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宇宙飛行士2名を乗せたクルードラゴンが帰還【週刊宇宙ビジネスニュース 7/27〜8/2】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

クルードラゴンの有人宇宙飛行試験が成功

日本時間8月3日3時48分ごろ、NASAの2名の宇宙飛行士を乗せたSpaceXの宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」がメキシコ湾に着水し、帰還を果たしました。今回の成功により、米国はスペースシャトルに代わる自国の有人宇宙船の開発に成功したことになります。

Credit : SpaceX
Credit : NASA

クルードラゴンは、NASAの施策である「商業クルー開発(CCDev)」プログラムによって開発されました。5月31日に、NASAの宇宙飛行士であるボブ・ベンケン氏とダグ・ハーリー氏を乗せて打ち上げ、ISSへのドッキングに成功。その後、2名の宇宙飛行士らはISSに約2カ月間滞在していました。

星出宇宙飛行士がクルードラゴン2号機に搭乗決定

さらに、7月28日にJAXAは、宇宙飛行士の星出 彰彦氏がクルードラゴン宇宙船運用2号機への搭乗が決定したことを発表しました。

星出宇宙飛行士にとって次回のフライトは、2012年と2018年に続き3度目の宇宙飛行で、若田光一宇宙飛行士に次いで2人目となるISS船長を務める予定です。

星出宇宙飛行士は以下のようにコメントしています。

この度、スペースX社のクルードラゴン宇宙船運用2号機に搭乗することが決定いたしました。これまで国際宇宙ステーション長期滞在に向けた訓練を行ってきましたが、野口飛行士に続く、新型宇宙船への搭乗を光栄に思います。

米国のスペースシャトルおよびロシアのソユーズ宇宙船という、ともに歴史と実績のある宇宙船への搭乗に加え、今回新しい技術やコンセプトで開発された民間宇宙船に搭乗できることは楽しみでもあり、同時に新しい時代の到来を肌で感じております。

コロナ禍で世界中が大変な中、これから訓練も本格化しますが、引き続きご支援いただきますようよろしくお願い申し上げます。

JAXAによると、打ち上げは2021年春頃を予定しているとのことです。日本人宇宙飛行士の活躍により、国内の宇宙開発も盛り上がっていくのではないでしょうか。

Virgin Galacticが宇宙船「SpaceShipTwo」のデザインを初公開

7月28日、宇宙旅行サービスの提供を目指すVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、同社が開発を進める宇宙船「SpaceShipTwo(スペースシップ2)」のイメージを同社のYoutubeチャンネルで公開しました。

船内には客席が6席で、合計12個の窓が各席の横と天井にそれぞれ設置。さらに船内には16台のカメラが設置されていて、そのうち2台は乗客を撮影します。

Virgin Galactic
Credit : Virgin Galactic

プレスリリースによると船内のデザインは、企業のブランド戦略や新商品の企画などを手掛けるロンドンのデザインコンサルティング会社Seymourpowell(シーモアパウエル)が参画しています。

動画の冒頭は、7月20日にCEOに就任したMichael Colglazier(マイケル・コルグラジア)氏の挨拶で始まりました。コルグラジア氏は、Disney Park Internationalで社長兼ディレクターを務めていたことから、Virgin Galacticの顧客体験向上に大きく寄与するのではないかと注目されています。

Axiom Spaceに元NASAの宇宙飛行士がジョイン

7月30日、民間での宇宙ステーション構築を目指すAxiom Space(アクシアム・スペース)に、元NASAの宇宙飛行士であるRex Walheim(レックス・ワルヘイム)氏が参画したことがSNSで発表されました。

ワルヘイム氏は、機械工学の学士号、産業工学の修士号を修得したのちに空軍を経て、NASAに入社。1986年10月から1989年1月まで、ジョンソン宇宙センターでフライトコントローラおよび運用エンジニアを務め、1996年3月にNASAによって宇宙飛行士に選出されました。3度のミッションに参加し、宇宙滞在時間の合計は560時間を超えています。Axiom Spaceでは、安全・ミッション保証ディレクター(Director of Safety & Mission Assurance)を務めるそうです。

Axiom Spaceの共同創業者は、元ISSのプログラムマネージャーのMichael Suffredini(マイケル・サフレディーニ)氏です。NASAで得た知見を生かして企業を成長させ、ISSの商用モジュールの開発などのプロジェクトをNASAから受注している様子からみるに、政府と民間企業のエコシステムが上手く循環し始めているのではないでしょうか。

自民党 アルテミス計画の参画予算確保を要望

7月29日、自民党の宇宙・海洋開発特別委員会が、NASAが主導で進めているアルテミス計画に関連する予算を十分確保するよう、萩生田文部科学大臣に要望したそうです。
予算額など具体的な内容は明らかになっていませんが、萩生田大臣は「国民生活にも役立つもので、予算確保に向けて頑張っていきたい」と応じたということです。

アルテミス計画は、6月末に閣議決定された宇宙基本計画においても、政府をあげて意義のある取り組みを推進していく旨が表明されています。

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参考

JAXA星出彰彦宇宙飛行士の 国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在 搭乗機決定について

Virgin Galactic Reveals SpaceShipTwo Cabin Interior

Rex J. Walheim (Colonel, U.S. Air Force, Ret.) NASA Astronaut

自民 米の月面探査「アルテミス計画」への予算確保を要望