宙畑 Sorabatake

Tellus

「SPACETIDE 2021 Spring」を終えて、宇宙ビジネスの次のアクションを。代表理事石田さんに聞くSPACETIDEのこれから

「日本および世界の新たな宇宙産業の発展」をビジョンに掲げ、宇宙ビジネス全体の底上げと新たな宇宙ビジネスの創出を目指す団体である一般社団法人SPACETIDE。 今回は、SPACETIDE代表理事兼CEOの石田真康さんに、2021年3月に開催されたSPACETIDE 2021 Springの手ごたえや、SPACETIDEが目指す今後についてじっくりとお話をお伺いしました。

SPACETIDE 2021 Springについて

一般社団法人SPACETIDE(以下:SPACETIDE)の活動の大きな軸となっているのが、宇宙ビジネスカンファレンスの開催です。2015年11月以降、合計5回のカンファレンスを開催しており、2021年3月23、24日に「SPACETIDE 2021 Spring」を開催しました。

Credit : SPACETIDE 

今回はSPACETIDEとして初めて2日間に分けてオンラインとオフラインの両方の開催をしています。2日間合わせて約500名が参加され、参加者全体の約20%が海外の方で10~15程度の国と地域から参加をしていたとのことです。

Day1はオンラインで海外のゲストを中心にしたトークセッションを行い、全編英語で開催されました。

– 小型地球観測衛星のトップカンパニーであるPlanetのMike Safyan氏によるKeynote Speech
SpaceXAmazon Web Servicesといったトップ企業の方を呼んだFireside Chat
– 山崎直子宇宙飛行士のほか、従来の宇宙機関や宇宙企業に加え、ベンチャー企業や異業種企業も交えて月面探査について議論した「グローバル官民連携で加熱する月面社会の形成」
– 日本を含むアジアのスタートアップ企業7社がピッチを行った「APAC Startup Pitch」
European Space Policy Insititute(ESPI)との協力のもと、アジア各国の民間宇宙産業の最前線を取り上げた「興隆するアジア各国のNewSpace(協力:European Space Policy Institute)」

※Fireside Chatとは、暖炉の横でリラックスして話しているような、カジュアルな形式の座談会のこと
※ESPIは、アジアの宇宙業界に関する調査レポート「NewSpace in Asia」を発刊した組織です。

EventHubで実施したDay1のイベントの様子 Credit : SPACETIDE

Day2はオフラインで人数を限定して全編日本語で開催されました。

– 内閣府の宇宙開発戦略推進事務局長のほか、宇宙業界を代表する学術、産業分野のキーパーソンが各界の観点を交えて議論した「産学官連携が切り拓く、日本の宇宙産業の新たなステージ」
– 2020年夏のTellusのイベントでも取り上げ、社会課題の解決に宇宙ビジネスが何ができるか議論した「SDGs×宇宙ビジネス:社会課題解決にむけた宇宙ビジネスプレイヤーの挑戦(協力:Space Biz for the SDGs)」
– Tellusの山崎も登壇し、異業種企業が取り組みはじめた宇宙ビジネスの事業内容と今後の課題などの話を取り上げた「宇宙があなたの仕事に:異業種企業が挑む宇宙ビジネス」
– Tellusの城戸のほか、宇宙コミュニティ活動に取り組む5名が登壇し、宇宙に関わる第一歩としてのコミュニティの在り方について議論したFireside Chat

などのセッションが展開されました。プログラムの詳細はSPACETIDE 2021 Springのサイトから確認することができます。

今回は代表の石田真康さんに、2021年3月に大盛況の中終了した「SPACETIDE 2021 Spring」の手ごたえや、SPACETIDEが目指す今後についてじっくりとお話をお伺いします。

インタビューにご協力いただいたSPACETIDE代表理事兼CEOの石田真康さん

宙畑:改めて、今回のカンファレンス全体のコンセプトについて教えて下さい。

石田:今回のカンファレンスのコンセプトは「事業化ステージのはじまり」です。

「構想がカタチになる」というコンセプトで開催した2019年のカンファレンスから1年半が経ち、この間に宇宙ビジネス界でも”事業化”の流れがより強くなってきました。そこで、顧客獲得やビジネスモデルの構築などをテーマに、各国のトップリーダーが集まって議論する2日間にするというのが、今年のカンファレンス全体のコンセプトとなっています。

宙畑:海外からの参加者も20%いらっしゃったということなんですが、今回のオンライン開催による手ごたえはいかがでしたか?

石田:参加していただいた海外の方は、米国・欧州・アジアオセアニアの方々など17の国・地域から満遍なく参加いただいていました。ただ、時差の関係から、アジアオセアニアの方々が一番見やすい環境であったとは思っています。

一方で、欧米の方々がアーカイブでの視聴がほとんどだったかというとそうでもなかったようで、今回のSPACETIDEのDay1はEventHubを活用したのですが、事前登録者の90%がリアルタイムで参加されていました。

当然1日通して視聴していたのではなく、気になるセッションだけ視聴されているとは思いますが、チケット購入者にはアーカイブの用意もあるオンラインカンファレンスにおいて、90%がリアルタイム参加という数字はかなり高い水準と捉えています。

宙畑:実際、私もEventHubで参加して、参加者の数名と交流させていただいたのですが、みなさん積極的にイベントに参加されているという印象がありましたね。

アジアパシフィックの宇宙カンファレンスへ

宙畑:オンラインで開催したDay1で特に力をいれたポイントについて教えてください。

石田:Day1では、オンラインの強みを生かしてグローバルな意味合いを大きく出しています。具体的には、12の国と地域から約30数名の登壇者の方に集まっていただき、同時通訳も準備して全編英語で開催しました。その中で、特に注力した点が2つあります。

1つは、「世界の最先端を走っているトッププレイヤーを全員集める」ということです。事業化というキーワードを考える上で、リモートセンシングやメガコンステレーションなど、宇宙ビジネスの各セグメントでしっかりビジネスを行っている方の話を聞くことには拘りました。

もう1つは、「アジアパシフィックの宇宙ビジネスを加速させる場にする」ということです。これまでは世界の宇宙ビジネスの潮流を伝えて、日本の宇宙ビジネスコミュニティを創ることを目的に開催してきたのですが、今後はアジアパシフィックのカンファレンスに拡大させていこうという大いなる目標があるんです。そのために、アジアパシフィックのスタートアップ企業ピッチと、European Space Policy Insititute(ESPI)に協力してもらったアジアにおける宇宙産業についてのパネルを開催しました。

「興隆するアジア各国のNewSpace」のイベントの様子 Credit : SPACETIDE

宙畑:ありがとうございます。Day1に対してDay2の特徴はいかがでしょうか。

石田:Day2は、オフライン形式で日本の宇宙ビジネスについてしっかり話す場にしました。日本の宇宙産業の全体動向を議論したり、異業種で宇宙ビジネスに挑んでいるソニーさんやさくらインターネットさんなどの企業とのパネルなど、過去のカンファレンスでも実施しているセッションを今回も開催しています。

ただその中で、Day2でも今年ならではの新しいトピックを入れました。

1つは「SDGsと宇宙ビジネス」のパネル、もう1つは「宇宙コミュニティ」についてです。SDGsは昨年から私も主宰している「Space Biz for SDGs」のメンバーに参加していただいて、地球で起きている様々な問題に対して、ビジネスとして宇宙が何ができるかということを話すのは、今年取り上げるテーマとしてはいいタイミングかなと思い開催しました。

宇宙ビジネスはこれまで、敢えて平たく言えば「夢」「わくわく」「ドキドキ」などのテーマで広がってきました。宇宙ビジネスの注目度合いと並行して地上には様々な課題があります。地上で困っている課題に対して、宇宙というアセットを利用して正面から向き合えばちゃんとビジネスになるのではないか。こんな想いでSDGs×宇宙の可能性を感じており、SPACETIDEのパネルとしても設定しています。

しかし、SDGsというと17も課題があるので単純に宇宙×SDGsというと「宇宙って役に立つよね」っていうようなふわっとした議論になってしまいがちなので、カンファレンスでは「自治体の抱えてる課題を宇宙ビジネスで解決していく」という軸を設けていたように、具体的にそれぞれの課題をどのように解決していくのかを議論をしていく段階になっているのではないかと思います。

「SDGs×宇宙ビジネス:社会課題解決にむけた宇宙ビジネスプレイヤーの挑戦」の様子 Credit : さくらインターネット

もう一つが、宇宙コミュニティについてのセッションです。

宇宙コミュニティについても、現在の宇宙産業の中で、様々なコミュニティ活動が確かに足元で広がっているので、今、この瞬間の日本の宇宙ビジネスに起きている話題として一つのパネルに加えました。宙畑のような宇宙メディアで情報収集する人が増えて、「ABLab」や「リーマンサット・プロジェクト」などの宇宙コミュニティが広がることで、自然と多様性も増して異業種の人も増えていくはずなので、コミュニティを広げていくことも今後の宇宙産業にとって必要だと思っております。

つまりDay2をまとめると、SPACETIDEにおける王道セッションを軸にしながら、2021年の今だからこそ立てるべき問いと言えるセッションを加えた内容にしました。

宇宙業界の将来とSPACETIDEのこれから

宙畑:それでは「SPACETIDE 2021 Spring」が終わり、これからSPACETIDEとして、カンファレンスの企画運営に限らず今後やっていきたいことがあれば、是非教えてください。

「宇宙ビジネスを知ってもらう」の一歩先へ

石田:SPACETIDEがこれまでに大事にしていたのは、「宇宙ビジネスを知っている人を増やす」でした。2015年にSPACETIDEが始まり、大きなカンファレンスを5回実施する中で、日本の宇宙産業も大きく変わりました。そのような環境の変化を考慮すると、「知ってもらう」から「宇宙産業を本気で作る」ための役割をSPACETIDEが担う時期に来ていると感じています。

宇宙ビジネスを「知ってもらう」ことを目標にするなら、我々よりも優れていて影響力をもっている組織はたくさんいます。今回のカンファレンスの翌日には、NewsPicksさんが宇宙ビジネスをテーマにしたイベントを開催していて、SPACETIDEとしても協力しましたが、一般認知度で比べたらNewsPicksさんのブランドなんて比較にならないくらい強いです。

ではSPACETIDEは何をするかというと、「知る」の一歩先だと考えています。つまり、「知る」から「動く」への変化にSPACETIDEとして貢献していきたいと考えています。

実際に「知る」の後に「投資をする」「起業をする」「政策を決める」といったアクションを起こすには、大きな死の谷があって、100人知って1人動けるかどうかなんですよね。この100分の1という確率をどのくらい上げていけるか、これがSPACETIDEの役割かなと思っています。

もう一つは今回のイベントで第1弾となった「日本に加えて、アジアパシフィックの宇宙ビジネスを加速させる場にする」ということですね。これは数年間かけて、アジアパシフィックの中のSPACETIDEという立場を確立していきたいと思っています。そのためにもSPACETIDEのカンファレンスの内容は拘っていきたいです。

ある程度有名な人を集められればそれなりの見栄えになるカンファレンスは作れると思いますが、話すことが想像できてしまうとカンファレンスを聞く価値を感じてもらえません。有名な企業のCEOばかり集めるのではなく、敢えてベンチャー企業のCTOと大企業の若手社員に登壇してもらうとか、その場じゃないと生まれないような話を生み出せるようにしていくのが魅力的なカンファレンスを作っていく上で大事だと思っています。

COMPASSに公開しているアジアパシフィックのスタートアッププレイヤー
Credit : SPACETIDE 

スポンサー企業とともに日本の宇宙産業の市場拡大へ

スポンサー企業と協力し経営を動かしていける施策を

宙畑:ありがとうございます。では、SPACETIDEが目指す未来を実現していく上でスポンサー企業とやっていきたいことはありますか?

石田:SPACETIDEのスポンサーさんとの連携は、今まで我々も意識が回っていなかった部分も多々ありますのでぜひやっていきたいですね。

例えば、コミュニティを広げていくという意味では、SPACETIDEよりスポンサー企業さんの方がリーチできるコミュニティが広い場合があります。

衛星データ利用となれば、Tellusの「xData Alliance」の企業の皆さんは衛星データの利用促進のために集まっているコミュニティですし、大正製薬さんはスポンサー企業のなかでも圧倒的にBtoC商品でリーチできる範囲が全然違います。SPACETIDEだけでは絶対に届けられないところに宇宙ビジネスを届けていくにはスポンサー企業の協力が不可欠だと思っています。

あとは、いっしょに経営を動かしていくことですね。我々が出している宇宙業界レポート「COMPASS」も、スポンサー企業さんの「社内の経営会議で宇宙案件を通すのに、宇宙業界の統計的な数値が知りたい」という声から生まれたのがきっかけなんですよ。

COMPASSで公開している国内の宇宙業界における資金調達額とプレイヤー Credit : SPACETIDE 

宙畑の業界マップもそうだと思いますが、COMPASSの情報を、政府の委員会やメディアで取り上げていただくことが増えてきています。これは異業種企業の中で宇宙産業を知ってもらうための材料がほしいというニーズをスポンサー企業が持っていたということです。

それぞれの会社の中の課題は、当然その会社の方しか知らないので、様々な現場のニーズをスポンサー企業さんとともに解決していくことが宇宙産業をよくしていくことにつながると考えています。

宙畑:たしかに今まで宇宙事業をやってきたことがない企業が新たに宇宙事業を行うためには、社内の経営層に判断していただく必要がありますね。

石田:これは宇宙をやっている日本の企業ほぼすべてに言えることですが、宇宙事業がメインストリームである会社はほぼ無いんです。宇宙業界大手の三菱電機さんも三菱重工業さんも、宇宙事業とは別に大きな事業をやっていて、宇宙事業は数ある事業の中の一つに過ぎないんですよね。さくらインターネットさんもサーバビジネスというメイン事業がある中で、Tellusの事業を経済産業省から委託して行っているというのは、会社の中ではニッチな存在ですよね。

こういうニッチなチームだからこそ会社の事業として続けていくための苦しみや改善などの知見を集約させ、ニッチな活動を本気でメインストリームに乗せていく議論も是非スポンサー企業さんとご一緒したいです。

宙畑:他社と連携することで解決できるということもありそうですね。

石田:海外の宇宙産業と日本の宇宙産業で、成功する方程式は異なります。欧米のように安全保障と宇宙をくっつければ企業体が成立してしまうといった宇宙産業の成長パターンは日本では成立しません。さらに、去年くらいから海外ではSPACを使った宇宙ベンチャーの上場が盛んにおこなわれています。

宙畑メモ:SPAC
SPAC(特別買収目的会社)とは、その企業自体は特定の事業を持たずに、一定期間内に未公開会社・事業を買収することのみを目的として株式市場に上場する企業のことです。SPACを活用すると、資金調達を行いながら上場が果たせるほか、従来の新規株式公開(IPO)よりも簡素なプロセスで上場を果たせるため、近年この方式の上場を採用するベンチャー企業が増加しています。

ニューヨーク証券取引所に2019年に上場したVirgin Galactic、2021年中に上場予定のBlackskySpire GlobalRedwireや、NASDAQに上場したAST & Science LLC、2021年中に上場予定のMomentusAstraRocket LabArqitもSPACを活用しています。

ここ数年でSPACを活用して上場することを発表した企業一覧 Credit : さくらインターネット

しかし、日本では、アメリカで議論されているようなSPAC上場の議論は、宇宙に限らず行われていません。SPAC上場する企業と同じ市場で戦う日本の宇宙ベンチャー企業は厳しい戦いが強いられると思います。「海外だとSPACを活用して上場できるけど日本の企業は上場できない」と、市場の差が生まれるのはリスクだと思います。日本ならではの勝ちパターンを構築させていくのが、宇宙産業を育てていく上で不可欠です。そういった日本ならではの宇宙産業の育て方を考えていくことも、スポンサー企業さんと一緒に頑張りたいとSPACETIDEは考えています。

あとは、人材の交流もできたら最高ですね。SPACETIDEはプロボノの皆さんで運営もしていますが、プロボノの皆さんも全員宇宙に興味があるからやってるわけではなかったり、将来宇宙でビジネスをやってみたいという方だったり様々です。宇宙を事業でやっていくためにもSPACETIDEで宇宙について知っていただいたり、企業の知見をSPACETIDEで活かしていただくといったことができたら嬉しいです。

衛星データビジネスも「知る」から「動く」へ

宙畑:スポンサー企業として一緒にできそうなことありそうですね。特にTellusと衛星データの利用を広げていくためにやっていきたいことはありますか?

石田:衛星データの利用の議論って、どうしても「こんな可能性がある」という話になりがちで、ちょっとパネルとして飽きられて来ていると思っているので、「Tellusは触って何となくイメージは付きました、でもビジネスにするにはまだハードルを感じます」という層にフォーカスしたセッションをやりたいですね。

言ってしまえば「可能性を話す」ではなく「課題を洗い出す」リアリティの話です。

数年前に海外のイベントで衛星データを利用する側が登壇して衛星データを提供する側がオーディエンスとして参加していたセッションがあって、「衛星データって何でもできますみたいに言うけど、全然たりてない」と言われてしまっていたんですけど、こういう議論ができるのは衛星データ利用ならではだと思います。

宙畑:まさにTellusでもこれからユースケースを創出していく段階にあるので避けては通れないところですね。

石田:絶対にそうですよね。TellusだけではやりにくいことをSPACETIDEで協力していければと思います。

宙畑:最後に、現在内閣府が、宇宙産業ビジョン2030として、宇宙産業に関する長期的なロードマップを打ち出しています。それを踏まえ、SPACETIDEが2030年までに達成したいことはありますか?

石田:私が今までもずっと言ってきていることですが、宇宙産業を日本の成長戦略の柱となる基幹産業にすることですね。そのために、今まで3年単位ぐらいで目標を立ててきていて、最初の3年は「とにかくカンファレンスをがんばる」でした。

そのあと、今までの直近3年間は、COMPASSや、ラウンジトークのような小規模なイベント、YouTubeチャンネルの「SPACETIDE Q」を行うことで宇宙ビジネスを「知る」ということをやってきました。

これからの3年間は、先ほども言ったように「知る」から「動く」に力をかけることと、アジアパシフィックに広げていくことが目標になります。

そうやって2025年くらいにアジアパシフィックで最大規模のカンファレンスになり、2030年に世界一のカンファレンスになるとともに、日本の基幹産業として宇宙産業を位置付けていきたいと思っています。その中で、どんなアジェンダを議論するかはその時々で変わってくると思いますが。

宙畑:たしかに先ほどのSPACを使った上場の話も、1~2年前ではほとんど聞かない話でした。今後議論になるテーマは絶対に変わっていきますね。

石田:議論する内容が変わっていく中でも、しっかりと宇宙の市場規模を拡大していきたいというのはありますね。今回のイベントのオープニングなどでも話しているんですけど、自動車産業は宇宙産業の15倍もあります。ヘルスケアの産業は20倍以上です。それと比べると、本当は、宇宙の市場規模も2倍どころか10倍くらいにしないといけないはずなんですよね。

人類にとって意味のある産業だったら、ほかの産業に並ぶくらいの規模になってもおかしくないはずですから。まだまだ小さく狭い宇宙業界の問題に向き合って、SPACETIDEの活動を通してより大きな業界にしていけたらいいなと思います。

「SPACETIDE 2021 Spring」Day1のオープニングで石田さんが紹介した各業界の市場規模 Credit : SPACETIDE

宙畑:今回は取材にご協力頂き、ありがとうございました。

まとめ

カンファレンスの運営から始まり、ここ数年は宇宙ビジネスレポートのCOMPASSやラウンジトーク、SPACETIDE Qなど、宇宙ビジネスについて「知る」ための活動に取り組んできたSPACETIDE。

「SPACETIDE2021 Spring」を通して、アジアパシフィックの宇宙ビジネスを発信するカンファレンスへの第一歩を踏み出すと同時に、宇宙ビジネスを「知る」から「動く」ための取り組みへと進んでいくことになるようです。

日本の宇宙産業の市場拡大に向けて、SPACETIDEだけではなく、宇宙事業を行う企業すべてが次の段階へと進む2021年になっていくのでしょうか。

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