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フラットパネルアンテナ開発を進めるKymetaがビルゲイツ氏をはじめとする投資家から100億円を調達【宇宙ビジネスニュース】

【2022年3月22日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

フラットパネルアンテナ開発を進めるKymetaがビルゲイツ氏をはじめとする投資家から100億円を調達

高性能なフラットタイプのアンテナ開発に取り組んでいるKymeta Corporationが8400万ドル(約100億円)を獲得しました。今回の資金調達ラウンドのリードインベスターはBill Gates(ビルゲイツ)氏が務め、Kymetaの既存投資家であるHanwha Systemsも参加しています。今回の資金調達で同社の累計調達額は4億1,700万ドル(約497億円)にのぼります。

今回獲得した資金は、フラットパネルアンテナの需要増加に対応するための製造能力を増強するために投資する予定です。現在主力商品であるKu帯のKymeta Hawk u8を進化させる他、26.5-40GHzと周波数が大きくデータ伝送の高速化が可能で、StarlinkOneWebといった通信衛星サービスで利用されている通信帯域であるKa帯でも対応可能な商品を開発していく予定です。

従来は通信のためにアンテナをわざわざ対象衛星方向に向けるために物理的に動かしていたところを、Kymetaのアンテナはアンテナの送受信方向を電子的に制御することで通信することで稼働部品を必要としないことが特徴です。稼働部の制御が不要になったことで、車や船舶、航空機などの移動体に設置することが従来より容易です。また、小型通信衛星コンステレーションに取り組むOneWebや防衛技術開発に取り組むKratosといった民間企業にKymetaは既にアンテナを多数納品しています。

Kymetaの会長兼CEOであるDouglas Hutcheson氏は、今回の資金調達について以下のコメントを発表しています。

Our technology advancements give Kymeta a competitive advantage and we are excited to continue in the development of both our second-generation u8 product family and third-generation technology that promises to provide even higher efficiencies and lower costs for our customers
(訳:弊社の技術革新がKymetaの企業競争力をもたらし、第2世代のu8製品郡やさらなる高性能化した第3世代製品群の開発を続けていけることが楽しみです。)

衛星コンステレーションサービスを展開する企業が増加し、地上で衛星通信網と接続できる地上インフラの整備にも同様に注目が集まっています。実際に製品の納品実績もあるKymetaの今後の展開から目が離せません。

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