令和6年度 経済産業省「衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業」第3回公募開始!
経済産業省が2022年度から公募を行っている「衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業」の今年度の第3回募集が11月11日から開始されています。 本事業の取り組みや利用可能な衛星データの利用事例について紹介します。
1.「衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業」とは
経済産業省は、「衛星データ利用環境整備・ソリューション開発支援事業」という事業を通じ、地方公共団体・企業・団体からのニーズ情報の提供を踏まえ選定した地域において、当該地域が抱える課題の解決に必要となるさまざまな商用衛星データを調達し、衛星データを活用した課題解決のためのソリューション開発実証を2022年度から実施しています。
近年、小型衛星の打ち上げ機会の拡大など、衛星データの量や観測できるデータの精度が向上しつつあり、防災、インフラ維持管理、農林水産業、交通、物流、金融・保険などさまざまな分野において、衛星データを活用した社会課題解決が期待されています。
しかしながら、これまで政府の衛星データプラットフォームに集約されている衛星データは、頻度・解像度・データ種別の各面で課題があり、特定地域のユーザーのニーズに十分に寄り添った形でのデータ提供が進んできませんでした。
前年度から引き続き、今年度の事業でも、衛星データを活用したさまざまな産業の生産性向上にコミットする複数の地域(北海道、富山県、福井県、山口県、熊本県、福岡県、大分県、鹿児島県、佐賀県、長崎県)において、ソリューション開発に必要な衛星データを課題・テーマを絞り一括調達したものを、衛星データプラットフォーム「Tellus」上で無料で利用することができる事業者を募集しています。
今年度の公募の第3回が2024年11月11〜22日の期間で募集されています。ぜひ、衛星データを使った課題解決に関心がある方は公募要領などをご確認の上、お申込みしてみてはいかがでしょうか。
公募詳細ページ:https://sdu.go.jp/
2.利用できるデータ
本事業の採択者は、Tellusで公開されているデータのほか、本事業用に用意された以下の衛星データもTellusを使って無料で利用することができます。
光学衛星
1.アクセルスペース「GRUS」
2.Maxar「WorldView」「GeoEye」シリーズ
3.Airbus「Pleiades」「Pleiades-Neo」シリーズ
4.Airbus「SPOT」シリーズ
SAR衛星
5.JAXA「ALOS-2」
6.Synspective「StriX」「StriX_SR」シリーズ
7.QPS研究所「イザナミ」「QPS-SAR」シリーズ
8.JEOSS「ASNARO-2」
上記の衛星データのアーカイブデータが搭載している地域は以下の通りです。
濃い青の四角形が衛星データ搭載範囲になります。(全ての種類の衛星データが搭載されているわけではないことにご留意ください。)
このほかTellusに搭載している衛星データについては、Tellusの「衛星データカタログ」をご確認ください。
特に注目したいのは、日本の宇宙ベンチャーが開発する衛星データです。
各社の衛星は、現在機数を増やしている途上であり、今時点でどのようなデータなのか、チェックしておくことで、将来的に撮影頻度が上がった時に備えることができます。
これらの衛星コンステレーションは宙畑でもたびたび紹介しています。
1.アクセルスペース「GRUS」
アクセルスペースとストックフォト運営のアマナイメージズが提携。ビジュアル素材としての画像活用も期待【宇宙ビジネスニュース】
国内外で利活用が進むアクセルスペースの衛星画像サービス、新たに雲なし画像生成など4つの新プロダクトを発表【宇宙ビジネスニュース】
2.Synspective「StriX」「StriX_SR」シリーズ
Synspective、小型SAR衛星による日次干渉SAR画像のテスト観測に成功【宇宙ビジネスニュース】
3.QPS研究所「イザナミ」「QPS-SAR」シリーズ
小型SARベンチャーQPS研究所が分解能70cmの画像取得に成功【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/5/10〜5/16】
3.衛星データを触るためのツールも用意
また、上記のTellusで利用可能な衛星データすべてを検索からQGIS上で解析までできる環境「Tellus Satellite Data Master with QGIS(※)」の利用も可能です。
(※)QGISは、地理情報システムの閲覧、編集、分析機能を有するクロスプラットフォームのオープンソースソフトウェア・GISソフトです。Tellus Satellite Data Master with QGISは、Tellus上で動作するクラウドのQGISになります。
4.最後に
公募詳細には、2022年度、2023年度でどのようなアイデアが出ていたのかが紹介されています。
また宙畑の過去の記事でも、本事業で利用できる衛星データがどのような事例で利用されているか紹介していますので、ぜひ記事も併せてご確認のうえ、アイデアを考えてみてはいかがでしょうか。
公募詳細ページ:https://sdu.go.jp/
衛星データの利用を考えるときはこちらの記事も参考にしていただければと思います。