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Masten Space Systemsが月面の測位サービス開発の契約を米空軍から獲得【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/7/12〜7/18】

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Masten Space Systemsが月面の測位サービス開発の契約を米空軍から獲得

月面着陸船を開発するMasten Space Systemsが、アメリカ空軍のAFWERXプログラムを通じて、月面での測位・ナビゲーションネットワーク開発のフェーズⅡ契約を獲得したことを発表しました。

Masten Space Systemsは、ロケットエンジニアのDavid Masten氏が2004年に創業したアメリカの宇宙ベンチャー企業です。NASAが進める有人月面探査のアルテミス計画の一環で、同社の月面着陸船は月の南極にあるHaworth Craterに2023年11月にペイロードを届ける予定です。

宙畑メモ:アルテミス計画
「アルテミス計画」とは、NASAが2024年までに再び月面に人類を送る月面開発計画の名称です。アルテミスは月の女神で、アポロの双子であることが命名の由来です。本計画の目的は月面に人を送るだけではなく、月とその周囲に長期にわたり人間を滞在させることで、火星の探査ミッションへの準備を行う目的もあります。月の無人周回飛行・月の有人周回飛行を経て、男女2名の宇宙飛行士の月面着陸を予定しています。

今回の月面の測位システムは、地球におけるGPSと同様の機能を持つ予定のようです。開発のフェーズI契約では、宇宙機からの測位・航法・タイミング(PNT)ビーコンのプロトタイプのコンセプトデザインを完成させました。今回の契約となるフェーズⅡでは、Masten Space SystemsはLeidos社と協力して、月軌道上で展開可能な耐衝撃ビーコンの筐体を米国の防衛技術開発企業のLeidosと協力して開発する予定です。

Masten Space Systemsの研究開発部門長のMatthew Kuhns氏が、今回の契約について以下のコメントを出しています。

Unlike Earth, the Moon isn’t equipped with GPS so lunar spacecraft and orbital assets are essentially operating in the dark. By establishing a shared navigation network on the Moon, we can lower spacecraft costs by millions of dollars, increase payload capacity, and improve landing accuracy near the most resource-rich sites on the Moon.
(訳:地球とは異なり、月にはGPSがないため、月面着陸船や軌道上の探査機は基本的に暗闇の中で運用されています。月面で共有のナビゲーションシステムを構築することで、宇宙船のコストを数百万ドル削減し、ペイロードの容量を増やし、月で最も資源の豊富な場所への着陸精度を向上させることができます。)

Masten Space Systemsのほか、AstroboticIntuitive Machinesなど、多くの民間企業が月面探査を目指しています。月面測位システムが完成されることで、月面探査がよりしやすくなると考えられます。

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参考記事

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