宙畑 Sorabatake

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地球上の全員が視聴者?ロシア企業が夜空に広告を表示する計画を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 1/14~1/20】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

2.地球上の全員が視聴者?ロシア企業が夜空に広告を表示する計画を発表

Credit : StartRocket

珍しくロシア発の宇宙スタートアップの話題です。
ロシアのスタートアップ企業であるStartRocket社は、人工衛星を利用して夜空に広告を浮かび上がらせる計画を紹介したコンセプト動画を公開しました。動画では、ファーストフード店や清涼飲料水メーカーのものに扮したロゴが、世界各国の夜空を駆け巡る様子が再現されています。

the orbital display in action from Vlad Sitnikov on Vimeo.

この広告は、高度400〜500km地点に小型人工衛星を並べ、それが太陽光を反射したものが地上で言葉やロゴとして見えるという仕組みになっています。夜は世界中のどこからでも見ることができるため、潜在的視聴者は全人類。つまり70億人ということになります。そのためインプレッション単価はテレビ広告と近いということです。

同社はすでに、小型人工衛星の試作品を持っており、今年10月から広告権の販売を開始し、2021年1月にテスト打ち上げ、10月には動画のような広告表示を実現する計画であるとしています。

一見魅力的な計画ですが、衛星がスペースデブリとして残ってしまうリスクがあること、太陽光を反射した光が日常生活や研究を妨げてしまう可能性があることなど、懸念の声も続々と上がっています。

今月18日(金)には、様々な実験装置を搭載したRAPIS-1という衛星や、空を舞台に様々な宇宙エンターテイメントを行うプロジェクト「Sky Canvas」を進める株式会社ALEによる、世界初の人工流れ星を実現する衛星を搭載したイプシロンロケット4号機の打ち上げが成功したことも話題になりました。
同社のホームページによると、宇宙条約*1をはじめ、スペースデブリ低減ガイドライン*2といった国際的なルールや国内の法規制にも準拠したうえで活動を進めているようです。
同社の衛星は順調に軌道上で動作しているようで、2020年に広島にて人工流れ星を空に描き出す予定です。

StartRocket社の場合は、世界中の空に広告が表示されるため、各国の法律に準拠する必要があり、法規制によるハードルはより高くなるのではないかと考えられ、今後宇宙空間をエンターテインメントに利用していくうえでは注目したい事例となるのではないでしょうか。

*1宇宙条約:宇宙空間の探査・利用の自由、領有の禁止、平和利用の原則、国家への責任集中原則などの国際的な原則を定めている
*2スペースデブリ低減ガイドライン:軌道上の物体を必要以上に増やさないため人工衛星からの物体の放出は必要最低限に止めるように求める国際的な規制

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