Satellogicが小型衛星コンステレーションの構築のためSPACを活用して上場へ【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/7/5〜7/11】
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SatellogicがSPACを活用して上場へ
ウルグアイに本社を構える衛星ベンチャー企業のSatellogicが、7月6日に、CF Acquisition Corp. Vによる買収及び経営統合契約を締結したことを発表しました。投資家向け資料はこちらからダウンロード可能です。
既にNASDAQ市場に上場しているCF Acquisition Corp. VがSatellogicを買収したのち2社は合併し、Satellogicは2021年度第4四半期までにNASDAQ市場に上場する予定です。
また、今回の契約と合わせて、SoftBank Groupの子会社であるSBLA Advisers Corp.及びCantor FitzgeraldによるSatellogicへの出資も発表されました。合併が完了するとSatellogicは2億7400万ドル(約300億円)を獲得し、企業価値は約8億5000万ドル(約940億円)と算出されています。
CF Acquisition Corp. Vは特別買収目的会社(SPAC)と呼ばれる、自社では事業を持たずに未上場ベンチャーの買収を目的につくられた企業です。近年、SPACを活用した宇宙ベンチャーの上場が相次いでおり、Satellogicを含めてここ2年で10社が上場を発表しています。
宙畑メモ
SPAC(特別買収目的会社)とは、その企業自体は特定の事業を持たずに、一定期間内に未公開会社・事業を買収することのみを目的として株式市場に上場する企業のことです。SPACを活用すると、資金調達を行いながら上場が果たせるほか、従来の新規株式公開(IPO)よりも簡素なプロセスで上場を果たせるため、近年この方式の上場を採用するベンチャー企業が増加しています。
ニューヨーク証券取引所に2019年に上場したVirgin Galactic・2021年中に上場予定のBlacksky・Spire Global・Redwireや、NASDAQに上場したAST & Science LLC・2021年中に上場予定のMomentus・Astra・Rocket Lab・ArqitもSPACを活用しました。
Satellogicは現在17機の小型地球観測衛星を打ち上げており、2025年までに300機体制のコンステレーションを構築する予定です。
また、Satellogicの小型地球観測衛星には光学カメラの他にハイパースペクトルカメラが搭載されているのが大きな特徴です。ハイパースペクトルカメラは非常に細かく波長を観測できるセンサであり近年注目されています。インドの宇宙ベンチャー企業のPixxelもハイパースペクトルカメラを搭載した小型地球観測衛星を開発しています。
宙畑メモ
ハイパースペクトルカメラとは、通常の光学センサの何倍も細かい波長を検出できる技術で、撮影対象物の含有成分を特定したり、その量を測定したりすることができます。
昨年から注目されている宇宙ベンチャー企業のSPACを活用した上場。上場企業となることでSatellogicが事業をさらに成長させることができるか注目です。