カナダ企業Keplerが約123億円を調達。地上と衛星をリアルタイムで結ぶ中継システム開発に使用【宇宙ビジネスニュース】
【2023年4月22日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
4月13日、カナダの衛星通信ベンチャー企業Kepler CommunicationsがシリーズCラウンドで9200万ドル(約123億円)を調達したと発表しました。ラウンドをリードしたのは、フィンテックやビッグデータ分野の企業への投資歴を多く持つIA Venturesです。
今回調達した資金は、複数の光通信衛星による宇宙空間でのデータ中継システムの構築に使用される予定です。Kepler Communicationsは2024年までに同システムの構築を目指しており、2025年第一四半期に光通信サービスの提供を開始する予定とのことです。
一般的な衛星と地上システムが通信できるのは地上局の上空を通過するときですが、高速かつ大容量の通信が可能なレーザー光を用いたデータ中継システムによりリアルタイムでの接続が実現されます。
Kepler Communicationsはカナダ・トロントで2015年に創業し、これまでに2億ドル(約260億円)以上の調達をしています。
4月15日には、SpaceXのライドシェアミッション「Transporter-7」で6Uサイズの超小型衛星「KEP-20」と「KEP-21」の打ち上げに成功しました。総計で21機の超小型衛星が軌道を周回しています。また、2023年秋にも2機の試験機を打ち上げ、光データ通信技術の試験を実施する計画です。
またKeplerは顧客に対してサービス・レベル契約(SLA)とミッションの通信要件を満たすターンキーソリューションを提供します。この契約には、光通信と電波(RF)による通信の機器とライセンスなどが含まれます。
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参考
Kepler Raises $92 Million USD Series C To Complete Internet-Ready Optical Constellation