火星探査機InSightの着陸を影で支えた探査機MarCO【週刊宇宙ビジネスニュース 11/26~12/2】
週刊ビジネスニュースでは、前の週に起きた宇宙ビジネスの話題を3つピックアップして解説します。
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今や利用していない人の方が少ないのではないか、と思えるAmazon。そのAmazonが、衛星運用分野へと参入してきました。
2.火星探査機InSightの着陸を影で支えた探査機MarCO
NASAの探査機が火星に降り立った際、2つの小さな人工衛星(MarCO)により火星表面のリアルタイム画像を撮影することに成功しました。この成功は、太陽系の探査方法を変える可能性があります。
この2つの超小型衛星は、それぞれ13.5kgしかありません。11/26に火星に着陸した探査機、InSightと相乗りで打ち上げられました。超小型衛星の有用性は、地球近傍では立証されていますが、深宇宙探査ではまだでした。それが、今回のミッションで、超小型衛星は深宇宙探査においても有用(有効)だと実証されたのです。
MarCOは、火星に突入し、減速して着陸するInSightと地球をつなぐ中継衛星としての役割と、InSightの火星への着陸時の速度計測の役割を担っていました。
従来までは着陸した後に受信する信号からしか探査機の状態を知るすべはなかったのですが、今回のMarCOの有用性確認により、着陸中から、探査機の状態を知ることが可能となったのです。
今回のミッション成功により、今までは中ー大型衛星しか存在しなかった深宇宙探査分野において、例えば地球周回衛星のコンステレーションを構築しているPlanetのような、超小型衛星を開発している企業も深宇宙探査に参入できることが証明されたのです。
今回の成功を受けて、NASA執行役員として科学ミッションを担うThomas Zurbuchen氏は、年間100億円を超小型衛星分野に投資することを宣言しました。
今後、深宇宙探査が打ち上る前に、超小型衛星による事前観測をすることや、超小型衛星がメインの深宇宙探査計画なども出てくるかもしれません。
今までは、1つの科学探査ミッションであっても莫大な予算を投じる必要がありましたが、超小型衛星が中心もしくは補助的な役割を担うことで開発コストをかなり抑えられるため、従来よりも様々な科学探査ミッションを同時並行に行うことが可能になるかもしれません。
今回のミッション成功を受けて、今後どのような科学探査ミッションが続いていくのか、科学探査ミッションがどのように変わるのか、楽しみですね。
【今週(11/26~12/2)のピックアップ】
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