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中国 宇宙ステーション構築に向け18名を宇宙飛行士として選出【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/9/28〜10/4】

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中国 宇宙ステーション構築に向け18名を宇宙飛行士として選出

中国有人宇宙機関(CMSA)は、2022年に完成を目指す独自の宇宙ステーションの運用に向けて、新たに18 名の宇宙飛行士を選出したことを発表しました。

宇宙飛行士の募集は2018年5月に開始し、2,500名の候補者があがりました。1998年と2010年に実施された中国の宇宙飛行士選抜には空軍のパイロットのみが候補者として参加可能となっていましたが、宇宙ステーションの構築や運用に求められるニーズが変化したことから、一般向けにも公開されたようです。

最終的に選出された宇宙飛行士のうち、7名はパイロット、7名は航空宇宙が専門のエンジニア、4名はサイエンスの専門家で、うち1名が女性とのことです。

宇宙ステーションのイメージ Credit : CMSA

中国は宇宙ステーションで実施する実験を各国から募集し、日本からも東京大学の研究が採択されています。ISSは2024年以降、国によるISSの運用が終了する見込みで、中国やインドなどの宇宙ステーションがどのように活用されていくのか、引き続き注目していきたいと思います。

米宇宙軍による宇宙飛行士派遣は数十年後か

米宇宙軍宇宙作戦司令部のジョン・ショー(John Shaw)少佐が、空軍のテクノロジーアクセラレータプログラム「AFWERX」の会議で、将来的に宇宙飛行士隊を作る計画について言及したことが話題になっています。ショー少佐は、「(将来の宇宙軍は)月面や、ほかの宇宙空間でコマンドセンターを運用しているかもしれません」と話しています。

これに対して、副司令官のデビット・トプソン(David Thompson)氏は、宇宙軍が宇宙飛行士を派遣することは、今後5〜10年の話ではなく、数十年後の話であり、現時点では具体的な計画はないことを補足しました。

米軍の次世代衛星システムの開発をボーイングが受注

10月1日、ボーイング社は通信衛星の製造開発を米宇宙軍より2億9,800万ドルで受注したことを発表しました。

米宇宙軍は2011年以来、軍用通信衛星「先進EHF通信衛星AEHF(Advanced Extremely High Frequency)」システムを運用してきましたが、戦略的次世代通信衛星プログラム(Evolved Strategic Satellite Communications program、以下ESS)を進め、今後10年でESSをAEHFに代わるシステムとして運用しようと計画しています。

Advanced Extremely High Frequency System Credit : SMC

米宇宙軍は2011年以来、軍用通信衛星「先進EHF通信衛星AEHF(Advanced Extremely High Frequency)」システムを運用してきましたが、戦略的次世代通信衛星プログラム(Evolved Strategic Satellite Communications program、以下ESS)を進め、今後10年でESSをAEHFに代わるシステムとして運用しようと計画しています。

ボーイングが受注したのは、ESSプログラムの一環となるジャミング防止通信衛星です。2025年までにプロトタイプを製作する契約となっています。

宙畑メモ ジャミングとは
通信を疎外するために、通信が行われている周波数に近い妨害信号を送る行為のこと。混信することで、正しく衛星と送受信できなくなることがあります。米国の報道によると、中国の複数の人工島に対衛星用ジャミング装置が設置されていることが確認されているとのことです。

GPSはじめ他国の測位衛星が使用不可能になるケースに関する考え方」内閣官房宇宙開発戦略本部事務局

ESSプログラムはボーイングに加えて、AEHFの設計・製造を担当したロッキード・マーチンとノースロップグラマンがそれぞれ衛星製造の委託を受けています。

従業員数は米国内と世界65カ国以上に14万5,000人有するボーイングは、軍事用衛星のほかにも、商業衛星の製造や有人宇宙船「CST-100 スターライナー」の製造開発、月軌道ゲートウェイの設計など、宇宙分野に幅広く携わっています。

2019年12月に実施されたスターライナーの無人飛行試験は失敗に終わり、調査を進めています。ボーイング社とNASAは8月末に、2回目の無人飛行試験を12月に実施し、2021年6月に有人飛行試験を実施する計画を発表していますが、当初の計画からは遅延しています。

さらにボーイングは、2度の墜落事故を受けて運行停止が続く旅客機「737 MAX」の問題も抱えており、経営状況を不安視する声も上がっています。スターライナーの試験結果によっては、ボーイングの宇宙事業においても“選択と集中”が検討される日が来るのかもしれません。

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参考

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