Blue Originが5,400機超の衛星通信網「TeraWave」を発表。衛星通信では驚異の6 Tbps、光ファイバーを補う存在へ【宇宙ビジネスニュース】
5,400機超の衛星で最大6 Tbpsを目指すBlue Originの「TeraWave」。電波と光を併用する独自の仕組みを解説します。
2026年1月21日、Blue Originが衛星通信ネットワーク「TeraWave」の構想を発表しました。FCC(米国連邦通信委員会)への免許申請も行っており、合計5,408基の衛星をLEO(低軌道)とMEO(中軌道)に配置し、最大6 Tbpsの超大容量通信を実現するとしています。
宙畑メモ:FCCへの免許申請とは
FCCは米国の通信分野を管轄する独立規制機関で、電波の周波数割り当てや通信事業の許認可を担っています。衛星通信事業者が米国で電波を使ってサービスを提供するには、FCCから免許を取得する必要があります。今回Blue OriginはTeraWaveで使用するQ/V帯・E帯などの周波数利用許可を申請しました。
宙畑メモ:LEO / MEOとは
LEO(Low Earth Orbit:低軌道)は高度2,000 km以下、MEO(Medium Earth Orbit:中軌道)は高度2,000〜36,000 kmの軌道を指します。
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Blue Originは2000年にAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙企業です。再利用可能ロケット「New Glenn」の開発やアルテミス計画向け月面着陸船「Blue Moon」の開発などを手がけています。2025年にはNew Glennの軌道投入とロケット第1段の洋上着艦に成功しました。
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リリースやFCC申請によると、TeraWaveはLEO衛星5,280基とMEO衛星128基で構成されます。企業や政府機関向けに設計された通信ネットワークです。2027年第4四半期から打ち上げを開始する予定です。
TeraWaveの通信手段:電波と光の使い分け
従来の衛星通信は電波(RF:Radio Frequency)のみが主流でした。TeraWaveでは複数の周波数帯に加え光通信も組み合わせた構成を採用しています。
TeraWaveがデータ通信に使用する電波&光の周波数範囲を以下に示します。
地上のユーザー端末との通信にはQ/V帯を使用します。
次に、地上のゲートウェイ局 (衛星とインターネットをつなぐ中継拠点) との通信にはE帯を採用しています。E帯はQ/V帯よりさらに大容量の通信が可能で、多数のユーザーから集約されたデータを処理する基地局通信を担います。
そして、衛星間のデータ通信やMEO衛星と地上の光端末との間では光通信を採用しています。光は電波より桁違いに周波数が高く、大容量通信に適しています。
MEO衛星が地上の光端末と直接レーザー光で接続することで、最大6Tbpsの大容量通信を実現します。
なお、光通信は電波を使用しないためFCCの管轄外です。そのため、免許申請が不要である点も光通信の強みの1つです。
TeraWaveの独自の仕組みはLEO×MEOの2層構成と電波×光
TeraWaveでは上記の通信手段を、LEOとMEOの2層に役割を分けて配置しています。データ通信の概念図を以下に示します。
LEO衛星5,280基は高度520〜540 kmに配置され、Q/V帯でユーザー端末と直接つながるアクセス回線を担います。低軌道のため遅延が小さく、1顧客あたり最大144 Gbpsを提供できます。加えて、E帯による基地局への大容量通信も担っています。
一方、MEO衛星128基は高度8,000〜24,200 kmに配置され、衛星間光通信により地球規模の通信幹線網を形成します。高い軌道のため1基あたりのカバーエリアが広く、少数の衛星で全球をカバーするメッシュネットワークを構成できます。
このハイブリッド構成により、用途に応じた通信経路の使い分けが可能です。地上端末からLEO衛星にRFで接続し、衛星間光通信を経由して別のLEO衛星から再びRFで地上に届ける経路があります。また、地上の光端末からMEO衛星に直接光通信で接続する経路もあります。この場合、MEO間の光メッシュネットワーク経由で大容量データを転送できます。
電波と光、低軌道と中軌道を組み合わせることが、TeraWaveの設計上の大きな特徴です。光通信は雲や雨の影響を受けるため、光に比べて天候に左右されにくいRFと併用し安定性と大容量を両立しています。
こうした構成は競合と比べても独自性があります。StarlinkやAmazon Leo (元Project Kuiper) など既存のコンステレーションでも、衛星間をレーザーでつなぐ例はあります。ただし、衛星と地上との通信は電波(RF)で行っています。
一方、TeraWaveはMEO衛星と地上の光端末の間でも光通信を行い、最大6Tbpsの通信容量を目指しています。
「高周波数のRF通信と、衛星間・衛星-地上間の光通信の組み合わせ」がTeraWaveの最大の差別化要素です。
こうした技術構成により、様々な用途が期待されます。例えば、海底ケーブルが届かない拠点間のデータセンター間通信、災害時の冗長回線、AIワークロードのリアルタイム同期などです。
AI・クラウドの普及で通信需要が急増しており、地上光ファイバー網を補完する「宇宙経由の基幹通信インフラ」としてのTeraWaveの活用が期待されます。
参考記事
Blue Origin Introduces TeraWave, a 6 Tbps Space-Based Network for Global Connectivity

