船舶情報を提供するSpireが上場後初の買収を発表。狙いは高成長産業への事業領域拡大【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/9/13〜9/19】
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9月14日、船舶の位置情報や気象情報サービスを提供する超小型衛星事業者のSpire Global(NYSE: SPIR)は、同じく船舶の追跡データを提供するカナダのexactEarthを1.6億米ドル(約180億円)で買収する契約を締結したと発表しました。
Spireが上場を果たした後、企業を買収するのは初。買収完了後、exactEarthはSpireの完全子会社となり、拠点であるカナダ・オンタリオ州で事業を継続するとのことです。
exactEarthは2009年に創業した、従業員は数十人規模の企業です。同社が提供する代表的なプロダクトの一つ「exactEarth ShipView™」は、全世界の船舶情報を一覧してみられます。
The first container ship has successfully navigated the Arctic/Northern Sea Route. Check out the clear Arctic tracks of the #VentaMaerskLine provided by exactEarth ShipView! 🛰️ pic.twitter.com/0110jJf3Ij
— exactEarth (@exactEarth) September 21, 2018
この「exactEarth ShipView™」は、日本においてはIHIジェットサービスが占有販売権を持っています。exactEarthは世界各国に事業を展開していて、買収でSpireは顧客基盤を75%増加させることができるといいます。
今回の買収によって得られるのは、プロダクトや顧客基盤、人材だけではありません。exactEarth は2020年3月に、IoT向け通信ネットワークを提供するオーストラリアのスタートアップ企業Myriotaのカナダ拠点に、軌道上の衛星4機と6つの地上局を売却しています。このような背景がありexactEarthはMyriotaの間接的な所有権を持っていて、Spireは「宇宙を利用したIoTソリューションという高成長産業において、確固たる最初の足がかりを得られた」と説明しています。
Spireは2020年3月に上場を発表して以来、光学衛星の開発や韓国の大手ICT企業と提携し農業分野向けのサービスを提供する計画を明らかにしています。このような衛星事業者間の提携や統合による事業領域の拡大は、今後も加速していくのではないかと見られます。