宙畑 Sorabatake

宇宙ビジネス

宇宙ベンチャーを支援するJAXA+9機関全41のスタートアップ支援制度まとめ、JETROとJAXAに聞いてみた

JAXA+9機関の宇宙ビジネスに取り組む企業を支援する41の制度・プログラムをまとめました。

2021年現在、国内宇宙ビジネスベンチャー黎明期に創業した国内の宇宙ビジネスベンチャーは、続々と技術開発フェーズから事業化、事業拡大フェーズに移っていると言えます。

例えば、国内の宇宙ベンチャーをリードしてきたアクセルスペース社は最近地球観測衛星が5機体制となり、サブスクリプション型での衛星データ画像提供サービスをオープン。民間企業での自社ロケット開発を行うインターステラテクノロジズも、直近でMOMOの打上げを見事成功し、軌道投入ロケットZEROの開発を順調に進めているフェーズです。

海外に目を向けると、直近は、SpaceXの躍進がひときわ目立っています。これまでは政府主導でロケットを開発していたところから、いち民間企業がロケットを開発し、今ではISSに宇宙飛行士を送る宇宙船も開発し、政府からの信頼を得ています。

しかしながら、これまで民間企業の力だけで順風満帆だったかといえばそうではありません。SpaceXに限らず、宇宙ビジネスベンチャーは様々な各国政府の支援制度をうまく活用しながら事業開発を進め、サービスを拡大しています。

では、国内の宇宙ベンチャーを支援するプログラムは現在どのようなものがあるのでしょうか。

今回、2021年7月16日に「スペーステックJAXAxJETRO活用セミナー~ここから始まる、加速する。スタートアップの海外展開~」と題した、宇宙テックベンチャー支援に関するセミナーを実施したJETRO、JAXAのご協力をいただきながら、上記2機関以外の支援制度も合わせて、全41の宇宙テックベンチャーが利用できる支援制度を記事にまとめました。

(1)ベンチャーが事業を進めるうえで必要な4つの要素

まず、宇宙ベンチャー企業が事業を推進するうえで必要な要素を大きく4つに分類してみました。本記事では、4つの分類をひとつの軸として、支援制度を紹介していきます。

■お金(資金調達、ビジネスモデル、EXIT)

まず支援と聞いて真っ先に思い浮かぶのが「お金」でしょう。お金がなければ人を採用することができず、何よりも事業の核となる技術開発を行うことができません。

例えば、SpaceXも創業当初はロケットの打ち上げ失敗が続き、あと1回失敗すれば資金が底をついてしまうという状況を経験しています。そのような状況下でも、SpaceX社はアメリカ政府の民間企業を支援するプログラムでお金をもらいながらロケット開発を進めることができていました。もし、政府の支援プログラムがなければSpaceXは今はなかったかもしれません。

■技術・開発(コア技術、研究開発チーム、特許、産学連携等)

技術・開発の支援も政府の支援制度をうまく利用できると良い要素のひとつです。

宇宙は、地上とは桁違いに過酷な環境であり、そして、一度人工衛星を打ち上げてしまうと修理ができません。人工衛星を開発する宇宙ベンチャーの場合、非常にシビアな技術開発力が要求されるということは容易に想像できるでしょう。

イチから技術開発を行うのではなく、JAXAのような研究開発機関の支援を受けることで、既存の知見や技術をうまく活かしながら、コア技術の開発に専念することができるようになります。

■人材マッチング(仲間、採用、経営相談相手:メンター・アクセラ=適切な伴走者・支援者)

社員となってくれる仲間探しや技術開発のアドバイスをくれる専門家紹介、また、経営相談相手のマッチングなど、宇宙ベンチャー企業の状況に応じて必要な人材をマッチングしてくれる支援制度も日本には複数準備されています。

■海外展開(知識、経験、理解、コネクション、PMF、TAM)

地球全球を撮影する地球観測衛星サービス、地球全球をカバーする通信衛星サービス……宇宙ビジネスの事業拡大を図る上で、海外展開は切っても切れない関係にあります。

どこに拠点を置けばよいのか、自社のビジネス推進をするうえで法整備も整っている国はどこなのか、そもそも誰に相談すればよいのか……そのような悩みに答える政府の支援制度も多く用意されています。

(2)本記事で紹介するベンチャー企業の事業 ステージ分類

次は、ベンチャー企業の事業ステージについて整理します。本記事では、事業ステージを以下5つに分類しました。

ここで記す事業ステージはあくまで目安になります。本記事で紹介する支援制度を見るときの参考程度にご確認ください。

以下、各ステージの簡単な説明になります。

-プレシード期(起業前)

調達額は、0~3,000万円未満の企業で、新技術の活用・ビジネスモデルのアイデアを創出、それを具体化していく段階です。

このステージの主な企業行動は、ビジョンの明確化、会社設立方法の検討、人材確保(経営者層・インターン)、資金調達です。

-シード期(起業時)

調達額は、3,000万円以上~3億円未満の企業で、研究、製品開発、コアスキルの開発によりビジネスモデルの慨形が完成した段階です。

このステージの主な企業行動は、ビジネスモデルの確立、技術的優位性の確立、成長への道筋の検討、開発資金の調達です。

シード期の国内宇宙テックベンチャーを例に挙げると、超小型衛星向けの水を推進剤とした統合推進システムの実用化に挑むPale Blueや、世界初の衛星間光通信ネットワークサービス「WarpHub InterSat」向けの小型光中継衛星の開発を進めるワープスペースが当てはまるでしょう。

-アーリー期(プロダクト完成後)

調達額は、3億円以上~15億円未満の企業で、製品開発及び初期のマーケティング、試作製造及び販売活動に向けた実証実験・社会実験を行っている段階です。

このステージの主な企業行動は、市場の獲得と販路の確保、製品・サービスの改善、マーケティング、追加開発投資資金の調達です。

アーリー期の国内宇宙テックベンチャーを例に挙げると、QPS研究所、ポーラスタースペース、天地人、インフォステラなどが当てはまるでしょう。国内ではこのステージにある企業が増えており、日本の宇宙ビジネスがさらに盛り上がる予兆を感じざるをえません。

-ミドル期(大型資金調達後)

調達額は、15億円以上~50億円未満の企業で、定期的な生産および出荷を開始、在庫または販売量が増加し始める段階です。

このステージの主な企業行動は、量産体制整備、販路拡大・流通整備、競争戦略立案・実行、事業会社等との連携、設備投資・人員増等の大規模資金調達です。

国内の宇宙ベンチャー企業を例に挙げると、アクセルスペースがミドル期に突入していると言えます。2023年までに地球観測衛星のコンステレーションプラットフォームを構築するGRUS10機体制に向けて、5月14日に約25.8億円の資金調達を発表しました。

関連記事

-レイター期(収益拡大期)

調達額は、50億円以上の企業で、持続的なキャッシュ・フローで事業が安定、 事業のコアスキルを多角化する段階です。

このステージの主な企業行動は、市場の再拡大、 会社の組織体制整備 、 内部統制確立 、 競争戦略の改編 、長期的視点の導入です。

レイター期にある宇宙テックベンチャーは国内だとまだなく、海外では生まれ始めています。例えば、今ではISSへの宇宙飛行士輸送やStarlinkによる通信衛星コンステレーション、実業家の前澤友作さんの月面周回旅行の実現を狙うイーロン・マスク氏が率いるSpaceXや、地球観測衛星のコンステレーションをいち早く構築し、サービスを提供するPlanet Labsがレイター期に突入していると言えるでしょう。

以上、支援制度を紹介する前の事業ステージの目安を紹介しました。

繰り返しになりますが、事業ステージの分類は、あくまで目安になります。特に資金調達額については、宇宙ビジネス(もっと言えば人工衛星やロケットを製造するインフラを生業とするテックベンチャー)は他産業と比較して初期投資に多額の資金が必要になるため、累計の資金調達額と事業ステージの企業行動は必ずしも一致しません。

例えば、資金調達額だけを考えると、累計資金調達額はアストロスケールが200億円以上、Synspectiveが100億円以上とレイター期にあたりますが、事業フェーズとしては、両社ともアーリー期で、事業検証を進めているフェーズになります。

(3)国内スタートアップ支援制度まとめ

まずは、本記事で紹介する宇宙ベンチャー支援制度をまとめたスプレッドシートを紹介します。

本スプレッドーシートでは、政府9機関+JAXAの支援制度の中でも、宇宙テックベンチャーが受けられる支援制度をリスト化し、ステージや支援内容ごとにマッピングしたもの。気になる支援制度をクリックすると詳細ページに遷移できます。

ご覧いただくと分かる通り、それぞれのステージ、必要な支援に応じて、宇宙テックベンチャーは様々な支援を受けられることが分かります。そのなかでもシード期から受けられる支援がとても多いですね。

本章では、プレシード期からシード期までの各事業ステージごとに、3~5程度の支援制度をピックアップして紹介します。

■プレシード期から受けられる支援制度をピックアップ!

・【内閣府・JAXA】S-Booster お金 人材
S-Boosterは、2017年から始まった「宇宙を活用したビジネスアイデアコンテスト」です。起業や新規プロジェクト立上げを目指す社会人、学生、個人、異業種等からビジネスアイデアを募集し、優れたビジネスアイデアには賞金も。

書類選考が通ると、専門家によるブラッシュアップ支援を受けることができ、イベント後もビジネスマッチングの機会提供など、総合的な支援を受けることができます。

上述した天地人もS-Boosterでの賞を受け、JAXAベンチャーとして着々と事業を進めています。

S-Boosterのサイトを見る

・【NEDO】NEDO Entrepreneaurs Program(NEP) お金 人材

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による、具体的な技術シーズを活用した事業構想を有する起業家候補支援プログラムです。

プログラムに採択されると、助成金がもらえる他、NEDOが委嘱する事業化支援人材によるハンズオン支援を受けながら、事業化可能性の調査や事業化に向けた研究開発、実証等(ビジネスプラン作成、市場調査、試作品設計・製作等)を行うことができます。

NEDO Entrepreneaurs Program(NEP) の詳細を見る

・【JETRO】始動Next Innovator(起業家育成プログラム)海外展開

「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト」の一環として次世代のイノベーションの担い手を育成することを目的に2015年度に立ち上がったプログラムです。

全10数回にわたるレクチャーを通して、イノベーターに必要な3要素「マインドセット」「スキルセット」「ダイバーシティ」を体感、体得できるプログラムで、日本を代表する起業家・実業家による講演があります。

また、多様な観点を持つ参加者・メンターからピッチに対するフィードバックを受けながら各自の事業計画をブラッシュアップすることができます。

始動Next Innovatorのサイトを見る

■シード期から受けられる支援制度をピックアップ!

・【JAXA】JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)人材 技術・開発
事業化意思のある民間企業や技術シーズを持つ大学、研究機関といった、民間事業者等とJAXAが人的リソースや資金を持ち寄り、企画段階から早いサイクルで事業コンセプト等を共創することで、早期の事業化またはJAXAにおけるプロジェクト化を目指すプログラムです。

最近、週刊少年ジャンプに連載される人気漫画「ワンピース」とコラボしたKIBO宇宙放送局や、GITAI Japanが進める宇宙用ロボット事業もJ-SPARCのプロジェクトになります。

J-SPARCのサイトを見る

・【JAXA】クロスアポイントメント制度人材 技術・開発

国内外の研究者等の受入れを促進するため、所属機関に縛られることなく研究者等が活躍できることを目指した制度。研究者が企業・大学・研究機関等(出向元)とJAXA(出向先)の双方で雇用されつつ、それぞれの機関の役割に応じて研究開発業務に従事することができます。

本制度を活用して、インターステラテクノロジズ社に2020年4月からJAXAエンジニアが出向するなど、宇宙テックベンチャーの技術・開発を推進する一助となっています。

クロスアポイントメント制度についての資料を見る

・【JETRO】JETRO Global Acceleration Hub海外展開 人材
海外進出あるいは海外での資金調達を目指す日系スタートアップに対し、海外29拠点で、「現地ブリーフィング」「メンタリング(事業機会・資金調達等)」「現地パートナー候補・VC等の紹介」「コワーキングスペースの利用」を無料で提供するサービスです。

・【JST】SUCCESS(出資型新事業創出支援プログラム)お金 人材 技術・開発

科学技術振興機構(JST)の研究開発成果の実用化をめざす大学等発ベンチャー支援制度です。

JSTの研究開発成果の実用化を目指すベンチャー企業に対して、 出資や人的・技術的援助を通じてその創出・成長を支援する事業となっています。

以下2点を満たすベンチャー企業が出資・支援の対象です。

・JSTの研究開発成果の実用化を目指すベンチャー企業
・設立から概ね5年以内の企業

国内宇宙ベンチャーでは、アクセルスペースが出資を受けている実績があります。

SUCCESS(出資型新事業創出支援プログラム)の詳細を見る

以上、宇宙ベンチャーが受けられる可能性のある政府の支援制度をご紹介しました。ここで紹介した支援制度は上述のスプレッドシートに掲載されている内容の半分もありません。ぜひ、事業を加速させられる可能性のある支援制度を探してみてください。

本記事の後半では、2021年7月16日に行われたセミナーの中でも宙畑編集部が特に面白いと思ったポイントを3つ紹介。また、セミナー後にJETRO様に答えていただいた、宇宙ベンチャーを支援する上での3つのQ&Aを紹介しています。

(4)セミナーから宙畑セレクトで3つの見どころをピックアップ

続いては、7月16日に行われたセミナーの中から、興味深かったポイントを3つに絞って紹介します。

①実り始めたJAXAのスタートアップ支援と出資機能について

まずは、JAXAの支援メニューを紹介するパートで語られた内容です。

上述の通り、JAXAには宇宙テックベンチャーを支援する制度が多種多様に存在しますが、特に、J-SPARCプログラムを通して、34(2021年7月末時点)ものプロジェクトが存在すること、これまでは宇宙と関係のない企業が宇宙事業に参入し、一般の人の目にも届く事業が生まれていることも印象的でした。

また、2021年4月から法律改正によってJAXAが出資機能を持つことができるようになったということについてもセミナー内では言及がありました。

出資機能は特にシード・アーリー期のベンチャービジネスに対して、JAXA研究開発成果を含む専門性のある宇宙技術の事業化支援を行い、研究成果を最大化し、競争優位性の確保などの観点から成長加速につなげるとのことです。

②JETROが考えるスタートアップ支援の全体像

まずJETROの支援メニュー紹介をする前提として話が上がったのは、JETROスタートアップ支援課が考えるスタートアップの定義について。

JETROでは、創業時期を問わず、上記の定義に当てはまる個人・法人を幅広く支援しているという話から始まりました。

そして、JETROのスタートアップ支援サービスを5つに分解し、事業ステージをわけてまとめたスライドが以下。

これまでにも数多くの企業を支援し、海外展開を支えてきたJETROならではの支援メニューが準備されていました。

また、JETROが運営事務局を担う、官民連携によるスタートアップ集中支援プログラム「J-Startup」についても言及があり、航空/宇宙分野で選定された8社の紹介がありました。

宇宙ビジネスを展開するうえで、海外展開は無視できない要素のひとつ。JETROの支援メニューが宇宙テックベンチャーを支えることは間違いないでしょう。

③ispace COO中村さんが語る、政府支援制度の重要性

本セミナーで唯一民間企業として登壇したのは、月面着陸船の開発など、月面探査事業を推進するispaceのCOO中村さんでした。ispaceは世界25ヶ国から集まった約150名のチームで、アメリカとルクセンブルクに子会社があります。

中村さんからはJETROの支援制度によって、外部のアクセラレータのご紹介や現地のビジネス・企業の情報を知ることができたことや、実際に現地のお客様とのマッチングなど関係性構築のサポートを受けられたことがありがたかったと話がありました。

また、質疑応答では、海外拠点の選び方と人材採用について2つの質問がありました。

ひとつめについては、まずはお客様がその場所にいるかどうかが重要であるとの言及があり、現地の顧客候補に当たる方との関係性構築をサポートするJETROの支援制度に感謝が述べられていました。

また、2つめの採用の観点でも、海外のカンファレンスに出て知り合った人を採用することがあるとの話から、海外の展示会サポートを行う支援制度があるJETROとJAXAは宇宙テックベンチャーの心強い味方と言えるでしょう。

(5)JETROに聞いた、宇宙ベンチャーのここが面白い!

最後に、本記事の執筆にあたって、多くの協力をいただいたJETROスタートアップ支援課の島田さんに、宇宙ベンチャーについての3つの質問に回答いただきました。

Q.宇宙ベンチャーの最近の盛り上がりについて、他のベンチャーと比較した際に違いを感じることはありますか?

宇宙ベンチャーについては、衛星の低コスト化や衛星データを活用したサービスへのニーズの高まりに乗じ、次々と新しいベンチャーが生まれているように感じます。また、意外な大手企業による宇宙分野参入も注目を浴びていますよね。

そうした意味で、国内外企業との協業の可能性も大きく開かれていると思います。国内市場が限られているため創業と同時に海外を見据えて事業展開する、「ボーン・グローバル」が宇宙ベンチャーのデフォルトという点は大きな特徴の一つですが、多様なプレーヤーと有機的に連携し、技術力を強化して海外市場を狙っていくというのは宇宙ベンチャーに開かれた大きな可能性だと思います。

Q.宇宙ベンチャーを支援する上で、どのようなポイントを重視していますか?

正直なところJETROがご支援している宇宙ベンチャーの数はそこまで多くはありません。だからこそもっと宇宙ベンチャーの海外進出の助けになりたいと思っています。

宇宙ベンチャーというと、とくにディープテック系の場合は、「宇宙」という地球上で完全に再現することが難しい極限環境での実証実験が必要な場合があります。そうした研究施設の利用には多額の費用が必要です。アーリーの段階でも巨額な研究開発投資を要することが専らで、資金繰りが苦しいのが実情かと。
私たちJETROは、国内各都道府県に「貿易情報センター」という事務所を、海外には55カ国 に76事務所を有します。これら国内外の広範なネットワークにより、国内各所の宇宙ベンチャーのニーズを伺い、現地市場に詳らかな海外事務所との連携により、宇宙ベンチャー企業が進出を考える国でのパートナー企業とのマッチングや、海外投資家からの投資チャンスの拡大支援など、個社ニーズに応じた支援を提供してまいります。

また、JETROは2020年7月よりスタートアップ支援機関連携(9機関連携)協定(通称「Plus “Platform for unified support for startups”」)に参画しており、政府関連機関との横連携により、宇宙ベンチャーを切れ目なく、海外スケールへのステージへとお連れします。

Q.今後、どのような宇宙ベンチャーに出てきてほしいと思いますか?

宇宙ベンチャーと一口にいっても、衛星データや宇宙旅行、資源探査、輸送、衛星インフラ開発、軌道上サービスなど事業分野が大変幅広いですよね。それに関連産業としてライフサイエンス、宇宙食、エンタメなど、裾野がものすごく広いことも特徴です。ですから、海外の研究機関や大学、企業と日本の宇宙テックベンチャーとの協業など、プレーヤーの無数の掛け合わせが期待されるのは宇宙ビジネス分野の魅力かと思います。

先のJAXA×JETRO共催セミナーで、JAXAさんより宇宙ビジネス概況の説明があったとおり 、世界的にみて測位システムやクラウドソリューションにプレーヤーが集中している中で、日本は宇宙旅行・探査を事業とするベンチャーが多いのは異色です。人類の生活圏としての宇宙という未来が時々刻々と近づいている中で、早めにニーズをキャッチし、ニッチな領域で市場を握るベンチャーが増えることを期待しています。

(6)まとめ

以上、JAXA+9機関全41の国内宇宙ベンチャー企業が利用できる支援プログラムと宙畑注目の支援プログラム、JETROスタートアップ支援課が考える宇宙ベンチャーの魅力や期待を紹介しました。

今後も国内の支援プログラムは様々な形で生まれ、宇宙ベンチャーや宇宙ビジネスに取り組む企業の強力な礎となることが期待されます。宙畑としても、これらの支援制度を通して、国内の宇宙産業がより拡大すること、また、産業の加速や支援制度の変化を今後も記事として紹介していく予定です。