JAXA、世界の湿地保全に向けてラムサール条約事務局に地球観測データを提供する覚書を締結【宇宙ビジネスニュース】
2026年9月28日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、湿地の保全強化に向け、ラムサール条約事務局と新たな了解覚書を締結しました。
2026年10月1日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、ラムサール条約事務局と新たな了解2026年9月28日に覚書を締結し、ラムサール条約に加盟する世界172の締約国・2,500か所以上を対象に、人工衛星などの地球観測データを使った世界の湿地保全に向けた連携を強化することを発表しました。
両者は2010年10月にも、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の場で、当時の地球観測衛星「だいち」を利用した湿地調査に関する協力協定を締結していました。
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ラムサール条約とは、国際的に重要な湿地やそこに生息する動植物の保全、および賢明な利用(ワイズユース)を進めるための条約で、1971年2月2日にイランのラムサールで採択され、1975年に発効しました(正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」)。
本条約の対象となる湿地の定義は非常に広く、一般的な沼や湿原だけでなく、河川や湖沼、サンゴ礁、さらには低潮時における水深が6メートルを超えない海域まで含まれます。
なお、加盟国は指定した自国内の湿地における適正な保全と賢明な利用(ワイズユース)を進める管理計画を策定し、実施する義務を負っています。
Global Wetland Outlook 2025によれば、1970年以降、世界の湿地は22%消失しています。対策を取らない場合、2050年までに残る湿地の5分の1が消失し、最大39兆ドルの便益が失われるとしています。
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具体的な問題について一例を挙げると、湿地が乾燥したり破壊されたりすると、中に封じ込められていた大量の二酸化炭素(CO2)やメタンガスが空気中に放出され、地球温暖化を急激に加速させてしまいます。さらには、生物多様性の崩壊、河川や地下水の水質低下などを招きます。
また、湿地は大雨が降った際には余分な水分を吸収し、洪水の被害を和らげる防波堤の役割を持っており、湿地が消滅すれば、洪水や高潮などの激甚化リスクが高まります。
そのような課題に対して、JAXAはラムサール条約の締約国に対して雲や森林に覆われたエリアや夜間でも湿地の状況を観測できる地球観測データを提供します。これによって、天候や時間帯問わず、湿地の異変を早期に発見し、低コストで迅速な保全・回復対策を打てるようになります。
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また、地球観測データによって、ラムサール条約が戦略計画の中で極めて重要なターゲットとしている国別湿地目録の作成・更新を円滑に進められるものとして、さらには、昆明・モントリオール生物多様性枠組、パリ協定、持続可能な開発目標(SDGs)といった国際的枠組みに対しても、より正確で透明性の高い適切な報告を行うことができるものとして期待されています。
JAXAは、第5期中長期計画(2025~2031年度)に基づく令和8年度の衛星地球観測の重点テーマのひとつに「自然資本の把握とクレジット創出」を掲げています。
今回の了解覚書は、世界の湿地生態系に拡張・実装するための具体的な協力基盤となるでしょう。

