から鑑定

中村:では、最後に牟田さんお願いします!

牟田:ユーザーの本人確認をするときに、衛星データが使えないかなと思っていて、例えば住所とかだと虚偽のデータが入っていることが多いらしくてそれを確認したいなと思ってサービスを考えてみました。日本であればゼンリンさんのデータを使えばよいのだけれど、海外の住所となると知りようがないので、衛星データを使えないかなーと。

中村:GoogleMapとの違いは不定期な更新をより最近のデータを見たいニーズに答えられるとかですかね。

牟田:そうですね。GoogleMapとの違いが何かなーと考えたときに、ただ上から見て建物があるかないかではなく、その他のデータと組み合わせて人が住んでる建物なのか否かまで分かるようになると良いのかなーと。

田中:これは「あるといいなー」というよりは、あれば絶対に使いたいというニーズに対してのサービスだから良さそうだね。

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(3)衛星データビジネスアイデア投票結果ダッシュボード

今回、新型コロナの環境変化を受けてのアイデアも多かったですが、牟田さんや田中さんのアイデアのように、実際にこれが困っているんだというアイデアについて衛星データを活用するというのも面白かったですね。

本賞には各アイデア毎に投票いただいた内容は以下でリアルタイムで更新するダッシュボードを後日公開予定です。

いただいた投票結果やコメントを元に、プロトタイプの制作を考えていきたいと思います。皆様の投票、心よりお待ちしております!

(4)次回予告

以上、今回は「衛星データのビジネスアイデアを持ち寄る」でした。次は実際にプロトタイプとして進めるアイデアを決め、ステークホルダーの方にヒアリングを行い、今回設定した仮説の検証を行っていきたいと思います。

いったいどのアイデアがプロトタイプの検証を行うまでに至るのか。次回以降お楽しみに!