来年度予算案は過去最大。月面探査、H3開発、安全保障関連に注力か【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/10/5〜10/11】
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宇宙関連の来年度予算案は過去最大の5,400億円
政府全体の宇宙に関連する来年度予算案の概算要求が、過去最大の5,400億円になったことが公表されました。前年度の予算は3,652億円で、5割にあたる1,778億円が増加したことになります。
予算案の大枠を占めたのは文部科学省で、その総額は2,809億円に上ります。NASAが主導で進めている「アルテミス計画」に810億円、H3ロケットに206億円、先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」に157億円を要求しました。
次いで防衛省が宇宙設置型光学望遠鏡(SSA衛星の整備)や衛星画像データの利用などに1237億円、内閣官房の衛星情報センターが情報収集衛星の開発・運用等に886億円、経済産業省が民間企業による衛星データの利用促進を図る環境整備に21億円を要求しています。
予算案が承認され宇宙関連に過去最大の予算を投じることになれば、暮らしにどのような変化が起こるのか、ますます注目が集まるのではないでしょうか。
ボーイング社 スターライナーに搭乗予定の宇宙飛行士が辞退
10月7日、ボーイング社が開発を進める宇宙船「CST-100 スターライナー」の有人飛行試験に参加予定の宇宙飛行士クリス・フォーガソン(Chris Ferguson)氏がミッションを辞退することを表明しました。
フォーガソン氏は元NASAの宇宙飛行士で、2011年にボーイングに入社しました。スターライナー の有人飛行試験は、昨年12月の無人飛行試験の結果を受けて遅延し、2021年に実施予定でしたが、家族の事情でミッションを辞退するに至ったとのことです。
しかしながらスターライナーの開発および運用には引き続き携わっていくとのことなので、宇宙飛行士としての知見が次世代宇宙船の開発に活かされることを期待したいと思います。
野口宇宙飛行士らが搭乗予定のクルードラゴン打ち上げが延期
10月10日、NASAは31日に予定されていた宇宙飛行士の野口聡一氏らが搭乗するSpaceXの宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げを11月中旬に延期することを発表しました。
クルードラゴンは同じくSpaceXが開発したロケット「ファルコン9」の先端に搭載されて打ち上げられます。NASAによると、最近行われたファルコン9の打ち上げの際に、1段目のエンジンが想定外の動作が確認され、点検の必要があるため延期に至ったとのことです。
これに対して野口氏は「ロケットの安全確保のために必要な準備と考えて、我々クルーも引き続き訓練に励みたいと考えております」とSNSでコメントしています。
ExolaunchがSpaceXとライドシェアミッションの長期契約を締結
10月8日、打ち上げサービスのプロバイダーであるExoLaunchはSpaceXと打ち上げ契約を締結し、衛星数十機の打ち上げ枠を確保したことを発表しました。打ち上げは2020年から2021年にかけて実施されるとのことです。
ExoLaunchは2008年創設のドイツ・ベルリンを拠点とするベンチャー企業。同社は小型衛星を打ち上げる際のロケット会社との提携や打ち上げの管理、衛星の放出サービスなどを提供しています。
SpaceXのファルコン9のほかに、Rocket LabのELECTRONやロシアのソユーズ2などさまざまな企業との提携実績があることから、すでに小型衛星の製造開発を行うベンチャー企業のSpireやドイツ航空宇宙センター、UAEの宇宙機関など、幅広い顧客がExoLaunchのサービスを利用しています。
またプレスリリースの中で、Exolaunchでプロジェクトマネージャーを務めるコナー・ジョナス(Connor Jonas)氏は、米国を拠点とする顧客へサービスを提供し続けるために、米国オフィスの設立を検討していることを示唆しました。
Exolaunchと同様に衛星の打ち上げをアレンジする企業に、米国のSpaceflight industriesがあげられます。同社は、老舗企業であり、地上局サービスを展開しているなど別の別の強みを持っていると言えますが、Exolaunchが本格的に米国に参入していくことで、市場がどのように変化していくのか注目していきたいと思います。
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参考
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Germany’s Exolaunch Signs Long-Term Launch Agreement with SpaceX for Multiple Rideshare Missions