宙畑 Sorabatake

衛星データ入門

チャンスは1日1回! 平成最後の思い出に東京都心部で衛星写真に写ろう

偶然か必然か、平成最後の思い出作りに、5月2日まで高分解能の衛星に写るチャンスです。その詳細と宙畑編集部が考える写り方を紹介します。

(1)5月2日まで、毎日東京を撮影中!

JAXAの超低高度衛星技術試験機「つばめ (SLATS)」が「4月2日から5月2日にかけて、高分解能での定点撮像実験を予定しており、東京都心部を毎日撮像する計画です(※一部省略)」とプレスリリースで発表されました。

つまり、東京都心部で衛星写真に写るチャンスです!

さらに、分解能は1m以下と車はもちろん、人影もうっすらと写る程度。JAXAサテライトナビゲーター (@satellite_jaxa)のTwitterアカウントではお花見期間のタイムラプスが公開されており、人影が確認できました。

本記事では、現在公開されている情報から宙畑の推測を交えながら、「つばめ」に写る条件や方法、宙畑編集部で考えた写り方・遊び方についてまとめてみました。

(2)衛星写真に写るための条件

では、「つばめ」の画像に写るためにはどうしたらよいのでしょうか?

JAXAのプレスリリースによると日時は「4月2日から5月2日」までの毎日、「東京都心部」を撮影するそうです。

「東京都心部」の範囲をこれまでの画像から推測すると、新国立競技場や巣鴨・上野のあたりまで撮像しているようです。

撮影する時間はJAXAサテライトナビゲーター (@satellite_jaxa)のツイートによると「16時ごろ」とのこと。

さらに詳しい時間を調べるために、衛星の軌道解析の無料ツールSatellite Tool Kit (STK)を使って、東京都心の上空につばめが来る時間を調べてみます。

>15 Apr 2019 07:27:44.439 15 Apr 2019 07:35:58.426

時間はUTCなので、JSTに直すと+9時間、つまり日本時間で16:26、2:32、04:00となりますが、後ろ2つは深夜のため撮影できないと考えると、16:26というのが撮影時刻に近いと考えられます。
つばめの光学センサの詳細な仕様が公開されていないため、これ以上時間帯を狭めることは難しいですが、おおよそこの間くらいの時間なのではないかと思います。

尚、つばめは超低高度を飛んでいるため大気抵抗により時刻は厳密に一定にはならないと考えられ、日々正確な時間は確認する必要があると言えそうです。

画像の解像度(分解能)は、公式発表によると「1m以下」とのこと。これはすなわち1ピクセルが1m以下相当ということであり、地上で1mのものを持っていれば1ピクセル写るということになります。

また、写真はすべてモノクロのため、色は判別することは難しいようです。明るい色と暗い色、くらいは分かると思います。

まとめるとつばめに写る条件は以下の通りです。

(3)宙畑編集部が考えた「こんなことができるかも」

つばめの地上分解能は1 m以下。つまり、1 mのものが画像の1ピクセルに相当する、ということ。これは、具体的に言えば、例えば自動車や花見の際のレジャーシートが分かるほどの能力です。

例えば、屋上にロゴを設置したら当然映りますし、1m×1mの白黒のボードを用意することで、判読可能なQRコードを設置することができます。

判読可能なQRコードの最小単位は21ピクセル×21ピクセルのようなので、約20 m平方ほどの広さを確保しなければなりませんが、近所の公園や学校、屋上をうまく利用することで、実現可能なことのように思えます。

他にも、自動車を検出することが可能なので、駐車台数や渋滞情報、工事状況を検出することも可能と思われます。

冒頭でも紹介したように、人の影が映ることもあるので、公園に人が何人いるのか?ということをカウントすることもできるかもしれません。4/2~5/2までが撮影期間なので、ゴールデンウイークになって人の動きが変わったことは?ということも画像から見つけられるかもしれません。

また、撮影時刻が16時ころであることが分かっているため、影から物の高さを推測することも可能です。つまり、都内にあるビルのそれぞれの高さを衛星写真から算出することも可能です。このように、影を使って何かを求めるのも面白いかもしれませんね。

このように、定期的に撮影するからこそ、試すことができることが多くありそうです。

(4)実際に宙畑編集部で写ってみた(後日追加)

後日追加予定です。

(5)そもそも「つばめ」とは?

「つばめ」は、2017年12月23日にJAXAが気候変動観測衛星「しきさい」とともに打ち上げた衛星です。

衛星の正式名である「SLATS」はSuper Low Altitude Test Satelliteの頭文字をとったもので、日本語にすると超低高度衛星技術試験機です。

これまで長期間の活用に適していなかった高度300km以下の超低高度を飛び、超低高度に存在する微量の大気が衛星やセンサにどのような影響を及ぼすのか調べることで今後の超低高度衛星に必要な技術を確立するための試験衛星です。

つばめについては、以前の宙畑の記事(超低高度衛星技術試験機「つばめ (SLATS)」-超低高度軌道の課題と期待)でもご紹介していますので詳細はこちらをご覧ください。

ご紹介した通り、2019年4月2日から1ヶ月間、つばめは東京都心を毎日撮影しています。

都内にいらっしゃる方は、平成最後の思い出に、16時ごろに外に出て、1m以上のものを広げてみてはいかがでしょうか??

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