衛星画像から変化を追うと面白い!宙畑おすすめ珍光景6選
衛星データを使って、世界中の変化を追うと面白い光景にお連れします!
2021年夏、引き続きおうちで過ごすことが推奨されています。なかなか難しい状況が続いていますが、そんな中でも世界中を旅することができるツール「衛星データ」をご紹介します!
「衛星データ」とは、地球の周りを回る人工衛星が地球の様子を撮影した画像のことです。ぐるぐると地球の周りをまわっているので世界中の様子を、しかも、過去から現在までの様子を知ることができます。
さあ、衛星データを使って、時間と空間を自在に操る冒険へ繰り出しましょう!
衛星データで何が見える?簡単に使えるツール紹介
「衛星データ」と聞くと、難しいもののように思いますが、実はインターネットにつながるパソコンさえあれば、誰でも簡単に今から衛星データを見ることができます。
ここでは、おすすめの3つのツールをご紹介します。
Tellus(テルース)
宙畑が公式メディアを務めるTellusも、衛星データを簡単に見ることができるツールTellus OSがあります。
アカウントを作成し、Tellus OSにアクセスすると、地図が現れます。左側のマイライブラリから気になるデータの脇にある目のマークをクリックすると、衛星画像を表示させることができます。
右下のタイムスケールの青い丸をクリックすると時期を変更することができます。
右上の[1画面]という表記を[2画面]に変更することで、2種類の衛星画像を見比べることも可能です。
Google Earth
Google Earthは、その名の通りGoogleが提供する地球を探索するツールです。
特にTimelapseという機能を用いると、1984年から2020年までの変化をパラパラ漫画のように示してくれます。
GRASP EARTH(ぐらすぷあーす)
宙畑でも、以前の記事(全球変化検出サービス「GRASP EARTH」とは?)で詳しくご紹介したツールです。 GRASP EARTHは2時期の衛星画像を比較することができるツールです。
GRASP EARTHは2時期の衛星画像を比較することができるツールです。
・GRASP EARTH COLOR
GRASP EARTH COLORでは、左側にあるDate1、Date2というボックスに日付を入力して[Apply Dates]ボタンを押すことで、右側の画面に衛星データを表示させることができます。
右側にDate1の時期の衛星画像、左側にDate2の衛星画像が表示されます。中央のボタンをマウスで左右に動かすことで、2時期の画像を見比べることができます。
・GRASP EARTH SAR
GRASP EARTH SARでは、2時期の差をさらに分かりやすく表示することができます。
先ほどと同じように、左側のDate1とDate2のボックスに2つの日付を入力し、[Apply Dates]ボタンを押すと比較した結果が右側に表示されます。
赤で示された部分はDate1の時期の画像に存在していたが、Date2の時期の画像ではなくなったもの、青で示された部分はDate1の時期には存在していないが、Date2の記事には存在していたものを示しています。
シンプルに言えば、赤は減ったもの、青は増えたものということです。
さらに、特定のエリアを四角で囲みたい場合は[Rectangle]、自由な多角形で囲みたい場合は[Polygon]、特定の一地点であれば[Point]を選択して、地図上で指定することで、その変化がいつ起きたのか、時系列のグラフで確認することができます。
今回は、このGRASP EARTHを中心に、編集部が見つけた面白スポットをご紹介していきます!
◆①飛行機の墓場:モハーヴェ空港
まず最初に編集部が向かったのは、飛行機の墓場と呼ばれるモハーヴェ空港です。
アメリカ西部に位置し、乾燥した気温からこの場所に使われなくなった飛行機が多く集められているのだそう。この空港実は飛行機の墓場かつ、ここから宇宙へ飛び立つスペースポート(宇宙港)でもあるんです。
さっそく、GRASP EARTH COLORにアクセスして、「mojave airport」と入力すると実際に飛行機が密集しているエリアを見つけることができます。
いくつか時期を分けて見ていくと、「お墓」といえど、時期によって飛行機の場所や機数が変わっていく様子が確認できます。
さらに、GRASP EARTH SARで見ていくと、変化をさらに分かりやすく見ることができます。先ほどの飛行機が集まっているエリアを[Polygon]ボタンを押下して、囲うと時系列の変化グラフを出すことができます。
グラフを見ると、世界中で新型コロナウイルス感染症が流行した2020年3月頃からグッと増えているように見えます。この情報だけでは、なぜこの時期に飛行機が増えたのか定かではありませんが、パンデミックにより世界的に航空業界が大打撃を受けたことも影響しているのかもしれません。
◆②中国の田んぼのパンダアート
つづいて、訪れるのは中国の田園地帯です。巨大なパンダアートが出現するというニュースを目にしたことがあった編集部は「あれだけ大きければ宇宙からでも見えるのでは」と見てみることにしました。
ニュースの情報から場所を探していくと、以下の緯度経度であることが分かりました。
39.975170189089354, 113.48587666845688
実際に見てみた結果がこちら!
ニュースでは夏の緑が生い茂る頃でしたが、宇宙から見ると、冬の方が見やすいようです。
◆③バーニングマン
毎年、8月末から9月にかけて砂漠の中に突如として出現する都市「バーニングマン」をご存じでしょうか。ここでは説明しきれないので、詳しくはwikipediaなどを参照いただければと思いますが、とにもかくにも、砂漠の中に都市が出現するとなれば、衛星からみられるかもしれない!さっそく向かってみたいと思います。
緯度経度はこちら
40.787,-119.206
8月末から9月中ごろにかけて出現するとのことなので、9月1日に狙いを定めて、新型コロナウイルス感染症の影響で開催されなかった2020年9月1日の画像と比較してみます。
2017年と2020年を比較すると良く見えない…?
うっすら赤い破片のようなものが見えます。
さすがに衛星からは見えないのか…と思いつつ、ダメ元で2019年の画像も見てみると
見えたーーーーーーー!
中央の人形を囲って円形に形成される都市(詳しくは、wikipediaなどを参照)がくっきりと写し出されています。
ちょっとしたSF映画みたいですね。
円形の部分を囲んで時系列で見てみると、以下のようになりました。
2017年,2019年は8,9月にピークが見えていますが、2018年、2020年にはピークが立っていません。2018年はバーニングマンが開催されていないという情報はない、かつグラフ上でも点が飛んでいるように見えるので、衛星側のタイミングの問題で見えていないのかもしれません。
◆④北海道の流氷
ここまで、人間の活動の様子を宇宙から見てきましたが、衛星で見るということはそれだけでなく、地球規模の大きな変化をとらえることができるのも利点です。
暑いこの夏を乗り切るために、涼しげな時期と場所に移動してみましょう。
毎年冬になると北海道のオホーツク海側に現れる流氷も衛星データで見ることができます。
北海道で流氷を見たい! 流氷の位置を衛星データで確認する方法
これをGRASP EARTH COLORで見てみると、以下のようになります。
GRASP EARTH COLORでは雲を除去する処理が入っているため、地図がそのまま見えている部分は雲がかかっている部分と思われます。
冬は曇天なことも多く、流氷を見ることはなかなか難しそうです。
一方で、GRASP EARTH SARの場合、電波を使った観測をしているため、GRASP EARTH COLORよりも雲の影響を受けにくいという特徴もあります。
流氷が北海道に到着する2月中旬と、半年経った9月の様子を比較したものが上の図になります。
赤い色で流氷の形状が明らかになっていることが分かりますね。
さらに広い範囲でみると、北極海の流氷の様子なども見ることができ、北極海航路という開運上の重要なテーマにも関係してきます。
温暖化で注目!北極海航路の現状とメリデメ、衛星で将来性を検証
◆⑤シンガポールのふ頭
GRASP EARTH SARを適当な日付、適当な場所でウロウロしていると、船や海岸線の様子がよく見えることに気が付きます。
例えば、水運がさかんなシンガポールを見てみると、無数の船舶が行き来している様子を見ることができます。
その中でもひときわ青く示されるふ頭があったので、[Rectangle]ボタンで囲って時系列グラフを出してみました。
すると、2016年後半ごろから徐々に何かが増えていき、2018年以降はある程度安定している様子が見て取れます。
これ以上はGRASP EARTH SARで見ることは難しいので、冒頭でご紹介したGoogle Earthで確認してみると、2014年ころからふ頭が建設され、ちょうど2017年ころから使用され始めた様子を確認することができました。
◆ふ頭に停泊する船
さらに海沿いでも近づいて、ふ頭に停泊する船を見てみます。
横浜の大さん橋を見てみます。大型船が停泊する位置はほぼ決まっているため、その部分を[Polygon]で囲んで時系列データを出すと、その四角の中に船が停泊していたかどうかを確認することができます。
新型コロナウイルス感染症が流行した2020年4月ころから半年程度、大型船が停泊していた様子を見て取ることができました。
新型コロナウイルス感染症、横浜、大型船といえば…?
そう、ダイヤモンドプリンセス号ですね。ただ、このグラフを見る限り停泊は2020年4月から始まっており、ダイヤモンドプリンセス号がニュースになっていた時期よりもやや遅いようです。
ニュースを調べてみると、ダイヤモンドプリンセス号は大黒ふ頭に停泊していたことが分かりました。
国内の大型クルーズ船、来月運航再開へ…行程は1週間以内に限定 : 社会 : ニュース
そこで同じように、船舶が停止する位置を囲んで時系列データを出してみると、以下のようになりました。
やはり、2020年1月頃から2か月ほどあのあたりに停泊していたようです。
◆⑥最寄りの空港横のレンタカー駐車場や高速道路SA駐車場
最後に、読者のみなさんにぜひお手元のPCで試していただきたい場所を紹介します。
それは、お住まい近くの空港横の駐車場や観光地の駐車場です。
現在、新型コロナウイルスの影響によって、旅行業界が深刻なダメージを受けたということは詳しく説明するまでもないでしょう。その変化はGRASP EARTHでもはっきりと確認することができます。
例えば、以下のキャプチャは熊本空港の駐車場の5年間の推移です。
ご覧いただくとわかる通り、2020年の3月から6月までの間、車が少なくなっていることが分かります。これは空港を利用する人数が大きく減ったことを示唆しています。
ぜひ、読者のみなさんのお住まいの地域の空港を、GRASP EARTHでみてみていただければと思います。
まとめ
今回の記事では、簡単に衛星データが見られるツールを使って、世界中の様々な時期を旅する方法をご紹介しました。
夏休みのおうち時間に時間をつぶすもよし、夏休みの自由研究にするもよし、はたまた、皆さんのお仕事にもお役に立つ情報が何かあるかもしれません。
ぜひ、おうち時間を有効に使って、衛星データで世界中を旅してみてください。
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